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2020年04月21日 11時17分 JST | 更新 2020年04月22日 08時49分 JST

【東京23区調査】オンライン授業、導入は港区のみ。セキュリティ対策や家庭環境の差に苦慮

新型コロナウイルスは日本の公教育を変えるだろうかーー。

緊急事態宣言の発令を受け、都内の公立小中学校では3月2日から事実上の休校が続く。子どもたちの学ぶ機会をどう確保するかは、大きな課題となっている。

ハフポスト日本版が都内23区にオンライン授業に関するアンケート調査を行なったところ、オンライン授業を行う予定があると回答したのは港区だけだった。

アンケート調査は4月7〜14日、都内23区の教育委員会を対象にメールや電話で行い、オンライン授業の導入予定や、導入にあたっての課題、休校中の学習方法などを聞いた。

千代田区、品川区、中野区を除く20区から回答があった。 

東京23区 オンライン授業導入予定

7区でオンライン授業「予定なし」

オンライン授業を導入する予定が「ない」と回答したのは7区。

中央区、新宿区、台東区、墨田区、目黒区、大田区、渋谷区

導入しない理由(複数回答)で多かったのは、▽端末の用意ができない(5区)▽家庭環境に差がある(4区)▽セキュリティ上好ましくない(4区)。

「オンライン授業を行わなくても対応可能」とした区はなく、オンライン授業が必要でないから行わないのではなく、行えないという実態が浮かんだ。

自宅での端末の有無やネット環境など学習環境の不平等や、セキュリティ対策が障壁となっているようだ。

ハフポスト日本版作成
オンライン授業を行わない理由(23区アンケート調査より)

12区が導入「検討中」

オンライン授業の導入について「検討中」と回答したのは、以下の12区。

文京区、江東区、世田谷区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区

「導入にあたっての課題」として挙がった(複数回答)のは、▽家庭環境の差(10区)が最も多かった。

ハフポスト日本版作成
オンライン授業を導入する際の課題(23区アンケート調査より)

「そのほか」と回答したのは、世田谷▽杉並▽板橋▽足立▽葛飾ーーの5区。

「ネット接続の経費」や「YouTubeに(授業動画を)上げる際の著作権の問題」など、オンライン授業を導入するにあたっての具体的な悩みも挙がった。

ハフポスト日本版作成
オンライン授業導入の際の課題「そのほか」の回答内容(23区アンケート調査より)

港区ではオンライン授業開始

一方、23区で唯一、オンライン授業を導入したのが港区だ。

港区では、各小中学校に1台ずつスマートフォンを配布。教師たちが動画を撮影し、URLを知っている人だけがアクセスできる限定公開としてYouTubeに投稿する。

動画の内容については基本的に各学校に任せており、担任らが出演。これまで、新入生に向けた学校紹介や、簡単にできる運動の紹介、教科書に掲載されている問題の解説など、それぞれ数分ずつの動画を公開した。今後、学校から配布した課題でつまづきやすい部分の解説動画を公開する予定の学校もあるという。

また、民間のオンライン学習サービスのIDも付与。自宅で学習を進めてもらう狙いだ。

港区教育委員会の担当者は「こうした取り組みに積極的で得意なのは若手の先生が多い、という課題はあるものの、各校で手応えを感じている。子どもたちが先生の顔を見られる機会があるのは重要」と指摘する。 

 

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 世田谷、板橋はYouTubeで学習動画を公開

オンライン授業について「検討中」としている世田谷区と板橋区では、簡単な学習動画を作成し、公式YouTubeで公開している。

世田谷区の「せたがや学びチャンネル」では、学年に応じた漢字のクイズや体操など数分の動画を公開。板橋区でも、どう家庭で過ごすか計画を立てる方法や、音読方法の解説など学習コンテンツに加え、地域に住む落語家らが出演する子ども向けの落語の動画なども公開している。板橋区教育委員会は「ストレスを溜めないよう、楽しんでリラックスすることも大切と考えた」としている。

 

1人1台タブレット端末配布の渋谷区も導入予定「なし」

23区いずれも、休校中の学習は学校から配布されるプリント学習が中心となる。

課題は、郵送や手渡し、学校の公式サイトなどを通じて配布される。中央区では学校の公式サイトに課題の解説を掲出。墨田区、目黒区などではeラーニングを活用した学習も取り入れるが、いずれもコミュニケーションの機能は持たない。

小中学校で1人1台のタブレット端末を配布している渋谷区も、「予定なし」と回答した。ハード面が整っていても踏み込めない実情が浮かぶ。

背景にあるのは、セキュリティの問題だ。

タブレット端末にはフィルタリングをかけているため、ウェブ会議のシステムにアクセスすることはできない。そのため、教師がライブで授業を行う「オンライン授業」は難しいという。

ただ、渋谷区では2017年9月から、クラスごとのクラウドボックスを作り、課題の提出やコメント、クラス内での共有を行ってきた。担任がクラスに合った課題を出したり、提出されたものにコメントを返したり、双方向のやりとりができるのが特徴の一つだ。

休校中のため小中学校とも新1年生には配布できていないが、その他の学年は休校期間中もクラウド上で課題のやりとりを進め、タブレット端末内にあるドリル学習も各自で行う。

 

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学ぶ機会、どう確保?

臨時休校が続く子どもたちの教育機会はどう確保すればいいのか。

緊急事態宣言発令時、安倍首相は「子どもたちが自宅で活用できる教材や動画をインターネットで提供するとともに、IT端末を活用した児童生徒との課題のやりとりや教科ごとの授業動画の公開など、学習支援のための様々な工夫を行うよう促す」と語っていた。

だが、現実には休校中の公教育は自宅でのプリント学習が中心で、ITを活用しているケースでも生徒間や教師との間のコミュニケーションツールとしては機能していないところがほとんどだ。

杉並区の保護者は「学校からは日付が書かれたプリントが配布されているが、スケジュール通りに進めるのがやっと。前学年の3学期の学習内容の理解もおぼつかないところに、新学年の学習が入ってきて、ほとんど理解できていないのではないか」と嘆く。

中野区の保護者は「塾に行っている子や私学に通う子はオンライン授業で学習を進めている。どんどん差が開くのではないか」と心配する。

慶應大学の中室牧子教授(教育経済学)は「休校期間、学ぶ機会が失われることの影響を過小評価してはならない」と警鐘を鳴らしている。