乃木坂46メンバー、「同性との挙式」をエイプリルフールに投稿し物議。「性的マイノリティをネタとして消費」と専門家

「同性愛」をエイプリルフールのネタにすることは何が問題なのか?fairの松岡宗嗣さんは「マイノリティの特性を一方的に利用し、消費していると言わざるを得ない」と批判します。

女性アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーが4月1日、同性の元メンバーとの「挙式」をエイプリルフールのネタとしてSNS上に投稿したことが、物議を醸している。

エイプリルフールの日に「同性愛」をネタにし、論争が広がる事態は過去にも起きている。何が問題なのか?

性的マイノリティに関する情報を発信する「fair」代表理事の松岡宗嗣さんは、今回の投稿に対し「マイノリティの特性を一方的に利用し、消費していると言わざるを得ない」と話す。

どんな投稿だったのか?

乃木坂46の秋元真夏さんは4月1日、自身のInstagramに「この度、友人の生田絵梨花と式を挙げました」とつづり、ハッシュタグ「#エイプリルフール」を添えた。

秋元さんは生田さんと2人で写る2枚の写真をシェア。そのうち1枚では、生田さんが白いドレスを着用し、秋元さんと腕を組んでいる。

この投稿に対し、SNS上では「同性愛をネタとして消費している」と批判する意見がある一方で、「何が問題か理解できない」との声も上がっている。

どこに問題があるのか?

エイプリルフールは「嘘をついても良い日」という風習がある。

松岡さんは、「『嘘』でより多くの注目を集めるためには、『あり得ないこと』が冗談としてネタに利用されやすく、差別意識や偏見が顕在化しやすい」と指摘する。

「同性愛をエイプリルフールのネタとする発想は、同性愛を自分にとって『あり得ないもの』と想定していることから生まれます。こうした“冗談”を言った後、例えば『おかしい』『気持ち悪い』といった否定的な反応があっても、同性愛を利用している人自身は『あくまで冗談』なのでダメージを受けませんし、実際の同性カップルではないので、当事者が受ける制度的な不利益も一切発生しません」

「一方で、同性愛者は当然、エイプリルフールを過ぎたら同性愛者じゃなくなるわけではありません。日々、社会から様々な差別や偏見を向けられている現状があります。ネタにすることで、当事者に『私たちはいないことにされている上、笑いや冗談のネタとして消費される存在』というメッセージを送ることになる。マイノリティの側の生活を脅かす構造や抑圧に加担することにもつながりかねません」

異性同士が、「結婚します」「交際中です」といった嘘をエイプリルフールのネタにするケースも見受けられる。

これに対し、松岡さんは「異性愛者であることが『あり得ないもの』として扱われたり、笑いの対象になったりすることはないため、ネタにされることによって異性愛者の人たちがダメージを受けるということはありません」と反論する。

「エイプリルフールのネタとして安易に扱われてしまうこと自体が、今なお性的マイノリティの存在が身近に感じられていないことの証左になっている。同性婚ができないことの不利益や、カミングアウトの難しさ、性的マイノリティであることをオープンにすることで社会からどういう差別や偏見の言葉を浴びるかが見えていない。だから笑いや冗談のネタとして消費できるのではないでしょうか」

クィア・ベイティングという新たな問題

fairの松岡宗嗣さん
fairの松岡宗嗣さん
本人提供

2018年には、プロバスケットボールチームがエイプリルフールに合わせ、男性選手同士の「熱愛」が発覚したという偽の週刊誌面をSNS上に投稿して物議を醸した

松岡さんは、「今回のインスタ投稿は当時のバスケチームのように、ゴシップとして面白おかしく扱うような悪意のあるものではない」とみる一方、「“性的マイノリティっぽさ”を利用して注目を集めようとする新しい問題も含まれている」と指摘する。どういうことか?

性的マイノリティではない人が、そうであるかのように匂わせる発信をして世間の注目を集める手法は「クィア・ベイティング」と呼ばれ、アメリカなどで批判の対象となっている。

松岡さんは、論争を呼んでいる今回のインスタ投稿について、「性的マイノリティを取り巻く偏見や差別の問題に対して声を上げてはいない一方で、性的マイノリティの人たちを利用して注目を集めようとする点で『クィア・ベイティング』に当てはまるのでは」と話す。

ただ、松岡さんはエイプリルフールでの発信で「同性愛」に全く言及していけないわけではないとも強調する。

「今回のインスタ投稿も、やり方によっては良いコンテンツにできたのではないかと思います。例えばなぜ同性カップルは日本で結婚ができないのか、という点に人々の注目を向けるような問題提起につなげたり、同性愛者も異性愛者と同じように社会で扱われることを望むといった、性的マイノリティの人たちの置かれた状況を踏まえた上でのメッセージがあれば伝わり方は大きく異なったはず」

「同性愛をタブー視するのではなくて、構造的な不平等の問題に目を向け、当事者の存在を知った上での発信であれば、今回の投稿の内容はもっと違うものになったのではないでしょうか」

(取材・文:國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)

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