日本法人向けにVR英会話サービスを提供しているアメリカのスタートアップ企業Immerse Inc.(イマース)が、教育機関として世界で初めてとなる「アメリカ人講師による対人VR英会話レッスン」を試験導入する。
日本でTOEICプログラムを運営する一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の協力の下、TOEIC Speaking Testにおける学習効果の検証を行い、生徒の英語力を検証していく。
同システムを試験導入するのは、宮城県の私立・仙台育英学園高等学校の英進進学コースだ。
「対人VR英会話サービス」は、アメリカ人講師とリアルに近い空間の中で英会話の勉強するという世界初の取り組み。
読み書き重視となっている現行の大学入試センター試験が2023年度に「大学共通テスト」に変更され、総合的な能力を問うものになることを受け、社会で“使える英語”を話す機会をより一層作ることが狙いだ。
最大の利点は、VRのテクノロジーによって、現実に近いシチュエーション(空港、オフィス、会議室、レストランなど)の中で英会話を学習することが可能になる。
既にAIを使用したVR英会話アプリは存在するが、同システムでは、ネイティブの講師とVR世界で実際に話すことで、通常の英会話クラスを受講するのと比べて2倍から3倍の学習効果が見込めるという。
システムを試験導入する同校理事の加藤雄彦氏は、現状の英語教育への課題を分析した上で、次のように期待を寄せる。
海外姉妹校との交流や豊富な留学・研修機会の提供、オンライン英会話(OST)の導入などで英語教育に力を入れてきましたが、留学は費用が高額、研修は滞在が短期間、OSTは“リアルな実体験”が得られにくいといったようにそれぞれに課題があります。
VR英会話はこれらの課題を乗り越え、英語学習への意欲を高めることはもちろん、“コミュニケーションツールとしての英語”をより意識させることが期待できます。
同システムが普及することで、様々な事情で海外留学が難しい児童や生徒も、外国人講師と英会話レッスンができる未来が近い将来やってくるかもしれない─。