男の人みたいに太い指、顔からはみ出るようなほっぺた、笑ったら開いているのかさえわからない一重の細い目、そして大きなおしり...。
自分のカラダの嫌いなところをあげたらキリがない。
毎朝鏡に写る自分と向き合って、新しい欠点を見つけるのが得意だ。
じゃあ、好きなところは?
...即答できない。
なんで私は27歳になっても、思春期の自分と同じようにカラダのことで悩まなくてはいけないんだろう。
Instagramを開けば、「普通」の子たちが、おしゃれドリンクと上目遣い。そっと閉じたくなる。コンビニの雑誌コーナーに置いてあるファッション誌には、今年も夏に向けて「見せるカラダ」になるアドバイスが沢山並べられている。好きな人の視線を追いかけては、見つめられた先の女性と自分を比べる。あの人にあって、自分には足りないものって...?
20歳以上の男女1200人へのダイエットに関する意識調査によると、男性52%に対し、68%の女性が自分の体型に満足していない。自分の体型が理想的だと答えた人は男女合わせて1.7%しかいなかった。
自身のカラダに満足できない気持ちを頭ごなしに否定するつもりはない。不満から向上心へつなげるケースは多々ある。このお腹についたお肉を減らしたいから、-3Kgになるダイエットをしよう。炭水化物をとるのを制限しよう。それも立派な目標だ。
しかし、特に10代、20代女性が抱えるプレッシャーや「完璧」なカラダへの執着は、「-3Kgダイエット」だけでは解決できない闇もある。摂食障害につながるケースだ。厚生労働省の調査によると、摂食障害全体は1980年からの20年間に約10倍の増加がみられる。医療機関をすすんで訪れる患者は一部であるため、実際はもっと多いと推定されている。
ハフポスト日本版で行った調査。自分のカラダを嫌いと答えた人は、好きと答えた人の2倍以上
ブルーノ・マーズが歌った 「ありのままの美しさ」は、救いになるか
ブルーノ・マーズは、 2010年に発表した楽曲"Just the way you are"の中で、「君はありのままで素晴らしいから、何一つ変えて欲しくないと思っている」と歌った。なかなか自分自身の美しさに気づかないパートナーに、「ありのまま」の美しさを求めるブルーノの曲は、世界中でヒットした。
当時大学1年生だった私は、人生史上一番自分のカラダに自信がなかった時期だったこともあり、その曲に救われた。ブルーノが優しい歌声で囁いてくれれば、醜い自分が人前に出ても許される気がした。
しかし、カラダのコンプレックスを克服するために「ありのままでいいよ。何も変わらなくていいよ」と誰かがささやいてくれることは、果たして解決策になるのだろうか。
きっとそうではない。ありのままとは言っても、何らかの障害を抱えていたり、健康診断の検査に引っかかっていたりすれば、そのまま放置するのは良くないだろう。そして、現在の自分の姿に自信を持てない人にとって、「今のまま」がいいと人に何度言われても、一時的に癒されても心の奥底までは響いてこない。
みんながダイエットや美しくなる努力をやめて、すっぴん、おしゃれもしない世界はなんだかつまらない。この環境や生き方を変えたいと思わなくなる世界はきっと今よりも色あせて見える。それならば、私たちはこの「完璧なカラダ」への執着心とどう戦っていけばいいのだろうか。
アメリカで話題になった「ある実験」
アメリカの動画サイト「The Scene」で体型や見た目に関する「ある実験」が行われた。登場人物は、大親友のティファニーとアリッサ。2人にそれぞれ自分のカラダについて嫌いなところを書いた紙を用意させた。動画では、その紙に書いた言葉を自分自身に言う代わりに、相手に対して伝えた。一人は、言葉を口にする前から、涙を浮かべた。
写真に写る姿が、ブサイクすぎて見ていられない
もっと痩せていれば、彼は浮気なんかしていなかったはず
袖なしの服なんて、一生着られない。たとえ自分の結婚式でも。
なんで彼女みたいになれないの?
自分自身への言葉とはいえ、見ているこちら側も胸が痛くなった。1週間後、彼女たちは動画を振り返って無意識のうちに自分自身を傷つけていたことを知る。「私の事をいつも優しく褒めるように、自分のことをもっと大切にすればいいのよ」。ティファニーは、アリッサに言う。動画の最後にこんな文章が映し出される。
私たちはなぜ、親友にも言わないこと(考えもしないこと)を自分自身に言うのでしょうか。
自分自身の親友になりましょう。
私たちは、今日から自分のカラダの親友になれるだろうか。欠点しか見えてこないくらい憎んだ相手だから、親友は難しいかもしれない。それでも、友達から始めることはできそうだ。まずは、存在を否定するのではなくて、存在を認めてあげることから始めてみてはどうだろうか。
「ボディポジティブ」という方法
『Ladies Be Open』は、5月から2カ月間「ボディポジティブ」をテーマに記事を発信していく。
体型や見た目は、なぜこんなに私たちを悩ませるのだろうか。やせ細ったモデルを起用するファッション業界、性の多様性を排除するような社会、みんなと同じであることを求める同一主義、プレッシャーを与える同性からの目線、そして当然のように「やせ」を美とする日本...。
女性が対峙しなくてはいけない「敵」は様々だ。それは、多種多様なコンプレックスと戦わなくてはいけないことを意味する。
でも、それは本当に私たちが戦わなくてはいけない「敵」なのだろうか?どうしたら「友達」のように存在を思いやり、愛のある関係を築けるのだろうか。
自分のカラダの好きじゃないところをもう一度見つめ直すことで、また、カラダと真摯に向き合ってきた人やコンプレックスを乗り越えて実際にポジティブに生きている人の言葉を聞くことで、今まで考えもしなかった新しい自分を発見できるかもしれない。皆さんの体験や思いも是非聞かせてほしい。
私は、「大嫌い」というカラダに対する負の感情を一旦やめるところから始めてみたいと思う。太い指にネイルを塗れば、一気に華やかになる。大きなおしりが「美しい」とされる国に海外旅行に行くのはどうだろう。たまには向き合うのが辛い日もあるけど、そういう時はそっとしてあげよう。そうやって自分の「友達」との付き合い方を一つずつ考えていきたい。
ハフィントンポストでは、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、『Ladies Be Open』を立ち上げました。
女性のカラダはデリケートで、一人ひとりがみんな違う。だからこそ、その声を形にしたい。そして、みんなが話しやすい空気や会話できる場所を創っていきたいと思っています。
みなさんの「女性のカラダ」に関する体験や思いを聞かせてください。 ハッシュタグ #ladiesbeopen#もっと話そうカラダのこと も用意しました。 メールもお待ちしています。⇒ladiesbeopen@huffingtonpost.jp