未来の寿司は「魚なし」?海の豊かさを守るためにやるべきことを、ハフライブで考えます。

「日本は豊かな海に囲まれた国だ」と思っていませんか?しかし、このままでは日本の食卓から魚が消えてしまうかもしれません。

日本食といえば…?「お寿司」!そう真っ先に思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。

お寿司の他にも、サンマの塩焼き、うなぎの蒲焼き、アジの干物、サバの煮付けーー。日本では、多種多様な魚がさまざまな調理方法でレストランや家でおいしく食べられます。

ニュースでサンマやサケなどの不漁を耳にすることはあっても、豊かな海に囲まれた日本で暮らす私たちにとって、「食卓から魚が消える日がくるかもしれない」という危機感は縁遠いものかもしれません。

上が現在のお寿司、下が「魚なし」になってしまうかもしれない未来のお寿司の模型。くら寿司の出張授業の教材の一部
上が現在のお寿司、下が「魚なし」になってしまうかもしれない未来のお寿司の模型。くら寿司の出張授業の教材の一部
ハフポスト日本版

しかし実は、海の漁業資源は「枯渇」に向かいつつあるといっても過言ではない状態です。

国連食糧農業機関(FAO)によると、資源状態が十分に豊富な魚はわずか6.2%。世界人口の増加や途上国の経済成長を受けて、世界中で魚の消費量が増加し、その需要に応えるように魚を「獲りすぎ」てしまったのです。

Yuki Takada/ハフポスト日本版
Yuki Takada/ハフポスト日本版
世界の漁業資源の状況

日本食のアイデンティティともいえる「魚」を守るためには、どうすればいいのでしょうか。4月のハフライブでは、「魚」を入り口に、日本の食卓と海の豊かさのこれからについて考えます。

<番組概要>

番組は無料です。

配信日時:4月26日(火)夜9時~に配信しました。

配信URL: Twitter(ハフポストSDGsアカウントのトップから)
https://twitter.com/i/broadcasts/1YpKkZWvWvVxj

新たな資源管理体制へ踏み出した日本

海の豊かさを守るために、何が必要なのでしょうか。

SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」を達成するために具体的にどんな行動が求められているか見てみると、海洋プラスチックごみやCO2が海に大量に溶け込む事による「海の酸性化」など環境汚染に関する項目もありますが、実は半分近くが私たちが食べる魚のこと、そのための漁業、に関係することなのです。

一人目のゲスト、WWFジャパン 海洋水産グループの滝本麻耶さんは、「世界の漁業資源の3割強が獲りすぎ(乱獲)の状態にあります」と指摘します。

「日本は水産大国として、漁業においても様々な工夫が凝らされ、また漁業管理においても世界をリードしてきました。しかし、水産資源の国際化や、漁船や漁網などの漁獲能力の増加、そして、日本周辺の海域で漁獲される水産資源の状態についても、その半分が『低位』となっています。こうした、日本の漁業生産を取り巻く変化に対応するため、管理方法を修正する必要性があり、戦後作られた「漁業法」が、2018年に70年ぶりに改正されました。科学的根拠に基づき目標設定、資源維持回復するような新たな資源管理システムの構築、が大きな柱となっており、この改正は日本の漁業の持続可能性に大きく寄与するものになると言えます」

科学的な根拠とともに持続可能な漁業に向けて舵をきり始めた日本。一方で、短期的に見れば魚を獲れる量が制限されることで漁師の収入が減ったり、獲れた魚をより正確に報告するシステムが出来上がっていなかったり、乗り越えるべき壁がたくさんあります。

日本で持続可能な漁業を実現するために何が必要なのか、考えます。

その外国産の安い魚、「奴隷労働」によって獲られたものかもしれません

私たちが食べている魚の3つに1つは、“違法に獲られているかもしれない”ことを知っていますか?

世界的に「IUU漁業(違法、無報告、無規制)」が問題になっています。IUU漁業は、密漁や、とった魚を報告しないまたは虚偽報告をする、国内外の法律を無視する、海洋資源の保全管理措置に従わずに行なうなどの漁業のことを指します。

日本も他人事ではありません。2015年に日本が輸入した天然水産物215万トンのうち、24~36%がIUU漁業によるものだと指定する調査結果もあります。

二人目のゲスト、遠洋マグロ漁を行う臼福本店5代目社長の臼井壯太朗さんは、「IUU漁業で獲られた魚が日本に流通している」と指摘します。臼井さんは2020年に、大西洋クロマグロ漁において、『海のエコラベル』と呼ばれるMSC漁業認証を世界で初めて取得しました。

「弊社は環境、魚の資源状態、人権の視点でしっかりと情報を公開し、持続可能なマグロ漁をしています。しかし、日本のマーケットの多くは、IUU漁業で獲られたかもしれないような外国産の“安い魚”を選ぶ。持続可能な漁業をしていることが『価値』になりにくい現状があります」

株式会社臼福本店の臼井壯太朗さん
株式会社臼福本店の臼井壯太朗さん
提供写真

また、IUU漁業(Illegal/違法・Unreported/無報告・Unregulated/無規制)の裏では、深刻な人権侵害が行われている可能性が高いと国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは指摘しています。

例えば2020年、中国のマグロ漁船で、インドネシア人24名が食事や睡眠が十分に与えられずに1日18時間を超える労働や、不当な借金を背負わされるといった「奴隷労働」をさせられていたことが発覚しました。この中国漁船は、マグロ漁を行いながら、裏で違法なフカヒレ漁を行っていたと報告されています。

EUやアメリカで既にIUU漁業による水産物の輸入を規制している中、日本でも規制する法律が2022年12月にようやく施行される見込みです。

日本にIUU漁業による水産物が入ってこないようにするために、サプライチェーン全体でどんな取り組みをするべきか、話し合います。

「フリーランス漁師」「スポット漁師」新しい働き方を作る

持続可能な漁業や水産業を実現するためには、漁師や水産加工会社などの高齢化や後継者不足の課題と向き合う必要もあります。

3人目のゲスト、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンで担い手育成事業を行う渡部更夢さんは、新しい漁師の働き方に挑戦しています。

「TRITON JOB SPOTというプロジェクトを2022年3月に立ち上げました。自然を相手にしている漁業は、繁忙期と閑散期があります。また、沿岸部で漁業を営む漁師は家族経営が多く、年間を通して一人の人を雇うことが経済的に難しい場合があります。そこで、繁忙期の2〜3カ月間だけ働く『フリーランス漁師』や『スポット漁師』など柔軟な働き方を普及させようとしています」

フィッシャーマン・ジャパンの渡部更夢さん
フィッシャーマン・ジャパンの渡部更夢さん
提供写真

渡部さんは、大学院を卒業した2021年、26歳でフィッシャーマン・ジャパンに入社。大学院に在学中には、海外の水産業を学ぶためにイタリアの漁村部に留学したり、帰国後に魚屋で働いたり、フィッシャーマン・ジャパンでのインターンなどを通して水産業に関わってきたと言います。

「日本全体で労働人口が減っていく中で、漁業の担い手を育てることも大事。獲る魚がいなければ産業が成り立たないから、海の環境も守ることも大事。一方で、環境の変化に漁師が対応し、経済的に稼げるようにすることも大事ですよね。人も環境も経済も、どれか一つが欠けてもダメ。​​水産業をどうやって持続可能なものにできるか、模索しています」

水産業に変革を起こすべく活動するフィッシャーマン・ジャパンは、創立から7年で漁業や水産業に携わる人を着実に増やしてきました。新しく始まったプロジェクトを担う渡部さんと一緒に、持続可能な水産業のために必要な価値の転換や、私たちにとって「海の豊かさ」とは何か、考えます。

<番組概要>

番組は無料です。時間になったら自動的に番組が始まります。

配信日時:4月26日(火)夜9時~配信(60分)

配信URL: Twitter(ハフポストSDGsアカウントのトップから)
https://twitter.com/i/broadcasts/1YpKkZWvWvVxj

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