PRESENTED BY パンテーン

「生徒の気持ち、わかるなぁ」という先生の葛藤も。 大人も学生も、一緒になって考えたい「髪型校則」の是非

髪型についての疑問、校則についての疑問。先生に聞いてみた。

学生時代に「先生から髪型についての指導をうけた」という記憶。

月曜日の身だしなみチェックで引っかかったり、生徒指導に呼び出しをくらったり。程度の違いこそあれど、多くの人が身に覚えのあることなのではないだろうか。そんな中、「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」というメッセージを掲げるパンテーンが、社会全体で髪型校則へのホンネについて話し合うきっかけをつくるために、「#この髪どうしてダメですか」と題したキャンペーンを展開している。まずはこの動画を見てほしい。

パンテーンのこのキャンペーンは、地毛であるにもかかわらず髪を黒く染めるよう指導された学生のニュースがきっかけとなって始まった。同社の調査によると、先生の87%が「時代にあわせて、髪型校則も変わっていくべきだと思う」と回答している。その一方で、現役中高生・卒業生の91%が「髪型校則がなぜあるのか、理由を先生に聞いたことがない」と答えている。

先生と生徒で、校則についてしっかりと話し合うこと。もしかすると、それが、黒染め強要にまつわる悲しい事件を防ぐきっかけになるのかもしれない。

かくいう私も、学生時代をふりかえってみると、間違いなく校則について「深く考えなかった」うちのひとりだ。高校時代、やんちゃ盛りだったこともあり髪を明るくしていた時期があった。自由な校風だったこともあり、許されているものだと思いこんでいた。

高校時代と現在。時の流れの無情さを感じさせられる。
高校時代と現在。時の流れの無情さを感じさせられる。

しかし、体育の先生から軽く諭されたり、予備校の先生からは怒られたりと、周囲の“先生”の対応はまちまちだったと記憶している。「高校生らしい髪型」にしたら? といわれたこともあった。“高校生らしい”って何だろう? と考えつつも、当時先生たちの真意は全くわからなかったし、知ろうともしなかった。

そこで今回、実際に現役の高校の先生に、校則にまつわる話を深く聞いてみることにした。先生は、本心では一体なにを考え、どんな気持ちで生徒を指導しているのか? 話を聞くうちに、先生という立場の難しさやまわりとの摩擦など、苦悩する現場の教師像がうかびあがってきた。

「わかるなぁ…という葛藤も」ー佐藤先生(仮名)の場合

現在中部地方で高校1年生の担任をつとめている佐藤先生(仮名)。昨年は生徒指導担当だったということもあり、生徒の髪型について指導することも多かったという。

―在籍されている高校は、どんな校則の高校なのでしょうか?

佐藤先生(以下、佐藤):厳しすぎるわけではないのですが、明確にさだめているルールはいくつかある…という高校です。「過度な刈りあげの禁止」「高校生らしい髪型で登校する」などですね。

―過度な刈りあげ、というと…

佐藤:ツーブロックなど、明らかに段がある髪型だとNGというルールですね。じゃあツーブロックは「高校生らしい髪型」じゃないのか、と問われると難しいところではあるのですが…

―実際にツイッター上では「男子のツーブロックは、モサモサしている髪型よりいいのではないか」という意見もあります。

佐藤:ごもっともなご指摘だと思います。そこは線びきの問題もあり、ツーブロックをOKとしてしまうと、他の奇抜な髪型もツーブロックの範囲とみなされてしまう恐れもあります。

―奇抜かどうかの線びきが曖昧なので、反発する生徒もいるのでは?

佐藤:反発する生徒は正直多いです(笑)私自身、自由な校則の高校をでているので、わかるなぁ……という葛藤もありますね。生徒全員にわかりやすい明確なルールとして、“段つきの髪型はNG”を定め、みんなに納得してもらっている現状です。ただ“ルールだから“NGとするのではなく、理由もふまえて生徒たちと会話する必要があると感じます。

―奇抜な髪型がNGな理由って、具体的にはあるのでしょうか?

なぜこうした厳密な校則をさだめているのかというと、私の勤務先の高校では指定校推薦や就職先推薦など、高校の名前を背負い進路をえらぶ生徒が多いのです。外見的な要素により、そうした校外の相手から評価され、かつ学校全体のイメージも左右されてしまうことがある。同じ高校の仲間たちの進路も背負っている意識をもってほしいと生徒には伝えています。

人生の各ステージにおいて、守るべき「ルール」は確かに存在すると思っているんです。いまここで守るべきルールは何か。幸いにもうちの高校には、“理由のない校則“は存在しないので、納得してもらえない生徒とはしっかりとコミュニケーションをとって、理解してもらうように心がけています。

―「対話」の姿勢が重要だ、と。

佐藤:うまくいかないこともたくさんありますけどね(笑)そこは信頼関係でなんとか、「まぁ先生の言うこともわかるよ!」と納得してもらっている、というところです。生徒たちには「社会に出て愛される存在になってほしい」と伝えています。挨拶ができるとか、寝ぐせがちゃんと直っているとか、自分で納得したうえでその社会のルールに従うことができるとか。総じて、自分の立場を客観視できる力は、人生において不可欠なものだと思うので、その気持ちを込めて伝えています。

先生という立場の難しさ、葛藤。佐藤先生は、自分なりに納得して指導をしていくためにも「対話」が重要だと語った。

それでは、反対に“自由な校風”の先生はどのような思いを抱いているのか? 関西の公立高校で体育の先生をしている坂田先生(仮名)にも話を聞いてみた。 

「じゃあ自分たちは何ができる?」―坂田先生(仮名)の場合

―坂田先生の学校は、非常に自由な校風で知られているようですね。

坂田先生(以下、坂田):この地域では自由な校風として有名です。だから何でもやっていいんだ! って入学してくる生徒が多いのも悩みどころ。

講堂に掲げられている校則には、「自由」などをあらわす文言がパラパラと書いてあるだけ。それをどう解釈するかも生徒に任せているんです。とはいえ自由すぎることで、進学率の低下を招いているのではないか?という意見があったりして…

だから先生の側で、もっと校則を厳しくするべきでは? という声もあがっています。

―生徒からはなんと?

坂田:もちろん反発されましたよ!「今までの伝統が~」とか「去年はOKだったのに、なぜ自分たちの代で~」「個性の尊重が~」など。話を聞いていくと、『髪形が自由だから、この高校に入った。校則が厳しくなるならこの高校にいる意味ない』とまでいう生徒がいて。

―そんなに…!その生徒にとっては、校則の自由さはそこまで大きな意味を持っていた、と。

坂田:じゃあ自分たちは彼らを説得するために何ができる? そもそもなんで校則を厳しくしようとしていたんだっけ? と、職員室でも議論になったんです。逆に我々が考えさせられましたし、生徒にも納得してもらえるよう、会話をつづけています。

校則を変えようと動く坂田先生と教師陣に対し、当然、反発する生徒もいたという。しかしそんな生徒たちとも向き合って対話することで、生徒自身らもまた「個性の尊重とはどういうことか」を考えるきっかけにもなった。

今回の取材を通じて、高校生が感じている疑問だけではなく、先生たちの悩みも浮き彫りになってきた。
今回の取材を通じて、高校生が感じている疑問だけではなく、先生たちの悩みも浮き彫りになってきた。

平成は終わり、令和の時代となる。

多様性に関する議論が、教育現場にも及んできた。髪の色ひとつをとっても人それぞれ。「個性の尊重」とはよく言うが、尊重されるべき「個性」とはなんなのか? ルールだからという理由で縛りあげるのは間違っているだろうが、個性の尊重という言葉ですべてを許容していくのも、なんだか違う気もする。あらためて、みんなで考える必要があるだろう。

理由のない校則に疑問を感じたら、先生と対話してみてほしい。先生だって悩んでいるだろうし、対話することで思わぬ進展があるかもしれない。

そんなことを考えていたら、高校時代の恩師に会って、話がしてみたくなった。あの先生は、髪を明るくしている私を見て、一体どんなことを考えていたのだろうか? ふるさとに帰ったとき、久しぶりに母校の扉をたたいてみようと思う。当時は恥ずかしくてできなかった「対話」が、今ならできる気がする。

動画概要:

日本の学校の髪型校則について、地毛証明書を提出したことのある生徒と先生がホンネで対話。今まで生徒からはなかなか聞けなかった質問や、先生からは伝えていなかった考えを、やりとりできる対話の場を設けました。
その様子をおさめたドキュメンタリームービーです。