私たちは同じ、1人の人間です――トランスジェンダーについて語った3年前のエマ・ワトソンさんのコメントが、ネットで拡散している。
今再び注目されているのは、2019年のブリティッシュ・ヴォーグのインタビューの一部だ。
このインタビューでは、作家で活動家のトランスジェンダー女性パリス・リースさんが、「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニー・グレンジャー役で一躍有名になったワトソンさんに、キャリアや生き方などについて聞いた。
その中でトランスジェンダーの話題になり、リースさんは「私と、同じ女子トイレを安心して共有できますか」と尋ねた。
ワトソンさんは、この質問に驚いたような表情を見せ「もちろんです」と即答。「それは、私が手術を受けているかどうかに関係がありますか?」という問いにも「いいえ」と答えた。
さらに、リースさんが「それでは、同じトイレを安心して使えないという人たちには何と言いますか?」と尋ねると「1人の人間だ、と言います」と述べた。
Amzさんのツイート:「1人の人間です」。エマ・ワトソンが、私たち多くのシスジェンダー女性が感じている気持ちに光を当てた。これこそ本当のフェミニズムで、シスターフッド(女性たちの連帯)だ。
そして、少し考えた後に次のように続けた。
「知らないものに恐怖を感じる気持ちは、理解できます。『私には理解できない』『(トランスジェンダーの人に)会った事がない』と言いたくなる気持ちもわからなくはありません」
「だけど、もっと彼らのことを知って、直接話し、そしてトランスジェンダーの人たちの目を近くで見てください」
「そしてその後でも、あなたはその人が疎外されていても平気だと感じるのかどうか、教えてください」
ワトソンさんはインタビュー全編で、「誰かに疎外感を感じさせるのは、痛みを伴うことであり、大きな影響を与える」とも語っている。
そして、リースさんへの問いへの回答として「『自分がのけ者にされていると感じたことはありますか?自分が歓迎されていないと感じたことはありますか?』と尋ねたいです」と訴えた。
J.K.ローリングの発言に反対してきたハリポタ出演者たち
この動画はTikTokで拡散された後、Twitterでもシェアされ、週末にはワトソンさんの名前がトレンド入りした。
再び反響が広がった背景には、「ハリー・ポッター」シリーズ作者のJ.K.ローリングさんの、トランスジェンダー嫌悪的な言動があるのかもしれない。
ワトソンさんのインタビューが行われたと同じ2019年、ローリングさんは、トランスジェンダーを否定する発言が原因でシンクタンクの契約更新を拒否された税金専門家のマヤ・フォーステーターさんを、Twitterで擁護した。
フォーステーターさんは、更新拒否を不服として裁判で争ったものの、裁判所は発言は「人間の尊厳と他人の基本的人権と相いれない」として、シンクタンクを支持する判決を言い渡した。
ローリングさんはフォーステーターさんを擁護した後も、トランスジェンダーを否定する姿勢を崩していない。
一方、ワトソンさんは2020年には「トランスの人たちは自分が望む通りの人間であり、いつも誰かから疑問視されたり、あなたはあなたが言うような人じゃない、と告げられずに生きる権利がある」とツイートして、トランスジェンダーの人たちへの連帯を示した。
また、ワトソンさんは2022年3月に開かれた英国アカデミー賞で「次の賞のプレゼンターはエマ・ワトソンです。彼女は自分をフェミニストと呼んでいますが、私たち全員が彼女が魔女であると知っています」と紹介された際、壇上で「私はすべての魔女のためにここにきました」と述べた。
この「すべての」という発言に、SNSでは「ローリングさんを否定し、トランスジェンダーの人たちをサポートを示したのでは」など反響が広がった。
ワトソンさんの他にも、ダニエル・ラドクリフさんやケイティ・リューングさん、イヴァナ・リンチさんなど、多くの「ハリー・ポッター」シリーズ出演者らがローリングさんに反対し、トランスジェンダーの人々へのサポートを表明している。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。