「あなたは男か女か」。トランスジェンダーの次期州上院議員、性別を聞く失礼な質問に見事な回答

トランスジェンダーを公表する人物として、アメリカで初めて州上院議員に選ばれたサラ・マクブライド氏。SNSでのやりとりを公開しました。
サラ・マクブライド議員(2020年9月15日)
サラ・マクブライド議員(2020年9月15日)
ASSOCIATED PRESS

「あなたは男の子なのか、それとも女の子なのか?」――11月の選挙で、トランスジェンダーを公表する人物として初めて州上院議員に選ばれたサラ・マクブライド氏が、性別を聞いた質問に、3単語で返答した。

マクブライド議員がTwitterで公開したのは、DMでのやりとりだ。

「混乱しているのですが、あなたは男の子ですかそれとも女の子なんですか?」という質問に対して、マクブライド氏は「私は上院議員です(I’m a senator)」と答えている。

マクブライド氏のツイート「この答えで、解決してもらえるといいんですけれど」

トランスジェンダーの人たちへの差別や侮辱、やめてほしい

トランスジェンダーの人たちに、本人が自認する性別以外の扱いをしたり、性別について詮索することは、ハラスメントや侮辱になる。

マクブライド氏は自らの性自認が女性であることを公表しているが、侮辱的な質問をされたことに対し、このような返信をしたとみられる。

トランスジェンダーを公表しているペンシルベニア州レイチェル・レヴィン保健省長官は7月、新型コロナウイルスの対策を続ける中で、自身の性自認に対する侮辱的な言動や攻撃が続いていると指摘

こういった侮辱や差別は、本人だけではなく多くのトランスジェンダーの人たちを苦しめ、さらに不寛容と差別の精神を広げているとして、差別的な言動を止めるよう訴えた。

多様な社会には、政治家の多様性が必要

マクブライド氏は11月の選挙で、デラウェア州の上院議員に選ばれた。

トランスジェンダーを公表する人物が州議会上院議員に選ばれるのはアメリカで初めてで、オープンリートランスジェンダーとして、アメリカで最も高い地位の政治家になる。

マクブライド氏は当選が確実になった後、「私の当選が、LGBTQの若者に『自分を代表する人がいる』というメッセージになって彼らを勇気付け、政治家になりたいという人たちを後押しできたら嬉しい」とロイターのインタビューで述べた。

さらに「健康的な民主主義であるためには、多様性のある政府が必要です。政治の場で多様性が反映されていなければ、多様なコミュニティのための解決策を作り上げることはできません」と、多様な政治家がいることの大切さを強調した。

「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」の広報官だった時のマクブライド氏(2018年10月18日)
「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」の広報官だった時のマクブライド氏(2018年10月18日)
ASSOCIATED PRESS

上院議員に当選する前、マクブライド氏はLGBTQ人権擁護団体である「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」の広報官を務めるなど、LGBTQの人たちの人権擁護アクティビストとして活躍した

またオバマ政権下で、ホワイトハウス初のトランスジェンダーを公表しているインターンになり、2016年にはオープンリートランスジェンダーとして初めて、デラウエア州の民主党大会でスピーチをして注目を集めた。

マイノリティの人たちの権利擁護を続けてきたマクブライド氏は選挙前の9月、デイリー・ビーストのインタビューで、「単にトランスジェンダーの州上院議員」ではなく、逆境に置かれている全ての人たちのために自分の経験を使いたいと語った。

「この地域で生まれ育った一人として、私は州上院議員に立候補します。介護を経験してきた者として立候補します。もっと多くのデラウエア州の人たちが、必要な医療や逆境や危機に直面した時の支援を受けられるよう、毎日働く州上院議員になるために立候補するのです」と同氏は述べている。

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。

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