変化の年を乗り越え、新しい世界で生き延びるために、私たちに必要なこととは?

この一年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新しい生活様式は私たちに有無を言わさず浸透していった。いまこそまさに、態勢の変化させることができる時ではないだろうか。
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chee gin tan via Getty Images

有無を言わさず浸透していった新しい生活様式

2019年の今頃、一年の大半を新型コロナウィルスの感染拡大防止に努める年になると誰が予想しただろうか。私は東京オリンピック開催に胸を弾ませ、ビジネスにおいても、新型コロナのことを考慮に入れず、一年のプランを練り上げていた。

しかし、新型コロナウィルスの感染拡大によりあっという間に世界中が変化した。ロックダウンや自粛生活により、他者との直接的な交流は減り、ビジネスではリモートワークや手続き等も一変した。新しい生活様式は私たちに有無を言わさず浸透していった。

何事においても新しい取り組みは慣れるまでは大変であるし、試行錯誤を繰り返してなじんでくるものだと思う。また、これまでの伝統や慣習を尊重することも悪いことではない。一方で、これまでの生活スタイルや商習慣が必ずしも良いことばかりではないこともある。

環境や状況に変化のある時は態勢の変化させるチャンス

私は、拙著『交渉の武器」で、「仕事の担当者が変わった時は交渉のチャンスである」と伝えた。それと同様に環境や状況に変化のある時は態勢の変化させることができる時なのだ。いまはまさにその時ではないだろうか。

コロナ禍にあって、企業は自らの契約を履行できない等の難局にいるかもしれない。この難局を乗り切り、新たなビジネス様式を踏まえて契約の見直しを迫るタイミングである。

新型コロナウイルスの感染拡大防止等による企業の方針転換や行政措置が、現在の契約にどう影響するかを専門家に依頼して確認してほしい。また、専門家を介さずとも自らが交渉に臨むのであれば、対面は叶わなくともビデオ会議での交渉に臨んでほしい。人は顔を見て話すと断りづらいからだ。

さらに、リモートワークが習慣化し、物理的なオフィスに一堂に会して働くスタイルがこれまでのように重要視されず、世界中のどこにいても働くことができるようになった。これを機にルーティンとなっていた仕事を見直しも図りたい。各部署の役割や各自の責任、ミーティングの意義等、習慣・慣習を見直すことでコストダウンやスタッフの新しい魅力の発見につなげられるのではないだろうか。

通勤に割いていた時間で、語学力アップ

また、世界がグッと近くなったことで商習慣も新しくなっている。私が実感するのは前回報告した日本企業が特許訴訟などによって保有する知的財産権を収益化することに対する抵抗感がなくなりつつある状況だ。欧米、韓国中国の商習慣が日本にも定着し始めている。こうした変化を見逃さず、自社の新しい取り組みにつなげていくのもいいだろう。そして、アントレプレナーにとっては世界市場を視野に入れて活動する機会かもしれない。今や働く場所と居住地は必ずしも一致させる必要がないからだ。自らの強みを必要としている国、企業が世界中にあると考えてみると、ビジネスチャンスは一気に大きくなるだろう。日本では副業を認める傾向にあるからギグ・ワークに挑戦するのもいいかもしれない。自らのスキルを再確認して世界に自分を売り出したい。

世界を相手に仕事をするなら、語学力も身につけたい。一朝一夕にはいかないが、これまで通勤に割いていた時間を勉強に充て、機が熟すのを待つのはどうか。

通勤時間を往復で2時間と仮定して週5日、1年で年末年始等を除いておおむね48週間、240時間を勉強に充てることができる計算になる。1時間で5つの単語やフレーズを覚えるとすれば、一年で1200の言葉を習得できる。日本人スタッフによると、日本の中学校で学習する英単語数は1200語だという。日本人になじみのある英語検定3級の合格レベル2100語、2級で5100語準一級7500語だというから、中学高校で習得した単語に加えてさらに1200語増やすことができたら、大きなレベルアップにつながるだろう。

新しい可能性を見出すチャンスの到来

やや真面目な話に終始したが、新しい生活様式によってもたらされた時間は、自分のために使える時間である。睡眠時間の確保や体力づくり、趣味に使ってもよい。何も思い浮かばないなら、幼いころにしてみたかったことに思いを馳せて、その夢に近づけることに取り組んでもよいだろう。

時間、空間、距離に縛られない、新しくて大きな可能性を見出すチャンスが到来した。今こそ、自らの希望や期待を実現する時期だと考えていこう。

(文:ライアン・ゴールドスティン 編集:榊原すずみ/ハフポスト日本版)

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