中絶の権利認めた判例覆す最高裁の草案、アメリカで波紋。「自己決定権への攻撃」と反発広がる

連邦最高裁は草案について「最終的な立場を表すものではない」としつつ、本物だと認める声明を発表。1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す見通しであるとされ、反対の声が広がっています。

アメリカ連邦最高裁判所が、女性が中絶する権利を認めた過去の判例を覆す見通しであることを示す草案の内容が報じられ、波紋が広がっている。

連邦最高裁は現地時間の5月3日、「最終的な立場を表すものではない」としつつも、草案が本物だと認める声明を発表した。

一方、バイデン大統領は声明で、中絶の権利を認めるべきだと訴えた。連邦最高裁のあるワシントンなどでは、抗議活動にも発展している。

報道を受けて、ワシントンの連邦最高裁前で抗議する人たち(2022年5月3日)
報道を受けて、ワシントンの連邦最高裁前で抗議する人たち(2022年5月3日)
STEFANI REYNOLDS via Getty Images

草案の内容とは?

草案は、妊娠15週目以降の中絶を禁じたミシシッピ州の法律の合憲性を巡る訴訟で、サミュエル・アリート判事が多数意見をまとめたものとされる。草案の内容を、アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」が5月2日に報じた

ポリティコによると、草案は2月にまとめられたもので、多数意見の「最初の草案」と記され、98ページにも及ぶ。中絶を合法化した「ロー対ウェイド判決」を否定し、アリート判事は「最初からひどく間違っていた」と記している。

ロー対ウェイド判決とはおよそ50年前、それまで違法とされていた人口妊娠中絶を女性の権利と認めたもの。当時、テキサス州の連邦地裁が「中絶を著しく制限するテキサス州法は違憲」という判決を下し、1973年に連邦最高裁もこの判決を支持した。

時事通信によると、最高裁が権利を認めたのは胎児が子宮外でも生存可能になる前の中絶で、現在は23週程度とされる。

バイデン大統領ら、草案への反対を表明

バイデン大統領は3日、反対を表明する声明を発表。「女性が中絶を選択する権利は基本的なもの」などと記した。

カマラ・ハリス副大統領はワシントンで開かれたカンファレンスで、もし連邦最高裁がロー対ウェイド判決を覆せば、「すべてのアメリカ人が与えられている自由と自己決定の基本的な権利に対する、直接の攻撃となるだろう」と強い口調で批判した。ロー対ウェイド判決は、「女性たちの自分の体に対する決定権を保護してきた」と訴えた。

「2度と戻らない」強い抗議

中絶の権利を認めた50年前の判例を覆す可能性があるとの報道を受け、アメリカの主要メディアも一斉に草案について報じた。

さらに最高裁の草案が流出する異例の事態でもある。連邦最高裁は草案を本物だと認めた3日の声明の中で、リークの情報源を調査するよう指示したと明らかにした。

ワシントンにある連邦最高裁前などでは、抗議活動にも発展している。

民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、中絶が違法である世界を見てきたとし、「私たちは2度と戻らない」と声を上げる自身の動画を投稿した。

Popular in the Community