10年の不当な投獄、自由を得た喜びと決意

2015年5月28日、ナイジェリアの死刑囚モーゼス・アカトゥグバさんは、10年の獄中生活の後、恩赦を得た。死刑判決の決め手になったのは、拷問で強いられた自白だった。

恩赦で釈放されたモーゼス・アカトゥグバさん © HURSDEF

2015年5月28日、ナイジェリアの死刑囚モーゼス・アカトゥグバさんは、10年の獄中生活の後、恩赦を得た。死刑判決の決め手になったのは、拷問で強いられた自白だった。ペンチで手足の指の爪をはがされ、何時間も天井から吊るされるなど、過酷な拷問に耐えかねて、用意されていた自供にサインしてしまったのだ。80万人以上の支援者が、モーゼスさんの釈放を求めて当局に手紙を送った。

釈放後の気持ちを、モーゼスさんがアムネスティに語ってくれた。

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10年、投獄されていて、ついに恩赦になったことを母に伝えたとき、母は卒倒した。周囲の人たちは、母の意識を戻すために、水をかけなければならなかったそうだ。釈放後、10年ぶりに私を見た母は、私を引き寄せて強く抱きしめ、15分ほど離してくれなかった。その間ずっと、母は歓喜の涙を流していた。

■□■ サッカーとジュースで死刑囚仲間と恩赦を祝う ■□■

5月28日の午後4時に恩赦が出されたことを知り、私は狂喜した。喜びのあまり、最初は言葉が出なかった。その数日後、このことを祝うために、死刑囚チームと他の囚人たちとのチームでサッカーの試合をやった。刑務所では死刑囚チームの監督をやっていたんだ。試合は3-0で死刑囚チームが勝ち、みなとても喜んでいた。

その週の日曜日、刑務所内の教会に行き、買ってきたビスケットとフルーツジュースを囚人仲間に配った。恩赦のことを告げると、みなとても喜んでくれたよ。私には、刑務所内に友人がいた。仲間の囚人たちに英語と数学を教えていて、熱心な生徒たちと親友になったんだ。

数日後に釈放された。家に帰った日の夜、母は特別料理を作ってくれた。牛肉入りの、オクラのスープだった。家族みんなでテーブルを囲んで食べ、その後、近所の人たちがパーティを開いてくれた。歌を歌い、楽器を奏で、そして祈った。私の釈放のために支援してくれた人たちのために祈った。

新しいベッドで眠った最初の夜は、本当にぐっすりと眠った。朝5時、いつもなら鳴るはずの起床ベルが鳴らなかった。しばらく待った後、「これは夢じゃない、本当に自由になったのだ」と気づいた。

その瞬間、心底、自分は自由なのだ、と実感した。すべてのことが、永遠に変わった。再びベッドにもぐりこみ、10時まで寝て、「眠る自由」を存分に楽しんだ。家族が起こしに来ても、もう少し寝かせてくれるよう頼んだ。それほどに、素晴らしい眠りだった。

■□■ 生きてる、幽霊じゃない ■□■

釈放された数日後、高校の古い友人に出くわした。旧友はまるで幽霊を見るような目で、私を見つめた。私たちの地域には、幽霊に砂をかけると消えるという言い伝えがある。友人は足元の砂をつかむと、私に向かって投げ始めた。「幽霊じゃない、ちゃんと生きてるよ! 砂をかけないでくれ!」と言う私の体を触り、確かめ、そして抱きしめてくれた。私はもう死んでしまったと思っていたらしい。10年前、逮捕される前に最後に私を見たときのことが忘れられなかったと言ってくれた。

自由の身になって心底ほっとしたが、身の回りのすべてのことが奇妙に感じられた。刑務所に10年いた間に、色々なことが変わっていた。新しい橋ができ、パソコンや携帯電話が当たり前になっていた。

■□■ 拷問廃止の運動に参加します ■□■

今後は、学校に戻り、いつも抱いていた夢に近づきたいと思っている。それは亡き父の願いだった医者になることだ。しかし同時に、人権活動家になり、私のような苦しみを受けている人たちを助けたい。HURSDEF(ナイジェリアの人権団体)のボランティアになることにしたんだ。HURSDEFの理事長ジャスティンさんに、同じような目に遭う人が出ないよう拷問廃止の闘いをしたい、と話すと「もう仲間だよ」と暖かく迎えてくれた。

(アムネスティ・インターナショナル日本)

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アムネスティは世界各地の拷問を止めるために「拷問なんて、いらない!」キャンペーンを国際的に行っています。現在、メキシコで拷問に苦しんでいるアルメンタさんを救う署名を公開しています。

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▽ メキシコ:子どもを守るために自白 拷問被害者に光を!

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