表現のこれから
2019年09月02日 17時28分 JST | 更新 2019年09月02日 18時15分 JST

「表現の不自由展」の中止理由は、安全への配慮か“検閲”か。津田大介さんと実行委で見解が食い違う

あいちトリエンナーレ芸術監督の津田大介さんと、「表現の不自由展」実行委員会が別々に会見を開く事態に。

Kenji Ando
都内で記者会見を開いた「表現の不自由展・その後」実行委員会の岡本有佳さん(9月2日撮影)

企画展「表現の不自由展・その後」の実行委員会のメンバーが9月2日、都内で記者会見を開き、「表現の自由を侵害した行政の判断は検閲に当たる」と中止を決めた愛知県の大村秀章知事らの対応を批判したうえで、展示再開を求めた。

トリエンナーレの芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介氏の会見の直後、同じ会場で別々に会見を開くという異例の展開になった。津田さんは記者席で静かに会見を聞いていたが、質問や発言はしなかった。

  

■安全管理上の問題と、津田さんは説明

「表現の不自由展・その後」は、90組以上の芸術家が参加する国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の一環として注目を集めていたが、従軍慰安婦をモチーフにした「平和の少女像」や昭和天皇をテーマにした作品に対して、テロ予告や脅迫があったとして、愛知県の大村秀章知事と津田さんの判断で開催から3日間で中止された。

津田さんは9月2日の会見で、企画展の中止理由について「政治家の圧力が原因ではありません。事務局の機能が麻痺したこと、テロの脅迫に直面、職員のストレス、これらにより円滑な運営ができなくなったことが原因」として、相次ぐ電話抗議や脅迫文などへの対応による安全管理上の問題とした上で、検証委員会の結論を待ちたいと話した。

 

■「表現の自由を侵害した行政の判断は検閲」と実行委は主張 

Kenji Ando
都内で記者会見を開いた「表現の不自由展・その後」実行委員会の小倉利丸さん(9月2日撮影)

これに対して直後の会見で、「表現の不自由展」をキュレーションした実行委員会のメンバーである岡本有佳さんは「安全上の問題とは考えていません」と反論。「作品を見せないようにしたこと、表現の自由を侵害した行政の判断は検閲に当たると考えています」と訴えた。

同じく実行委の小倉利丸さんも、安全上のリスクに関して疑問を呈した。「愛知県は大きな自治体です。その県が、なぜこんな小さな展覧会のセキュリティすら守れないんでしょうか。市民の自由を守ること、安全に配慮しながら展示を続けることは私は可能だと思っています」と主張。

その上で「日本の検閲状況をひっくり返して、日本に表現の自由が生き続けていることを見せるのが最大の願いです」と、展示再開を求めた。

 

■津田さん「検閲に見えるという声は重く受け止めたい」

Kenji Ando
都内で記者会見を開いた津田大介さん(9月2日撮影)

実行委の会見後、津田さんは実行委のメンバーと5分程度、対話した。その後、ハフポスト日本版の取材に以下のように答えた。

「実行委のメンバーにもいろいろな思いがあります。今回、会見後に対話ができたことで、今後のやり方について協議を進めていくことになりました。展示中止は安全面でのやむを得ない判断でしたが、展示をボイコットした海外の芸術家を中心に『検閲に見える』という声があるのは、重く受け止めたいと思っています。ただし、芸術家の方も不自由展を再開するなら、自身の展示を再開したいとするなど、こちらの事情をくみ取っている部分もあります。その上でどのようなことができるか考えたいです」