社外勉強会は仕事人脈構築に効果あり?情報の入手先の7割はSNSから――資格取得のための学習者は3割に留まる。資格学習は「時間がない」「役立つ資格がない」「昇給に繋がらない」

現在のビジネスパーソンは社外勉強会を通して、幅広い知識や人脈を得て、今後社会で生きていくための「柔軟性」や「クリエイティビティ(創造性)」を持つことを欲しているのかもしれない。

その年の「ベストチーム」を表彰し、日本のチームワークの向上と促進を提案するベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会(委員長:齋藤孝:明治大学教授、以下:実行委員会)と、Orinoco Peatix株式会社(オリノコ・ピーティックス、所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長: 岩井直文、以下Peatix)は、若者のチームワークに関する調査の第13弾として、全国の社会人男女約700人に「社外勉強会」に関する調査を行いました。

実行委員会では、若手社会人向けワークショップ「社会を変えるチームを想像するフューチャーセッション」 を昨年から今年春にかけて行いました。そこでの様々な交流や情報収集から、こうした社外勉強会に参加する若手社会人が増えていると仮説を立て、社会人の社外勉強会に関する現状把握のため今回の調査を行いました。

今回の調査では、Peatixと共同で、若手に限らず「社外勉強会に参加したことのある社会人」を対象に、社外勉強会に参加する理由や得たもの、期待することなどを尋ねました。

当調査で、社外勉強会に参加する目的は、仕事に関連する知見と人脈を得ることが大半であること、7割の人が2ヶ月に1回程度の割合で参加しており、世代や職種に関係なく幅広い知見を得たいと考えている人が約6割に上るという結果が出ました。

また、該当者のうち、資格取得の学習をしている人は3割弱、オンライン学習については、経験者と未経験者が過半数で分かれるという結果も出ました。

調査概要

調査対象:Peatixで公募された勉強会、セミナー、ワークショップに直近1年以内に1 回以上参加したことがある社会人

有効回答数:704名

調査期間:2014年9月3日(水)~ 8日(月)

調査方法:インターネット調査

勉強会参加の目的は「仕事の幅を広げる知見を得るため」が6割 ――参加した結果、目的は果たせたており、人脈構築にも一定の効果が

社外勉強会に参加する目的を尋ねた質問では「現在の仕事の幅を広げる知見を得るため」と回答した人が6割という結果が出ました【図1】。実際に勉強会で得たものとの比較すると、「学ぶことそのもの、知的好奇心の充足」の項目のみ、参加前後の差が出ており、「知見を得る」、「人脈構築」といった目的に関しては、おおよそ意図に適った成果を得ているようです。

社外勉強会への参加頻度としては、「年間2~5回」が約5割と最も多く、次いで「6~10回」が2割となり、だいたい2ヶ月に1回の割合で社外勉強会に参加している人が約7割いることが分かりました【図2】。また、社外勉強会への参加頻度が高ければ高いほど、知見より人脈構築の面で成果が得られているとの結果がでました【図2-1】。

【図1】

【図2】

【図2-1】セミナー参加頻度×社外勉強会で得られたもの

【表1】自由回答コメント例

社外勉強会への継続参加希望者は7割

職種や世代に関係なく幅広い知見を得たいと希望する社会人は6割

今後も社外勉強会への参加を続けたいかを尋ねた質問では、約7割の人が「今後も参加したい」と回答しました【図3】。参加してみたい勉強会のタイプについては、同一世代や、同一職種の勉強会よりも、世代や職種を越えて幅広く知見が得られるものに参加したいと回答した人が過半数を超えました【図4】。

【図3】

【図4】

勉強会情報はSNSを通して知る人が7割

1回の勉強会で自己負担できる上限は5,000円まで

今回の調査対象者はPeatix利用経験者というバイアスがかかっていることを考慮する必要がありますが、社外勉強会情報の入手の仕方を尋ねた質問では、7割の人がソーシャルメディアを通してと回答しました【図5】。また、1回の勉強会で自己負担できる上限を尋ねた質問では、「3,000円まで」「5,000円まで」と回答した人がそれぞれ約3割ずつという結果でした【図6】。

【図5】

【図6】

現在資格の勉強をしている社会人は3割――資格勉強は「時間がない」「役立つ資格がない」「昇給に繋がらない」

オンライン学習の経験は二極分化

社外勉強会以外の学びの手段として、資格取得について尋ねた質問では、「現在はしていない」と回答した人が7割を超えました【図7】。その理由には、「時間がない」のほか、「役立つ資格がない」「昇給に繋がらない」「会社から求められていない」といった回答が続きました【図8】。オンライン学習について尋ねた質問では、「(現在も含めて)したことがある」人と、「したことがない」人で、ほぼ半数に分かれました【図9】。

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【表2】自由コメント例

所見

ソーシャルメディアの普及や、今回共に調査を行ったPeatixのようなイベントプラットフォームの増加により、社外勉強会の情報に触れる機会は増えてきている。平成19年版国民生活白書(p139)において、3人に1人の社会人が社外勉強会や交流会に出ているという結果がでているが、その理由などについては明確な調査が無かったため、今回過去1年に社外勉強会参加したことのある人に絞って傾向を確認してみた。 今回の調査対象は、Peatixを利用した経験のあるユーザーとなるため、回答者は比較的ネットやSNS等と親密性を持つユーザーであるというバイアスがかかっている点を考慮する必要がある。

勉強会の目的が「現在の仕事」に関するスキルアップやプラスアルファの視点を得るためであることが明確に現れた。また、人脈構築も目的の1つであること、今後参加したい勉強会については、世代や職種を問わないものへの要望が一番多いことを勘案すると、社外勉強会に参加する社会人には"仕事に関係する知見や人脈を築き、拡げながら、他分野の知見や人脈等も築いていきたい積極性"や、"視野の拡大への希求"があることが感じられる。

また、現在資格試験のための学習を行っている回答者が3割以下であった点は、想定より少ない結果であった。その理由として、時間などの物理的制限もあるが、魅力的な資格の減少や資格自体が評価されなくなってきている傾向もうかがえた。自己啓発の1つとして、社外勉強会等で知識や人脈をつくり、自己実現を目指すビジネスパーソンが増えているともいえる。オンライン学習については、インフラが整ってきた過渡期であり、今後どのように変化するか見守る必要があるだろう。

自由回答では、「社会に役立つ人間になりたい」や「学習した成果を社会に貢献できる形で還元したい」といった回答もあり、自ら持ったり得たりしたスキルを広い意味で活かすことも視野に入れていることがわかる。

また、今回の回答者の6割は「今後5~10年の間に転職する可能性がある」と回答している(補足資料)。現在のビジネスパーソンは社外勉強会を通して、幅広い知識や人脈を得て、今後社会で生きていくための「柔軟性」や「クリエイティビティ(創造性)」を持つことを欲しているのかもしれない。

実行委員会では、今後もこうした若手ビジネスパーソンやチームワークに関する調査を行い発信してまいります。

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