森喜朗会長に東京五輪組織委員長の辞任求める声が続々。「#森喜朗氏は引退してください」がTwitterで拡がる

今回の森喜朗氏の発言は、オリンピック憲章の「オリンピズムの根本原則」からも明らかに反している。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長とのオンライン会談を終え、会見に臨む東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=1月28日、東京都中央区
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長とのオンライン会談を終え、会見に臨む東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=1月28日、東京都中央区
時事通信社

2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、大会組織委員会会長の森喜朗氏が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」と発言したことは、ネット上で多くの批判を集めた。

Twitterでは4日、「#森喜朗氏は引退してください」というハッシュタグが日本のトレンドとなり、同氏の大会組織委員長の辞任を求める声が続々と寄せられている。

どんな発言をした?

森氏は3日にオンラインで開かれた臨時評議員会で「テレビがあるからやりにくいんだが」と前置きし、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と発言。

その理由について「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」などと語った。

森さんの発言は、以下の通り。

これはテレビがあるからやりにくいんだが。女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさく言うんですよね。

 

だけど、女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。これは、ラグビー協会、今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人位いるのか?5人いるのか?女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです。

 

結局、あんまりいうと、新聞に書かれますけど、「悪口言った」とかなりますけど、女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困るといっておられた。だれが言ったとは言わないが。そんなこともあります。

 

私どもの組織委員会にも女性は何人いたっけ?7人くらいか。7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて。みんな競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですから、お話もシュッとして、的を射た、そういう我々は非常に役立っておりますが。次は女性を選ぼうと、そういうわけであります。

森氏の発言は、海外のメディアも続々と報じている。

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)の電子版は3日、「東京オリンピックの会長が会議での女性の制限を示唆」という見出しで報道

Twitterで森氏の辞任を求める声が出ていることに触れ、「森氏の発言は女性に対する差別に他ならない」や「最も重要な問題は、誰も彼に異を唱えなかったこと」というSNSでの声を引用して伝えていた。

またAFPは、「Tokyo2020大会の会長が会議で性差別発言との報道」との見出しで日本のメディアの報道を紹介し、世界各国の男女の格差を示すジェンダー・ギャップ指数で2020年に日本の順位が153か国中121位だったと指摘するなど踏み込んで報じた

 「#森喜朗氏は引退してください」に寄せられた、怒りを通り越した国民の呆れ

 Twitterでは「#森喜朗氏は引退してください」というハッシュタグが日本のトレンドとなり、森氏の大会組織委員長の辞任を求める声が続々と寄せられている。

「明らかな女性蔑視」「女性への偏見をまきちらすリーダーが五輪の組織委員長に相応しいとは思えません」「時代錯誤も甚だしくてもはや呆れる」「世界に発信されて本当に恥ずかしい」など、森氏の発言そのものへの批判とともに、組織のトップとしての資質を問う意見も相次いでいる。

森氏の今後について「このままお咎めなしっていうのはおかしい」「トップとしての責任を問うべき」と会長職の辞任を求める声も多い。

オリンピック憲章の「オリンピズムの根本原則」の6には、以下のような文言がある。

6. このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、 国あるいは社会的な出身、 財産、 出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。

森氏の今回の発言は、いかなる差別も反対の意を示す憲章にも明らかに反するものだ。今後の説明責任が問われる。

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森氏は4日午後2時から記者会見を開き、「きのう(2月3日)、JOCの評議員会のなかでの発言については、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な発言」だとして発言を撤回し、謝罪した。

一方、「辞任する考えはありません」と述べ、会長職を辞任する考えはないとの考えを明らかにした

会見の内容を見ていた人からはTwitterで「仕方なく会見したように見える」などと批判が相次ぎ、「やはり辞任すべき」との声が改めて寄せられている。

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【Update:2021/02/04 午後2時45分】4日午後に開かれた森氏の記者会見を踏まえ、加筆しました。

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