イギリスの大学で月経カップを無料配布。留学中の大学生が初めて使ってメリットとデメリットを考えた

ずっと気になっていた「月経カップ」。月経カップの魅力と実際に使ってみた感想をまとめました。
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ここ数年、じわりじわりとその存在が知られるようになった月経カップ。

海外の雑誌やブログでは紹介される頻度も増え、薬局などでも買えるほど認知が広がりました。しかし、日本ではまだ謎多き存在なのではないでしょうか。

 

月経カップの魅力は主に3点あります。

月経カップの利点として最も多く挙げられるのが、環境に優しいという点です。

市販の生理用ナプキンは90%がプラスチックでできており、一説によると自然に分解されるまでに500年かかるそうです。女性は約40年間生理を経験するといわれていますが、40年×12カ月×5日間×5枚で計算すると、一生の内12,000枚のナプキンを使うことに。それを世界の人口の約半分が経験するわけですから、環境には大きな負担となってしまいます。

 

もう1点は、体への負担が少ないことです。

同じ膣内に挿入するタイプの生理用品であるタンポンですが、実は経血だけでなく、体に必要な水分までも吸い取ってしまうという難点があるといわれているのです(なので、生理初日・最終日にはタンポン使用は控えた方が良いとも言われています)。

ナプキンやパンティーライナーも、膣の中にこそ入らないものの、同じように体を守るために必要な水分を吸い取ってしまう可能性があります。

その点、シリコンでできている月経カップはカップ内に経血を集めるだけなので、前述のような心配はいりません。尚、月経カップはタンポンよりも膣内の低い位置に入るため、人によっては生理痛が和らぐ場合もあるそうです。

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3点目は、他の生理用品に比べて交換頻度が少ない事です。月経カップはタンポンの3倍の量の経血を溜める事ができるため、一般的にタンポンを交換するべきとされている8時間を超えても問題ありません。外出先で頻繁にお手洗いに行かなくても済みますし、寝ている間も安心です。

 

1年ほど前から月経カップの存在が気にはなっていたものの、なかなか手を出せずにいました。理由の1つは使用する上での心配。今まで使い捨ての生理用品しか使ったことのなかった私は、生理用品を再利用することに気が進みませんでした。もう1つはコスト。日本で月経カップを買うとなると6000円ほどします。学生の私からしたら、なかなか気軽に出せる金額ではありませんでした。そして、最後は未知なものに対する不安。今まで使い慣れてきたものから、いきなり得体のしれない生理用品に変えるきっかけも勇気もなかったのです。

 

そんな中、1カ月前から留学しているUKの大学では月経カップを含む全ての生理用品が無料で配られていることを知りました(日本の大学でも是非導入して欲しい試み!)。月経カップ使用に躊躇していた理由の1つであるコストが解消されたのです。私はこれを機に一度試してみることにしました。

大学のヘルプデスクに月経カップが欲しい旨を伝え、図書館の受付というまさかの場所でそれを受け取った私は、ウキウキしながら帰宅しました。

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月経カップ使用の最初の壁は挿入です。カップの箱を開けてみた感想は、「思ったより大きい…。」でした。小さい方のサイズを選んだにもかかわらず、かわいいパッケージとは裏腹に圧倒的な存在感。

痛みを感じることなく、これが膣の中に入るのか心配です。カップを煮沸している間にYouTubeで月経カップのチュートリアルを3本ほど見てから、やっと実践に移りました。

月経カップは折りたたんでから挿入するのですが、折りたたみ方も何種類かあります。私はカップを半分におり、片面をカップの根元まで押し込んで使う、「パンチダウンホールド」というたたみ方で試してみることに。折ってみると意外とコンパクトになり、サイズの心配は少し和らぎました。挿入時のサイズは普段のタンポンと変わらないほどになります。

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最初のトライは失敗。しっかりと中まで入る前に手を離してしまい、未挿入の状態でカップが膨らんでしまったのです。本来の挿入場所ではない膣口でカップが膨らんでしまい、痛みました。

けれども2回目のトライではすんなり成功。1回目の教訓を得て、しっかりと膣内に入ったのを確認してから手を離したところ、すんなり中に入れることができました。後は手を離し、膣内でちゃんとカップが開いたかが確認できればOKです。

 

挿入してから5分ほどは、確かに違和感がありました。中に何かがある感じ。けれども時間が経つにつれてカップが馴染んできて、すぐに何も感じなくなりました。本当に、あの大きさのカップが入っているとは思えないほど、なんの違和感もありません。

 

月経カップは、他の生理用品よりも運動にも適しているそうなので、試しに1時間のボクササイズに行ってみたのですが、その間もまるで何もつけていないようでした。ボクササイズ後下着を確認してみたところ、漏れもありません。

 

もしかして最高なアイテムを手に入れたのではないか!?とルンルン帰路についたのは良かったものの、今度はカップを取り出す作業が待っていました。

これは私の個人的な推測ですが、周りの女性の話を聞いていると、月経カップで挫折する人はこの「取り出し」の段階でつまずく人が大多数。

実際に私も「取り出し」が大変でした。トイレの便座に座り、いざ取り出してみようとすると、あれ、引っ張っても出てこない。というのも、月経カップは挿入に成功すると膣内が真空状態になります。なので、しっかり指を中に入れて、真空状態を解消しないとカップを取り出すことができないのです。

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5分ほどトイレで格闘した後、シュポっと音を立ててカップが出てきました。中には赤黒い経血が。無事取り出しに成功しました。

経血が溜まった状態を見るのは人生で初めての事で、なんだか新鮮。

 

その後数日間、月経カップを使い続け、私は晴れて初めての月経カップ使用体験を終了しました。その結果、月経カップに点数をつけるならば、80点といったところでしょうか。

利点

環境に優しい点は捨てがたい。

余計な水分を吸い取らないので、膣内が疲弊しない。

生理痛が若干軽くなった(気がする)。

挿入に慣れてしまえば、全く違和感が無い。

長時間つけていられるので、外出先の交換の心配がない。寝ている間も心配ない。

ナプキン使用時のようなかぶれ、蒸れ、臭いの心配がない。

タンポン使用時の紐の濡れによる不快感がない。

外出先で交換しなくて良いので荷物が少なくなる。

難点

煮沸など、衛生面で少し面倒。(煮沸は生理始めと終わりのみでよく、生理中は石鹸などで洗えば足りる。交換の回数も少ないので、宿泊しない限り外出先で洗う必要もない。ただ、使い捨てよりはやはり手間は増える)。

慣れるまで少し時間がかかる。練習が必要。

取り出し時に指をしっかり膣内まで入れなければいけない。私はこの点があまり好きではなかった。(少しですが、手も汚れてしまいます。)

取り出し時、経血が漏れないように膨らんだまま(カップ型のまま)にしなければいけないので、挿入時よりも開いた状態で取り出すため、これを繰り返すと膣口の過労感がある。(このため2日目の途中、私は一度ナプキンに変えました。)

コスト。私はたまたまタダで手に入れる事ができたけれども、そうでなかったらおそらく試していなかった。確かにパッドやタンポンの総額はカップよりも高いかもしれないけれど、自分に合うかどうかわからないものに約6000円使う勇気はない。

 

私の結論としては、月経カップのみの使用は難しいけれど、他の生理用品との併用はしていきたいと思いました。運動時や、外出時は交換しなくて良い月経カップは理想的でした。しかし、お家でリラックスする時は、ナプキンの方が負担は少なかったです(膣口の疲れ)。併用によって少しでもゴミを減らすことができたらと思います。

 

女性の体は一人一人違います。同じ月経カップでも、私とは全く違う体験・意見をもってらっしゃる方もたくさんいると思います。でも一人一人違うからこそ、選択肢が増えるのはとても良いことだと思います。

 

月経カップ、きっと思っているよりも怖くないです。

もし興味をもってらっしゃる方がいたら是非試してみてください。

 

(編集:榊原すずみ