東京・池袋で2019年4月、車を暴走させて母子2人を死亡させ、他9人に重軽傷を負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(90)の判決公判が9月2日、東京地裁であった。
下津健司裁判長は、禁錮5年(求刑禁錮7年)を言い渡した。
飯塚被告側は、車の電気系統の不具合でブレーキが利かなかったと訴え、無罪を主張していた。
論告、弁論、遺族陳述、被告の最終陳述
検察側は、7月に開かれた論告求刑公判で「事故後の検査などで車のアクセルやブレーキ、電気系統に異常が出た痕跡は見られなかった」と指摘。被告の無罪主張に対して「客観的な事実に反する不合理な弁解で、心から反省していないのは明らかだ」と批判していた。
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一方、弁護側は弁論で「検査で異常が確認できなかったとしても、事故当時に何らかの異常があった可能性を否定するものではない」と主張。「異常な運転と認識したままアクセルを踏み続けるのは不自然だ」と述べ、踏み間違えの可能性を否定していた。
遺族の松永拓也さんは、被害者参加制度を利用して、全ての公判に参加。被告人質問では、自ら直接「無罪主張が遺族に与える影響を考えたのか」などと飯塚被告に問いただしていた。
意見陳述でも「荒唐無稽な主張を繰り返した被告に、2年間苦しめられ、憤りを覚えています」と心境を吐露。「重い実刑を望みます」と述べていた。
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これに対して飯塚被告は、最終意見陳述で「被害者の親族の陳述を聞いて心苦しい。しかしアクセルとブレーキを踏み間違えた記憶は全くないと裁判を通じて申し上げてきて、今もそう思っています」と述べていた。