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2021年05月11日 10時35分 JST | 更新 2021年05月11日 10時35分 JST

就職、異動…コロナ禍での新生活、メンタルヘルスに備える働き方

ワクチン接種が進むイギリスでは、新型コロナの感染拡大以上にメンタルヘルスの問題が心配されています。GW明け、再び新生活が始まるいま、来るべきメンタル不調のパンデミックに備えて私たちができることとは?

Kathrin Ziegler/Getty Images
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私が住んでいるイギリスはワクチン接種が早く進んでいて新型コロナウイルス・パンデミックの終わりが見えてきたが、別のパンデミックが迫ってきている。それはメンタルヘルス不調のパンデミックだ。   

3月中旬に発表された「世界幸福度ランキング」でイギリスは前回の13位から17位に落ちた。その背景にあるのは新型コロナのメンタルヘルスへの影響だ。 

多くの日本企業と違ってイギリスの会社員たちはほぼ1年間オフィスに行っていない。私を含めて在宅勤務をしている人たちにとって一番しんどいのは勤務時間だ。

ロックダウン中の在宅勤務はオンとオフの切り替えができなくて、みんなが24時間働いている気がする。あるアンケートによると、約半数のオフィスワーカーが新型コロナ以前と比べて仕事が増えたと感じていて、約半数以上はミーティングが増えたと答えている。

また、イギリスの会社員の約6割は新型コロナが収束した後も在宅勤務することに肯定的だ。オフィスが再開しても、以前のようには戻らない。その中で私たちはどうメンタルヘルスを維持するのかを真剣に考えなければいけない。

 

プライベートで使うアプリも仕事に占拠

私はその鍵になるのがコミュニケーションの「ルールとマナー」だと思っている。多くの会社は企業行動規範を設けているのだから、コミュニケーションのルールを設けてもおかしくない。いや、設けるべきだ。

コミュニケーションは仕事の基本だ。にもかかわらず、イギリスの多くの会社ではコミュニケーション、人と人との意思疎通のベースというかルールが機能していないように思う。 

まず、Slack、Zoom、メールなど、今やコミュニケーションツールは山ほどあるが、ロックダウン後、プライベートで使うアプリも仕事に占拠されてしまった。私の周りにはWhatsAppで上司や偉い人たちとやりとりをしている人も少なくない(イギリス人の多くはLINEじゃなくてWhatsAppを使っている)。

次に、メンタルヘルスの観点から考えると、仕事上の円滑なコミュニケーションはとても大事だが、在宅勤務の場合、どうしても誤解が生じやすくなる。これが相当なストレスになる。

同僚、上司やチームに伝えたことが本当に伝わったのかどうか、普段以上に確かめなければいけない。みんなが同じようにslackやWhatsAppを使いこなせているわけではないから、相手にこちらの気持ちがちゃんと伝わっているかどうか不安になることも多い。

かといって、確認する方法がないから余計に面倒。顔を合わせて会話もできないし、一緒にコーヒー飲みながら雑談もできない。

だから、私たちはどういう場面でどのようなコミュニケーションツールを使うのか、どう使えば間違いのない意思疎通ができて、相手との信頼関係を築き、それを維持できるのかを、かなり慎重に考えなければいけない。

人によって使いやすいコミュニケーションツールは違ううえ、コミュニケーションの方法にもやはり個人差がある。リテラシーも違えば、視覚認知が得意な人もいれば、聴覚認知が得意な人もいる。文字に落とさないとダメな人、受け止め方もスピード感も違う。これだって「多様性」だ。

会社が多様性のある社員たちに働きやすい仕事環境を提供したいなら、その違いを認めるのがとても大事。

 

大切にすべき6つのルール 

Photoboyko/Getty Images
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では、大切にすべきコミュニケーションのルールやマナーとは具体的にはどんなことなのか。

 

1)非同期のコミュニケーションを基本とする。非同期というのは、社員がリアルタイムでやりとりをしていない状態だ。在宅勤務をしているのだから、社員が同じ街に住んでいても、会社やチームがみんな違う時間帯や国に住んでいるように行動すべき。同僚と飲みに行ったり、週に数回Zoomでミーティングをしたりするような同期型コミュニケーションが時々必要になるのは、非同期型のコミュニケーションを補完するためだ。

2)メモりましょう! 当たり前だけど、言葉で伝えられた情報はその場にいない人には届かない。全ての判断、プロセスややりとりをメモしたり書きとめたりしておく必要がある。もちろん「デジタルメモ」「音声メモ」でもいい。記録に残すってこと。これは1)の非同期のコミュニケーション手段の1つとして情報共有に大きく貢献する。

3)同僚に質問する前に、自分でその質問の答えを真剣に探す。ミーティングのことやチームのやりとりがどっかで書いてあると、答えが見つかりやすくなるから、2)はこのことに大いに役立つ。

4)チームごと、あるいは会社ごとに一番適切な、みんなが使いやすいコミュニケーションツールをあらかじめ決めておく。Slackは社交的コミュニケーションのみで使うとか、どんなツールがどういう時に使われるべきかをみんなで決める。

5)答えに関する「期待値」を設定する。これは4)とつながっているけど、何が適切なツールかちゃんと考えておくと、みんなの期待に「ズレ」が生じなくなるからあとで揉めることが少なくなる。

6)絵文字を使いましょう! 絵文字は私たちの顔表現に近いから理解するために使う脳のリソースが言葉より少なくて済む。適切に絵文字を使うと脳も休められる。

 

こういうルールやマナーを会社全体で設けてもいいし、チームごとで決めてもいいと思う。

すでにこれをやっている、素晴らしい会社はたくさんある。

社員全員が在宅勤務している世界的大企業のギットラブは、在宅勤務におけるコミュニケーションと組織文化のコツに関するガイドを公表している。在宅勤務をしている社員向けのコミュニケーションソフトを作っているDoistという会社も在宅勤務のベストプラクティスについていいコンテンツをたくさん発表している。

日本では4月から社会人デビューする人、または転職をする人は多い。

いろんなコミュニケーションツールがあって、それらは私たちの生活をすごく豊かにしてくれるけど、うまく使えないと逆にものすごいストレスになる。新たな同僚たちとその職場でのコミュニケーションのルールを確かめてみたらどうだろう。

(文:鈴木綾 編集:毛谷村真木/ハフポスト日本版)