PRESENTED BY アクサ・インベストメント・マネージャーズ

「投資」で未来を作る。変化が加速する時代に持つべきマインドセットとは?

変化が加速する時代に、持続可能な未来を作るには? 投資の観点から、トム・ライリーさんと泉谷ハフポスト編集長が対談しました。

新しいテクノロジーにより、世界がめまぐるしく変化する現代。

投資に必要なのは、テクノロジーによる課題解決の可能性やビジネスチャンスを探り、より良い未来を作るマインドです。

そう語るのは、アクサ・インベストメント・マネージャーズ(以下、アクサIM)グローバル・テーマ株式運用戦略ヘッドのトム・ライリーさん。

変化が加速する時代に、持続可能な未来を構築するには? 投資の観点から、トム・ライリーさんとハフポスト泉谷編集長が対談しました。

左:アクサ・インベストメント・マネージャーズ グローバル・テーマ株式運用戦略ヘッドのトム・ライリーさん。右:ハフポスト編集長の泉谷由梨子
左:アクサ・インベストメント・マネージャーズ グローバル・テーマ株式運用戦略ヘッドのトム・ライリーさん。右:ハフポスト編集長の泉谷由梨子
tomohiro takeshita

変化する世界で「投資機会」はどこにある?

泉谷編集長(以下、泉谷):最近、「SOCAP」という社会起業家・インパクト投資家らのカンファレンスに参加するため、サンフランシスコに行ってきたんです。そこで、自動運転タクシーを初めて体験してきて。すごく未来を感じました。

2023年は、「ChatGPT」など、これがAI時代の幕開けかと感じるようなサービスを専門家ではない多くの人も普通に使い始め、本格的な時代の転換点を迎えました。メディアの仕事でもAI活用が進み、私たち自身も時代の大きな変わり目を感じているところです。

一方で、自分の仕事がなくなるのではと不安に苛まれている人が多いという統計もあります。トムさんは、この変化をどのように捉えていますか?

トム・ライリーさん(以下、ライリー):テクノロジーの進化と雇用の関係については、これまで長く議論されてきました。

私たちは今、かつてないほど技術的に進歩した世界を生きています。ですが、テクノロジーの進化は止まることなく、むしろ加速しています。では、失業者が急増したのか? というと、現状の失業率は比較的低いレベルにあります。

人間の労働力は進化と適応を繰り返して、需要のある方へ移っていくもの。その回復力はとても高く、ダイナミックです。

また、昨今の生成AIなどで見られる技術革新は、生産性向上に関係しているものが多い。つまり、人間の仕事を補完することで、むしろ私たちがより良く働くサポートをしてくれると考えています。

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泉谷:アクサIMでは、テクノロジーや人口動態、地球環境の変化に伴う、社会の変化から生まれる投資機会に注目しているそうですね。

ライリー:私たちは、3つの柱「テクノロジー」「ピープル」「プラネット」を設定して、世界の変化に伴う成長機会を探しています。

まず「テクノロジー」は、2つのカテゴリ「自動化」「消費のデジタル化」に分けることができます。前者は、ロボティクスによる自動化の進展。後者は、小売のオンライン化や企業のデジタル化です。

「ピープル」もまた、2つのカテゴリに分かれます。一つは「高齢化とライフスタイル」。人類は長寿命化する一方、必ずしも健康的なライフスタイルを送っているとは限らない。ですから、高齢者のニーズに対応できる企業にとって大きなチャンスとも言えます。

もう一つは「社会的な繁栄」。これは新興国市場の話で、インクルージョンやヘルスケアに関わります。今後、新興国の経済が世界で優位になっていくにつれ、大きなビジネスチャンスが生まれてくるでしょう。

そして最後の柱「プラネット」は、「エネルギーの転換」と「生物多様性」に分かれます。前者は、すでに多くの投資家が成長の機会を見出しています。後者は、まだ初期段階ですが、天然資源と地球環境を保護するために重要なテーマです。

当社ではこのような世の中の変化に着目して投資をおこなうことで、関連企業の成長に貢献し、それが直接的により良い未来へつながっていくと考えています。また、投資家の皆様にはリターンをお届けすることで、長期的な資産形成のお手伝いをさせていただきたいのです。

「物流倉庫の自動化」「手術ロボ」課題からビジネスチャンスが生まれる。

泉谷:たとえば、私たちが暮らす日本の市場ですと、「2024年問題(※)」をはじめ、人手不足が非常に深刻になると考えられています。そのため、物流の自動化は影響が大きいと思っています。

※働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称のこと

とある食品メーカーでは、人手不足により、一部地域で物流企業との契約を打ち切られ、小売店への納品が突然できなくなった経験があるそうで。そこからDX改革に乗り出したという話を聞きました。物流の分野は投資においてもビジネスチャンスなのでは。

ライリー:物流センターのなかで高度な自動化ができているのは、全世界の約10%に過ぎないというデータがあります。つまり、まだまだ効率化の余地があるんです。

かねてより流通業界は深刻な人手不足に直面していましたが、コロナ禍でネット通販の需要が高まったことで、問題が顕著になりました。実際、この時期に大きな賃上げが起こったのは、まさにこの業界です。

倉庫の労働者の賃金が上がれば、自動化の需要も高まります。人が足りない、もしくは人件費が高くなれば、自動化の導入コストの投資回収期間(※)がより魅力的になり、投資する必要性も高まるわけです。そうして、実際にコロナ禍が収束する頃には倉庫の自動化への投資が活発になり、アメリカを中心に力強い成長が見られました。

※設定した期間内に投資した資金を回収できるかどうかを検討する投資判断方法の一つ

泉谷:実は日本で言われている物流の「2024年問題」は、ネガティブな側面だけでなく、政府による「働き方改革」の成果であるとも言えます。

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つまり、トラックドライバーの長時間労働が問題となり、時間外労働が厳しく規制されるのが2024年ということです。医療・産業でもほぼ同じことが起こっています。

日本は1990年代以降、「失われた30年」と呼ばれる長期にわたって物価が上がらないデフレとの闘いに苦しんできました。ドライバーの長時間労働は、価格を上げられない産業界から人間への皺寄せの結果でもあります。

そうした観点からすると、ロボティクスの導入は労働者不足の穴埋めだけでなく、人間が搾取されずに暮らす世界を作り上げる、理想の達成のようにも思えます。トムさんはその点について、どうお考えでしょう?

ライリー:テクノロジーによって人間のスキルは補完・強化され、生産性向上につながると思っています。とくにロボティクスや自動化が得意とするのは反復作業。人間がやる必要のない、退屈な単純作業ですね。

現在、自動化が進められているのは単純作業に加え、危険が伴ったり不衛生だったりする作業。これによって人の労働力は、より生産的で安全、充実した内容の作業へ移行していくでしょう。こうした人間とテクノロジーの関係性は、泉谷さんが言うところの「理想の達成」につながるかもしれません。

たとえば医療分野でも、ロボティクスと自動化が急速に取り入れられています。手術を支援する新技術が導入されれば、手術による傷を最小限に抑え、早期の回復が可能になります。医師のスキルが強化され、「良い外科医を最高の外科医にすることも、普通の外科医を良い外科医にすることもできる」と言われたりするほどです。

また一方で、先ほど話した長寿化とも関連しますが、近年は糖尿病や肥満などの生活習慣病が増えています。こうした疾患の治療をサポートするようなテクノロジーも次々と誕生し、大きなビジネスチャンスが現れています。

インパクト投資は、社会に参画する手段の一つ。

泉谷:気候変動に関する国民の意識調査によると、日本では「グリーン・ニューディール(※)」的な考え方があまり浸透しておらず、気候変動対策は我慢だと捉え、ビジネスチャンスと切り離して考える人が多いことが明らかになっています。

※環境政策と経済政策の複合的な効果を期待する政策のこと

これは気候変動対策にとって足枷になるのでは、と私は考えています。トムさんは、脱炭素社会への移行過程で生まれるビジネスチャンスをどう見ていますか?

ライリー:時代の転換期において、どの企業が利益を得られるか見極めることは、投資家にとって重要です。たとえば太陽光発電は、脱炭素化の取り組みを通じて大きく成長したものの、短期的には利益を上げられていないという印象をお持ちかもしれません。

一方で、脱炭素化をビジネスチャンスとして捉え成長している良い例として、電気自動車向けの半導体市場が挙げられます。

2023年現在、内燃機関自動車(※)には750米ドル相当の半導体が、電気自動車には1,300米ドル相当の半導体が搭載されています。そして2030年代末期までに、2,000米ドル相当の半導体が電気自動車に搭載されると言われています。これは非常に大きな市場です。

※ディーゼルやガソリンなど、エンジン内で燃料を燃やして生じる燃焼生成物から動力を得る仕組みのこと

そう考えると脱炭素化の流れが将来どれほどの利益増加の可能性を秘めているか、ビジネスの好機だと捉えることができるでしょう。

今、私たちが注目すべきなのは、この転換期において収益性の高い成長ができる企業だと思います。

それだけでなく、気候変動対策のような、より良い未来へつながる投資の場合、その投資自体が社会に参画する手段の一つでもあります。投資リターンとサステナビリティ目標の達成を両立ができるのが、インパクト投資だと考えています。

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泉谷:インパクト投資といえば、冒頭に話した「SOCAP」に参加した際、インパクト投資家の方々に会いました。私は「社会に参画する」ことが人間の幸福と関係があると考えています。それはさまざまな方法で可能ですが、確かに、投資もその一つなのではないか? という思いを強くしました。

ライリー:個人が社会課題に取り組む手段はいろいろあると思います。社会に前向きな影響を与える企業に投資をすることも、その手段の一つになりますよね。

世界は変化し続けていて、常にダイナミックです。新たな技術、新たな商品・サービスが次々と生まれ、私たちの生活様式も変わっていく――。そうした社会の変化に絶えず目を向けながら、テクノロジーによる課題解決の可能性やビジネスチャンスを探り、より良い未来を作っていく。そんな長期的かつ前向きなマインドが、現代を生きる投資家には必要なのではないでしょうか。私もそのようなゴールを目指して投資をおこなっています。

チャンスが生まれる変化がある時、うまくいくビジネスもあれば、うまくいかないビジネスもあります。それを見極めるのが私たちの仕事ですし、正しいものを見極められるようにしていきたい。そう思いますね。

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写真:tomohiro takeshita

取材・文:大橋翠

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