「春から○○大学」は狙われている。カルト団体の巧妙すぎる“コロナ禍の新歓”を見破るには

Twitterでは「春から○○大学」などとプロフィール欄に明記することで、入学前から学内で繋がりを持とうとする人も多いが、こうしたアカウントは絶好のターゲットだ。

「英語を勉強しませんか」。

知り合いを通じて声をかけられた大学生(当時21歳)は、大学キャンパスから徒歩8分ほどのアパートの一室を訪れる。国際交流サークルだという。

中には背の高くておしゃれな男女や、海外からの留学生、ビジネスマンたち。最初の数回は親切に英語を教えてくれ、徐々にアパートへ行く頻度が増える。私生活の悩みにも乗ってくれる。

ところがある日、メンバーの一人だった女性がこう囁く。

「私たち、聖書の勉強もしているの」ー。

これは都内の大学で実際にあったケースだ。全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属する渡辺博弁護士は「韓国発のカルト宗教と見て間違いない」と話す。

この大学生はすぐに団体と連絡を断つことでことなきを得た。しかし、新入生歓迎会=新歓シーズンの今、カルト団体は新たな手法で勧誘を進めているという。渡辺弁護士に現状と対策を聞いた。

渡辺博弁護士
渡辺博弁護士
HUFFPOST JAPAN

■意識高い系を装い接触も

カルト団体とは、宗教に限らず人権侵害を行う団体とされ、新歓シーズンには各大学でこうした団体の勧誘に気をつけるよう注意喚起がされる。

しかし渡辺弁護士によると、勧誘の手口にはここ数年で変化が見られるという。

「これまでは書店で大学の入試対策本を買う高校生に目をつけ、受験サポートをするといった名目で接触していました。しかし今は、大学内での警戒も強まってきたこともあり、ネットを活用しています。新型コロナウイルスの影響でキャンパスになかなか行けず、仲間を作れない心理を突いているのです」

 ネット使った手法は実に巧妙だ。

カルト団体はその正体を隠して接触する。国際関係や社会問題など、大学生に人気のあるいわゆる「意識高い系」を装い、Twitterで「いいね」を押すなどして近づき、清掃や募金活動などのイベント参加を呼びかける。

Twitterでは「春から○○大学」などとプロフィール欄に明記することで、入学前から学内で繋がりを持とうとする人も多いが、こうしたアカウントは絶好のターゲットだ。

渡辺弁護士を通じて、韓国発のカルト宗教の偽装とみられるTwitterアカウントを紹介してもらった。いずれもグローバルな活躍や自己啓発などを目的とした学内サークルを謳ったもので、カルト団体と見破ることは到底不可能と思われた。

「こうした活動に参加すると、“サッカーやバレーもやっているよ”とスポーツに誘われたり、アパートでの食事会に呼ばれたりします。この人たちは愛情のシャワーを浴びせてきて、真剣に悩み相談にも乗ってくれる。連絡がだんだんと緊密になり、ほかの予定が入れられないほどになることもあります。そのあと、“世界で永遠のベストセラーを読もう”などと宗教の勉強会を持ち出されることになります」と渡辺弁護士は解説する。

各大学も積極的に注意喚起している
各大学も積極的に注意喚起している
新潟大学、佐賀大学、神戸大学、北海道大学、法政大学、浜松医科大学の注意喚起ページより

■見破り方は?

ネットを通じた勧誘活動は見破るのが難しい。一体どこで判別すれば良いのだろうか。

「カルト団体は正体を隠して近づくため、団体名がころころと変わります。また大学側にマークされないため、名前も下の名前しか伝えないケースもある。団体の成り立ちや勧誘してきた人、それに責任者のフルネームを確認することが大事です」と渡辺弁護士。

もし万が一、冒頭の学生のように関わってしまったらどう対処するべきかも聞いた。

「“もう私に連絡はしないでください”ときっぱり断ってください。遠慮してしまう人もいますが、そこが付け入る隙になります」

また、自分に近い友人などがこうした団体に関わり始めた場合は、何かできることはあるのだろうか。

「カルト団体に関わっていると最初に気付くのは多くの場合、友人です。まだ途中ならば学生課やほかの友人と一緒に引き戻せる可能性はあります。しかし深入りしてしまうと、理屈で説得するのは難しい。ご家族に連絡して詳細に事態を伝えてください」

カルト団体のなかには新興宗教を標榜するものもある。カルト対策と、憲法で定められた「信教の自由」は対立しないのだろうか。渡辺弁護士に聞いた。

「確かに宗教を信仰する、しない自由はあります。しかし正体を隠して勧誘するのは信教の自由が保障する範囲を超えていて、市民法秩序として許されない行為です。ましてや団体によっては、毎日行動を詳細に報告させられたり、性的暴行にあったりと人権侵害に遭うケースもあります」

大学など新たな場所で人脈を広げたい気持ちは誰もが持っている。しかし、カルト団体はそうした心情を巧妙に利用してくる点に注意が必要だ。もし怪しい思ったら、団体や責任者について詳しく問いただす、または連絡を断るなど「遠慮しない」姿勢が大事だ。

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