『トップガン』の劇中に登場するトム・クルーズの私物とは?常にファン・ファーストの大スターが訴えたこと

通算24回目の来日となったトム・クルーズ主演、待望の続編『トップガン マーヴェリック』。彼がファンに呼びかけたある願いから、作品に対するこだわりが伝わってきた【来日取材ルポ】
ジャパンプレミアのレッドカーペッドに登場したトム・クルーズ。サングラスをかけて颯爽と登場した(撮影:小笠原 遥)
ジャパンプレミアのレッドカーペッドに登場したトム・クルーズ。サングラスをかけて颯爽と登場した(撮影:小笠原 遥)
HARUKA OGASAWARA

ついに、この男が日本に“帰ってきた”─。

ハリウッド俳優のトム・クルーズが映画『トップガン マーヴェリック』(5月27日公開)の宣伝活動のため3年10ヶ月ぶりに来日した。

5月23日に東京都内で記者会見が行われ、翌24日には横浜市で行われたジャパンプレミアのレッドカーペッドに登場。日本のファンの前に久しぶりに姿を見せた。

彼が訴えた“ある言葉”から、今作にかける並々ならぬ思いと強いこだわりが伝わってきた。なぜ、トムは人々に長く愛されるのか。今回の来日でその理由が垣間見えた瞬間があった。取材した記者の目に映った印象的な場面を振り返る。

サングラスを外し、素顔を見せたトム・クルーズ(撮影:小笠原 遥)
サングラスを外し、素顔を見せたトム・クルーズ(撮影:小笠原 遥)
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「ファン・ファースト」を貫く姿

2018年『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のプロモーション以来となったトムの来日。続編となる今作は公開が2年延期され、前作公開時からは36年の時が経った。

映画『トップガン マーヴェリック』は、1986年に公開された『トップガン』の続編だ。

23日の記者会見では、続編を制作するに至った「決め手」を問われ、トムは「理由はファンのため。常にそうです」と即答した。

前作公開当時は「続編への準備が整っていませんでした」と振り返った上で、「時が経ち、観客のために特別なものを作りたい」という思いが次第に込み上げ、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーさんとともに、続編を制作するなら「今しかない」という思いに至ったという。

人気が火がつき、トムを一躍ハリウッドスターへと押し上げた前作。その続編は長年にわたって多くのファンに望まれてきた。だからこそ、先のトムの一言は彼らを喜ばせたに違いない。

トムが貫く「ファン・ファースト」の姿勢。24日に開かれたジャパンプレミアでは、さらにそれが鮮明に表れていた。会場には約400人のファンが集まったが、トムは登場からまもなく、挨拶もそこそこに彼らと交流を始めた。

ファンに挨拶するトム・クルーズ。会場には約400人が詰めかけた(撮影:小笠原 遥)
ファンに挨拶するトム・クルーズ。会場には約400人が詰めかけた(撮影:小笠原 遥)
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握手やサインを求めるといった接触行為は禁止だったものの、写真や動画を撮るなど、積極的にファンからのリクエストに応えていた。対面したファンの中には感激のあまり泣き出す人もいた。

通算24回目となった今回の来日。トムはこれまでも日本のファンを大切にしてきた。決して急がず一人一人に目線を合わせながら丁寧に対応するその姿に、ファンから長く愛される理由を垣間見た。

できる限りの時間をファンと共有しようとした結果、イベントは当初の終了予定時間を過ぎていた。

写真や動画撮影に何度も足を止め、快く応じる姿はまさに「ファン・ファースト」だった(撮影:小笠原 遥)
写真や動画撮影に何度も足を止め、快く応じる姿はまさに「ファン・ファースト」だった(撮影:小笠原 遥)
HARUKA OGASAWARA

ファンに呼びかけた願い。そこに見えた彼の「こだわり」

イベントで印象的だった言葉がある。トムが強調して訴えたことだ。

「テレビでは絶対に観ないでください。これは映画です。皆さんのために作った映画ですから」

時が経てば、今作もDVDとして発売され、配信でも視聴可能になるだろう。そんな中でのこの言葉には、劇場の大きなスクリーンで作品を見てほしいという彼の願いが表れていた。そう語るには理由がある。

今作、トムは「主演」としてだけでなく「製作」にも名を連ねている。そんなトムとジェリーさんが制作過程で最もこだわった点が「リアルさ」の追求だ。

ジェリーさんは「トムと映画を作るならリアルにやらないと」とした上で、「トムは操縦免許を持ったパイロットですが、役者向けの3ヶ月にわたるF-18戦闘機訓練プログラムをトムは自身で考案した」と明かした。

今回が通算24回目の来日となったトム・クルーズ(撮影:小笠原 遥)
今回が通算24回目の来日となったトム・クルーズ(撮影:小笠原 遥)
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操縦時にパイロット自身にかかる重力に耐えられるようになる為、出演陣は小型のプロペラ機に乗ることから始まり、次に曲芸飛行をする機体に乗り、その後にジェット機に乗るというプロセスを踏んだという。

ちなみに、前作では役者陣はF-14戦闘機に搭乗して撮影に臨んだというが、「残念ながらトムの映像しか使い物にならなかった。他の役者たちは気絶するか、吐くかどちらかだったから」とジェリーさんは当時を振り返った。

トムは制作にあたり、「戦闘機のコックピットにいかにして観客を送り込むか」を考えたという。求めたのは、映画の中での疑似体験だ。

「人生を祝福するような映画を作りたかった」というトム。「前作のように(観る人が)『素晴らしかった』と実感できる映画を作りたかった。すごく特別なものを届けたかった」と強い想いを伝えていた。

映画に登場するトムの「私物」とは

記者会見では、トムが作品の具体的な場面に自ら触れる場面もあった。

「冒頭と最後に『P-51』という第2次世界大戦時の飛行機が登場しますが、あれは私の自家用機なんです。私は編隊飛行(※2機以上の航空機が飛行する際に組む隊形のこと)もできますし、曲芸飛行も練習しています」とコメント。

なんと劇中にはトム自身が所有する機体が登場するという。私物としてのスケール感が大きすぎる。話の規模からもスターたる所以を感じさせた。

ジャパンプレミアでは、イベントの最後に当日会場に来られなかったファンへの配慮も忘れなかった。

「心配しないで。来年の夏、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE 』(の宣伝活動)でまた戻ってきますし、その翌年も戻ってきます」と2023年・24年と、今回を含めて3年連続の来日を約束した。

リクエストに応えて「キュン」ポーズをするトム。当初のイベント終了予定時間を過ぎてもトムはファンにできる限り丁寧に対応していた
リクエストに応えて「キュン」ポーズをするトム。当初のイベント終了予定時間を過ぎてもトムはファンにできる限り丁寧に対応していた
Getty Images

トムの来日は何を意味するのか

そもそも、ハリウッドの大作に関する日本での大規模なプロモーション会見やプレミアイベントの開催は、コロナ禍に入り長らく行われていなかったが、この春頃からようやく再開した。

取材者全員が抗体検査を求められるなど厳戒体制での開催ではあったが、無事に終了した。日本の映画ファンがトムのような俳優と直接交流する機会が再び戻ってきたことの意義はやはり大きい。ハリウッドスターとの時間はやはり特別なものだ。

トムが実際に次回の来日を明言したように、今後は他の作品のジャパンプレミアの機会やその頻度も次第にコロナ禍以前のように戻っていく公算は大きい。

イベントでは約400人がトムと共に夜空に打ち上がる花火を鑑賞した。このような経験は、作品と共にきっとファンの記憶に残る。

今回の『トップガン マーヴェリック』でのトムの来日は、ファンが待ち望んだ特別な瞬間が少しずつ戻りつつあることも示していた。

イベントの最後。夜空に打ち上がる花火を楽しむトム(左)とプロデューサーのジェリー・ブラッカイマー(右)(撮影:小笠原 遥)
イベントの最後。夜空に打ち上がる花火を楽しむトム(左)とプロデューサーのジェリー・ブラッカイマー(右)(撮影:小笠原 遥)
HARUKA OGASAWARA

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『トップガン マーヴェリック』

【作品紹介】
アメリカのエリート・パイロットチーム“トップガン”。しかし彼らはエースパイロット達をもってしても絶対不可能な任務に直面していた。任務成功のため、最後の切り札として白羽の矢を立てられたのは、伝説のパイロット“マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。記録的な成績を誇るトップガン史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格と組織に縛られない振る舞いから、一向に昇進せず、現役であり続けるマーヴェリック。なぜ彼はトップガンに戻り、新世代トップガンと共にこのミッションに命を懸けるのか...?

【監督】:ジョセフ・コシンスキー『オブリビオン』

【脚本】:クリストファー・マッカリー『ミッション:インポッシブル:フォールアウト』、他

【製作】:ジェリー・ブラッカイマー(『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ)、トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー、デヴィッド・エリソン

【キャスト】:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、ヴァル・キルマーほか