ビール1杯に30万円のチップ。コロナ禍で休業するレストランを励ますために

「この金額で間違いありませんよ。メリークリスマス。営業を再開したときにまた会いましょう」

新型コロナウイルスの感染者増加で休業するレストランで、ひとりのお客が一杯のビールに30万円以上のチップを払い、苦しい状況にある従業員を励ました。

チップを受け取ったのは、アメリカ・オハイオ州クリーブランドにあるレストラン「ナイトタウン」オーナーのブレンダン・リングさん。

リングさんは11月22日、チップの額が書かれた控えをFacebookに投稿した。

控えには7.02ドル(約730円)のビールの注文とともに、3000ドル(約31万円)のチップ額が書き込まれている。

他の多くの州同様、オハイオでは新型コロナウイルスの患者が急増している。

リングさんはこの1週間前に「病院など最前線で働く人たちの状況が日々悪化していて、これ以上は営業を続けるのは難しいと感じています」とFacebookに投稿。11月22日のブランチをもって、当面の間自主的に休業すると伝えた。

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DusanBartolovic via Getty Images

Facebookの投稿によると、男性客は、22日のブランチが終わる直前に、レストランにやってきた。

ビールを飲んで会計を済ませ、「休業の間どうか元気で」とリングさんを励ました後に、チップをホールスタッフで分けて欲しいと伝えた。

リングさんは「ありがとうございます」と感謝したが、最初、3000ドルものチップを支払ってくれたことに気づかなかったという。

「私はメガネをかけておらず控えを見て(一ケタ少ない)『300ドル(約3万1000円)もチップを払ってくれている!』と驚きました」と、リングさんは地元メディアのクリーヴランドドットコムに語る。

「メガネをかけて改めて見て『えっ――!』と驚きました。なんと3000ドルだったのです。私はドアから走り出て、彼の後を追いました。そして『一体この金額は?』と尋ねると、彼は『この金額で間違いありませんよ。メリークリスマス。営業を再開したときにまた会いましょう』と言ったんです」

チップは、その日働いていた4人のホールスタッフで750ドルずつわけた。彼らはこの後失業手当を申請する予定で、中には泣き出したスタッフもいたという

男性は常連客だが、客のプライバシーを考慮してリングさんは名前は公表しなかった。

「信じられないような出来事です。でも私たちがナイトタウンでこれまで何年も出会ってきた人たちを温かさや優しさを象徴するようなことでした」とリングさんはFacebookに綴る。

リングさんは、新型コロナウイルスの感染者が減少したら、店を再開させたいと考えている。

まだしばらく時間がかかるかもしれないが、休業直前に多額のチップで励ましてくれた男性に「私とスタッフ全員、この素晴らしい親切と大きな意思表示に、心より感謝します」とリングさんは感謝を伝えている。

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