ハフコレ編集部

「LGBTQ+」漫画や映画のおすすめ作品15選。性の多様性や色々な愛の形を知るきっかけに

6月は、LGBTQ+の権利を啓発する“プライド月間”。ピュアな青春ストーリーから社会課題を描いたものまで、厳選した15作品の見どころを紹介します。
Pollyana Ventura via Getty Images

性の多様性や色々な愛の形を知るきっかけになるのが、漫画や文学、映画などのエンタメ作品。

本記事では、LGBTQ+に関連したおすすめ作品を紹介します。胸がギュッと苦しくなったり、温もりでいっぱいになったりする作品ばかり。

ぜひチェックしてみてください。

おすすめ漫画5選

高校3年生、進路に悩む3人の物語

「少年ジャンプ+」で連載されていた『青のフラッグ』は、進路に悩む3人の高校生の青春漫画。高校生ならではの繊細な心情が鮮やかに描かれており、その中にはセクシュアリティやジェンダーの要素も含まれています。

レビューの中には「自分の先入観に向き合える」というコメントが多数。ストーリーを通して自分の中にある無意識の先入観に気づくことができ、LGBTQ +を知るための一歩にうってつけの一冊です。

ドラマ化もされた人気漫画。家族ってなんだろう?

ゲイアートの巨匠とも呼ばれる田亀源五郎氏の、初の一般誌連載作品。2018年にはNHKでドラマ化もされています。

父(弥一)と娘(夏菜)、2人が暮らす家に突然やってきたのは、カナダ人のマイク」。彼は、弥一の双子の弟の結婚相手だったのです。「家族とは?」「人と人の信頼関係とは?」というテーマが、朗らかに描かれています。

不思議な関係?でもなんだか落ち着くね

ストレスが溜まると、うっかり食べきれないほどご飯を作ってしまう野本さんは、食べるのが大好きなお隣さん、春日さんと出会います。

それから「作る・食べるの関係」になった二人。「美味しい」と言って食べてくれる喜びを噛み締める野本さんでしたが、この時間に心を救われているのは春日さんも同じでした。さらに野本さんは、春日さんに徐々に「特別な感情を抱いていることに気づき始め...?

共にご飯を食べながら日々あったことや、人生観を語り合う二人。二人の言葉に頷いたり、クスッと笑ったりして楽しめる一冊です。レビューには「二人の関係が素敵!」「どちらも魅力的」といった声も。

僕が恋をしたのは「脈なし確定」のアメフト男子

Netflixでドラマ化された『ハートストッパー』の原作。イギリスの高校が舞台の青春物語です。

できるだけ目立たないようにと背中を丸めて、限られた友達と高校生活を送るチャーリーが恋をしたのは、ラグビー部の花形生徒、ニック。いつも優しいニックに「もしかしたら自分に気があるのかもしれない」と胸を躍らせるチャーリー。友達からは「脈なしだ」「あいつは絶対ストレートだよ」と諭されていたが...?

魅力的なキャラクターが数多く登場し、甘酸っぱい高校生たちの心情に胸がキュンとします。作中では、アイデンティティの葛藤やメンタルヘルスなどにも触れています。

人の本質的な感情が見える。心の深い部分まで刺さる漫画

「胸に突き刺さるLGBTQ漫画」と評される『羣青(ぐんじょう)』は、Netflixのオリジナル映画『彼女』の原作。

主人公は、日常的に夫から暴力を受けていた女性と、彼女を慕い、頼まれるままに彼女の夫を殺したレズビアンの友人。殺害現場に証拠を残したまま、2人は逃亡を謀ります。明日をも知れぬ逃走生活の先にあるものは?異性愛者と同性愛者の2人の間に生まれるものとは?

「人の裏側や闇の持つ、本質的な感情が見える。心の深い部分をえぐられました」とのレビューも。「愛とは?」「人間とは?」と改めて考えさせられます。

おすすめ映画10選

美しいだけじゃない。ピュアで聡明な一夏の恋

1983年の夏、北イタリアの避暑地を舞台に描かれる一夏の物語です。

17歳のエリオは、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァーと激しく恋に落ちていく。しかし、オリヴァーが去る日が着々と迫り...

とにかく描写の美しい甘酸っぱいラブストーリー...かと思いきや、そこには古代ギリシャの哲学やメタファーが散りばめられています。

知的な二人の響き合うような会話、エリオ視点で描かれる掴みどころのないオリヴァー、そして透き通ったエリオの瞳など、細部まで見落とせません。

国内映画祭で13冠を受賞。「自分にできること」を考えるきっかけに

『カランコエの花』は、LGBTQ+を取り巻く周囲の人々にフォーカスした短編映画。周りの過剰な配慮によって、当事者が翻弄される姿を描いています。

ストーリーの舞台は、とある高校2年生のクラス。「LGBTについて」の授業が行われたことをきっかけに、生徒たちの間にある疑念が生じ、ストーリーが動き出します。「自分にできることはなんだろう」と、考えるきっかけになる映画です。

夫婦になったばかりの二人。恋は思いもよらない方向へ...

自由で多様な愛の形を軽快なタッチで描いた、4人の男女のストーリー。レイチェルとヘック、2人の挙式に現れたある男女との出会いをきっかけに、新婚夫婦の愛は思わぬ方向へ向かっていきます。4人の「四角関係」は、一体どうなる?

コミカルな突っ込みどころも満載で、ストーリーに引き込まれます。日本では劇場未公開の映画です。

演技派俳優陣が魅せる、少し変わった家族の愛情

アカデミー賞4部門ノミネート、ゴールデングローブ賞2部門受賞のアメリカ映画。主人公は、レズビアンのカップルと、精子提供を受けてそれぞれが産んだ2人の子供。母親2人と姉弟で、愛情に満ちた生活を送っていました。

そんなある日、子供たちはまだ会ったことのない生物学上の父親に興味を持ち、こっそり会いに行くことに...。

同性カップルの物語ながら「普遍的な家族の物語だと感じた」といったレビューも多く寄せらている本作品は、「家族や日常のあり方」を今一度考えさせてくれます。

将来の夢はドラァグクイーン!高校が舞台の英国発ミュージカル

イギリスの実話を元に描かれたミュージカル映画『ジェイミー』。

16歳の高校生、ジェイミーの夢は、ドラァグ・クイーンになること。母親から真っ赤なヒールをプレゼントされた事を機に、高校の卒業パーティーにドラァグ・クイーンとしての出席を試みるも、学校からの猛反対を受けてしまいます。

理解のない周囲から浴びせられる鋭利な言葉、息子を理解できな父親との確執などの困難を経験しつつ、親友や母親の愛情に支えられながら、自分らしさを貫くジェイミー。エナジェティックで爽快な楽曲の数々も、つい口ずさんでしまいます。

愛する夫が女性になっていく。それでも愛してる

世界で初めて性別適合手術を受けた人物、リリー・エルベの生涯を題材にした映画。

1962年、アイナー(リリー)とゲルダはコペンハーゲンに暮らす画家同士の夫婦。ある日、ゲルダの絵のモデルが来られなくなり、アイナーは脚部のモデルを務めるために女性用のストッキングを履くことに。それを機に、アイナーは女性である自分「リリー」に気付き始めます。

変わっていくアイナーに混乱し、葛藤するゲルダでしたが、リリー(アイナー)が性別適合手術を受け、女性の体を手に入れるまで支え続けます。静かで強かな「愛」が痛いくらい心に響く作品です。

それぞれの時代を生きた女性たちの「生き方」と「愛の形」

Netflixオリジナルシリーズ『セックス・エデュケーション』でも、主人公のメイヴが愛読しているヴァージニア・ウルフ。この作品は3つの時代に別れており、3人の主人公がいます。主人公の一人でもあるウルフの『ダロウェイ夫人』を通じて、話は進んでいきます。

1941年、入水自殺で亡くなったウルフ。1951年、旦那と息子と「幸せ」に暮らしながらも「女性」という立場に心を病んでいき自殺を図るローラ。2001年、マンハッタンで奔放に暮らすクラリッサ。

それぞれの時代を生きた3人の姿から「異性愛規範」や「ジェンダーロール」など、「女性らしさ」を垣間見ることができます。

愛する家族だからこそ、向き合えないときがある

生まれた時に女性性を割り当てられ、性自認は男性のレイ。ホルモン治療を始めたいレイですが、家族は乗り気になれず、同意書に中々手が伸びません。

祖母から「レズビアンじゃダメなの?」と言われ、周囲の理解をなかなか得られないレイ。学校の休み時間には学外の男女共用トイレに走って駆け込む姿に胸がキュッと苦しくなります。

愛する家族だからこそ、上手に向き合えない。作品の節々から伝わるメッセージは、ジェンダーやセクシュアリティだけでなく、様々な視点から、多くの人の共感を得ています。

お母さんって何?傷付いた心を癒す“家族”

『かもめ食堂』『めがね』などで知られる荻上直子監督が手掛けた、オリジナル脚本のドラマ。

母親に置き去りにされた11歳のトモ。トモが叔父のマキオの家を訪ねると、出生時に男性性を割り当てられ、性自認が女性のリンコと暮らしていました。

初めは驚いたトモでしたが、母以上に自分に愛情を注いでくれる彼女の優しさに触れる中で「お母さん」について考えはじめます。

リンコの表情や言葉から垣間見える心の傷や社会の冷たい風、そして心あったまる温かい“家族”の姿にギュッと胸が締め付けられます。

行き場のない子どもとゲイの二人。ただ三人で幸せになりたい

検事局で働くポールは、ショーパブで日銭を稼ぎ暮らすルディと出会い、交際を始めます。

ある日、ダウン症の少年マルコが物騒な夜道を歩いているのを見かけ、声をかけた二人。薬物依存症で男癖の悪い母親の元を離れたマルコを預かり、愛情でいっぱいの三人生活が始まります。

「養子に迎えよう」と決めた二人でしたが、世間の風当たりは残酷なまでに厳しく、「うちの子だ」と主張を始めた母親が更に状況を複雑化させていきます。監督の友人の経験をモデルにした作品とあって、セクシュアルマイノリティへの生々しい差別と、真っ直ぐな愛情の描写が胸を打つ作品です。

まとめ

LGBTQ+当事者が直面する日常や社会の課題、そして家族や愛について、改めて考えさせられる作品がたくさんあります。ぜひチェックしてみてくださいね。

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なんとなく受け入れてきた日常の中のできごと。本当はモヤモヤ、イライラしている…ということはありませんか?「お盆にパートナーの実家に帰る?帰らない?」「満員電車に乗ってまで出社する必要って?」「東京に住み続ける意味あるのかな?」今日の小さな気づきから、新しい明日が生まれるはず。日頃思っていたことを「#Rethinkしよう」で声に出してみませんか。