今回は、シンガポールの教育についてお話します。
自分が今、働かせてもらっている国の人たちがどのように育ってきたのか知ることは、とても興味深いです。
シンガポールにも学歴フィルターはあるのか!?
日本で人材紹介の仕事をしていた時、「応募者の学歴は問わない」という企業様が多かった一方で、「MARCH/関関同立以上に限る」「早慶以上」というオーダーを出される企業様もありました。
一方、シンガポールではどうかというと......、「Diploma以上」「O/A level以上」などとよく言われます。
初めに聞いた時は「横文字難しい。なにそれ?」状態ではありましたが、
・Diploma=日本でいう専門学校を卒業していること
・O level=日本でいう高校進学のための試験に合格していること
・A level=日本でいう大学進学のための試験に合格していること
と見なすのだそうです。
一見、日本よりも学歴フィルターが低いように感じられますね。
ではその教育の中身はどうなっているのでしょうか?
シンガポールの教育の流れ
日本では中学卒業後は高校進学が一般的ですが、シンガポールでは、中学から高校に進む人は「大学進学希望者」。
つまり、大学進学のために高校に行くそうです(高校進学する人は、約30%と言われている)。
中学から高校に進学するには「O level」という試験に、高校から大学に進学するには「A level」という試験への合格がそれぞれ必要です。
大学進学を目指さない人は、日本でいう専門学校であるポリテクニック(Polytechnic)に進学します。
大学機関が主に学問(学術)を教えることに対し、ポリテクニックは職業教育が中心となります。
日本と大きく異なる受験事情
大学受験するにあたって、日本のような大学ごとの試験はありません。
従って、赤本のようなものは当然シンガポールには存在しません(笑)。
ではどうやって学生はNUSなどのトップ大学に入っていくのか?
A levelの試験結果に加えて、合格するポイントとなる高校生活の過ごし方があるのです。
それは......ボランティアと部活動!
日本には夕方まで授業がある高校も、あるのではないでしょうか。
しかし、シンガポールの高校では授業が14時には終わり、放課後、部活動かボランティア活動にいそしむそうです。
それだけ、「学業以外」の項目も重要視されているのがシンガポール。
▶出典 Alan Cleaver on Flickr
ボランティアについては募金活動、老人ホームのお手伝いなどをする学生が多いそうです。
高校によって「○時間のボランティア活動」と最低の時間が決められているそう!
指定時間数は学校によって違うそうですが、私が話を聞いた子は「2年間で80時間」を義務と定められていたそうです。
部活動については日本と同様さまざまなラインナップがあるそうですが、そこでも「部長」などを務めているとポイントが高いそう。
あとは大会で優勝するなどの受賞実績も、ですね。
日本では、勉強と部活どちらを極めるか選択を迫られ、前者であれば高偏差値の大学を目指し、後者であればスポーツ推薦を目指す、ということが比較的多いのではないかと思いますが(あくまで主観です)、シンガポールでは学業・部活動・社会貢献活動すべてをバランス良くこなさないと、トップの大学には進学できません。
そのため、晴れて進学が叶った大学生は、既にスケジュールやタスク管理能力が備わっている傾向にあるそうです。
日本では、大学卒業=就職活動の時に「学生時代に何をしてきたか」が問われるかと思いますが、シンガポールでは大学に入る時、それらが問われるのですね。
世界で活躍するビジネスパーソンには、リーダーシップ・チームワークが不可欠。
それを高校生活からたたきこむシンガポール。
ここにひとつの強さがあるのかなと思いました。
こうまとめるとすばらしい国のように思えますが、実は自国に悲観的なシンガポール人も多いよう。
このテーマについては、引き続き情報収集していきます!
シンガポール教育☆こぼれ話
ちなみに、シンガポールの学校にも制服はあります!
女子はやっぱりスカートを短くするなどして先生に怒られるそう(笑)。これは世界共通なのでしょうか?
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ライター
林 由希菜/Yukina Hayashi
1989年埼玉県出身。明治大学国際日本学部に一期生として入学。卒業後は㈱ネオキャリアに入社、中途人材紹介事業に従事し、4年目からシンガポール法人REERACOEN SINGAPORE PTE.LTD.に配属。とにかく食べることが大好きなので海外でもいろんな食にチャレンジしています!大事にしていることは「迷ったら大変そうな方を選ぶ!」。
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