春・新年度 学校に行ったら先生がいない!? お別れの機会を失う東京の子どもたち

4月1日付で異動した公立学校の先生たち。子どもや保護者、同僚の教職員からも悲喜こもごもの声が聞こえてきます。

新年度が始まりました。

4月1日付で異動した公立学校の先生たち。子どもや保護者、同僚の教職員からも悲喜こもごもの声が聞こえてきます。

道府県の多くの教育委員会では、4月1日付の教職員人事異動について、3月20日ごろから3月30日までに公表し、子どもも保護者も知ることができます。

ところが、東京都教育委員会では、未だ「4月1日までは絶対に異動のことを話してはいけない」と箝口令が敷かれ、異動する先生もしない先生も口を閉ざし、子どもが聞いても「さあ??」と何とも不思議な空気が流れます。

4月になって見慣れた先生の顔が見えないことで初めて先生が転勤したことを知り、戸惑う子どもたちもいます。先生からも「年度内に転勤をするかしないか言えた方がずっと楽なんですが・・・」と本音ももれ聴こえます。

関東地方1都6県では、東京都と群馬県が3月中に公表していません。4月1日まで公表しないことにしている東京都教育委員会に、理由を聞いてみました。

「事情を抱えている先生が多く、ぎりぎりまで人事が変わることがある」

「区教育委員会等からこちらの学校に変えてほしいといった相談もあり、できるかぎりきちっとした内容で公表しようとすると4月1日になってしまう」

とのこと。

3月中に公表している県の教育委員会に伺うと、4月1日付の人事異動を3月中に公表し、その後に変更があったとしても、それは4月に入ってからの人事なので問題ないとのことでした。

東京都教育委員会として、他県の公表に学ぶことは大いにあると思います。

3月に卒業した子ども達は、卒業前に異動がわかっていれば、お礼やお別れを伝えたかったのに!と残念がっています。離任式に来られるかどうかわからないから、もう会えないかも知れない、と。

保護者からは、「子どものことを前日まで相談していたのに、4月1日の朝の新聞を見て異動を知りショックを受けた」との声も。

都内の公立学校に通う子ども・保護者はこうした思いを持つことが少なからずあります。

社会一般的に、人事異動は事前に公表されるのが常。

ましてや、子どもたちにとっては生活の中心とも言える学校で、長い時間をかけて関係を築いてきた先生が、気づいたら居なくなっていたという別離のあり方は、子ども心に影を落とすこともあるかと思います。

中には自らの判断で子どもたちときちんとお別れをする先生もいらっしゃいますが、制度として、子どもたちとしっかり「別れの時間」を共有してこそ、4月から新たな気持で前向きにスタートすることができるのではないでしょうか。

春は、出会いと別れの季節。どちらも大切にして欲しいと感じています。

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