福島第一原発 事務棟建設場の花に何を見る

震災前であれば、作業現場に花を飾るといった事はありませんでした。

3月11日が近付くにつれ、多くの取材の申し込みがあります。一貫して働く方を中心とした福島原発の現状を伝える活動をしているからでしょう。

作業員の方を紹介してください。この言葉はこの東京電力を退職し、約3年幾度となく聞いてきた「フレーズ」です。

「ご希望にお応えする前に、どういった目的で取材されるのですか」と聞けば、決まったように劣悪な環境下で働く人達を労働問題として取り上げたいといったものにつきます。

確かに、原発事故直後は「誰でも良いから手伝って欲しい」「来てくれるだけでありがたい」といった状況が続いていました。原子力作業に長年働いて者にとっても、常軌を逸した現場だからです。

本来あった技術者集団の現場は、原子力産業を知らない人達のイメージ通に変わりました。

あれから、4年9ヶ月が過ぎ、現場は本来の姿に戻りつつあります。放射線防護は徹底され、作業環境を向上させ、休憩所の整備もなされ、震災前の水準の医療体制も確立されました。

労働者問題として取り上げる局面から、廃炉を担う人達として支えていく、創り上げたもので評価する局面に今あります。

こちらは、福島第一原発の入口に現在建設中の事務棟作業現場に飾られた花です。

震災前であれば、作業現場に花を飾るといった事はありませんでした。

なぜ、飾っているのか「少しでも現場に彩を」といった優しさの表れではと思います。

現在の福島第一原発は、除染やフェーシングと呼ばれる「雨水を浸透させない」取組のため、劇的に線量は下がり、原子炉建屋といった建屋内以外であれば、高線量な場所は限られてきました。

約5年、福島第一原発を知らず、イメージが止まったままの人達が抱くのは、「超高線量化で使い捨てされる、学も技術もない存在」です。

実際は、原発事故があった場所で試行錯誤しながら、発電所入口付近だけとは言え、防護服もいらないエリアを作りあげ、廃炉を進めるための拠点として「新事務棟」や「入退域管理施設」、「大型休憩所」を作りあげ、水素爆発が起きた4号機では使用済み燃料1535本を事故なく取出し、汚染水対策についても一歩ずつ着実に結果をあげています。

作りあげられた環境を見れば、働く方々がいかに技術があり、懸命に作業されているかは明白です。世界に誇る技術者集団が、福島第一原発にはいます。

それが伝わらぬ社会に対して、愚痴を言うでもなく、きっと花は開くと作業にあたる方々。

そっと添えられた花の気遣いに、私達は何を思うのでしょうか

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