文化庁メディア芸術祭、「Dronestagram」 無人飛行機の攻撃を可視化したソーシャルアートとは【画像】

第17回文化庁メディア芸術祭が2月5日から16日まで、新国立美術館を中心に開催中だ。アート部門の大賞を受賞したドイツ人アーティスト、カールステン・ニコライさんのメディアインスタレーション「crt mgn」をはじめ、エンターテインメント部門大賞「Sound of Honda/Aylton Senna 1989」や、マンガ部門大賞の「ジョジョリオン—ジョジョの奇妙な冒険Part8—」など、優秀賞や新人賞など約160作品が一堂に紹介されている。
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The Huffington Post

第17回文化庁メディア芸術祭が2月5日から16日まで、新国立美術館を中心に開催中だ。アート部門の大賞を受賞したドイツ人アーティスト、カールステン・ニコライさんのメディアインスタレーションcrt mgn」をはじめ、エンターテインメント部門大賞「Sound of Honda/Aylton Senna 1989」や、マンガ部門大賞の「ジョジョリオン—ジョジョの奇妙な冒険Part8—」など、優秀賞や新人賞など約160作品が一堂に紹介されている。

第17回文化庁メディア芸術祭の画像集
アート部門 大賞『crt mgn』(01 of06)
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Carsten NICOLAI (credit:©2013 Carsten Nicolai. All rights reserved. Photo : Uwe Walter Courtesy Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery)
エンターテインメント部門 大賞『Sound of Honda / Ayrton Senna 1989』(02 of06)
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菅野 薫/保持 壮太郎/大来 優/キリーロバ ナージャ/米澤 香子/関根 光才/澤井 妙治/真鍋 大度 (credit:©Honda Motor Co., Ltd. and its subsidiaries and affiliates.)
アニメーション部門 大賞『はちみつ色のユン』(03 of06)
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ユン/ローラン・ボアロー (credit:©Mosaïque Films - Artémis Productions - Panda Média - Nadasdy Film - France 3 Cinéma – 2012)
マンガ部門 大賞『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』(04 of06)
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荒木 飛呂彦 (credit:©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/SHUEISHA)
昨年度 第16回 文化庁メディア芸術祭受賞作品展の様子 (05 of06)
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(credit:提供:文化庁メディア芸術祭事務局)
昨年度 第16回 文化庁メディア芸術祭受賞作品展の様子(06 of06)
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(credit:提供:文化庁メディア芸術祭事務局)

2月6日には「アートがもたらす世界の捉え方 03〜ネットワークが繋ぐ真実」と題した受賞者プレゼンテーションが行われ、ウェブサイト「Dronestagram」でアート部門の優秀賞を受賞したイギリス人アーティスト、ジェームズ・ブライドル氏らが来日。選考委員のアーティスト、小町谷圭氏を交え、審査委員で国立国際美術館主任研究員の植松由佳氏をモデレーターに開催された。

ブライドル氏が発表した「Dronestagram」は、アメリカの無人航空機ドローン(drone)によって攻撃された場所を、BBCやニューヨークタイムズといった主要メディアの報道から明らかにし、Google Mapsの衛星写真を 「Instagram」「Tumblr」「Twitter」などのSNSを通じて投稿、発表している。

「instagram」に投稿された美しい衛星写真をクリックすると「2014年1月6日、ドローンがソマリアの首都モガディシュから約200kmのアルシャバブを攻撃。2〜9人が死亡。自動車2台が破壊された」と報道された事実を読むことができる。これらの投稿には、世界中からコメントが寄せられている。

実際の戦争や暗殺計画で、ドローンやUVAと呼ばれる無人航空機は使われているが、技術的、政治的な背景から、この事実が注目されることはなかった。「Dronestagram」は、プロジェクトを通じて無人航空機の攻撃を可視化。実際にドローンがどこに攻撃を加え、どれだけ被害があったのか知ることができる。

第17回文化庁メディア芸術祭「Dronestagram」画像集
「Dronestagram」(01 of12)
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(credit:The Huffington Post)
「Dronestagram」(02 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション登壇者(03 of12)
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(左から)審査委員で国立国際美術館主任研究員の植松由佳氏、イギリス人アーティスト、ジェームズ・ブライドル氏、メキシコ人アーティストAmor MUNOZ氏、選考委員のアーティスト、小町谷圭氏 (credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(04 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(05 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(06 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(07 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(08 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(09 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(10 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(11 of12)
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(credit:The Huffington Post)
受賞者プレゼンテーション(12 of12)
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(credit:The Huffington Post)

ブライドル氏は、作品について「無人航空機が攻撃するエリアに、ジャーナリストはアクセスできませんでした。なぜ1枚の写真もないのか。そこで報道をもとにデジタルマップで明らかにしてみました。すると、ドローンが攻撃している場所には、人々が暮らす家や学校があることがわかりました」などと語った。

誰も見ることができなかったものを、みんなが見ることができるようにした「Dronestagram」。「見えないものを可視化、顕在化させた作品」と植松氏は総括した。

審査委員を務めたキュレーターの後々田寿徳氏は、受賞理由について「我々が日々恩恵を受けているこうしたテクノロジーが、軍事テクノロジーに依っているという現実と、我々自らがその現実がメディアなどによって隠蔽されていると素朴に信じ、目を背けようとしている事実を冷徹に指し示している」とし「サイトに寄せられるさまざまなコメントも含め、鋭い問題提起が感じられる作品」だと述べている。

ソーシャルメディアによって誕生した「Dronestagram」。アートの枠を超えて、調査報道や監視にも影響を与えはじめている。

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