夏は食中毒に注意。6つのシーンから見る食中毒予防のポイントとは

猛暑とコロナ予防で食材の買い物を控えがちで、保存食材の品質悪化も懸念されます。食中毒の予防にはどんな対策が有効なのか。「6つのポイント」を横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に伺いました。
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気温も湿度も高い日が続く真夏の日々。感染者が急増した新型コロナウイルスも気がかりですが、例年7月から9月にかけては食中毒が増える時季でもあり、注意が必要です。

猛暑とコロナ予防で食材の買い物を控えがちで、保存食材の品質悪化も懸念されます。食中毒の予防にはどんな対策が有効なのか。「6つのポイント」を横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に伺いました。

夏は細菌性の食中毒に注意

食中毒は年間を通じて発生しているようですが、季節によって原因などの違いはあるのでしょうか。

「厚生労働省の統計では、アニキサスなど寄生虫による食中毒は、年間を通じて発生しています。季節ごとにみると、12月から3月にかけての冬は、ノロウイルスなどウイルス性の食中毒の発生が目立ちます。春や秋はほかの時季に比べて山菜やキノコなどに含まれる『自然毒』による食中毒の発生が多くなっています。

一方、梅雨の時季から夏にかけては気温や湿度が高く、細菌が増殖しやすいため、細菌性の食中毒が増える傾向にあります。

細菌による食中毒として、近年目立つのが『カンピロバクター』によるものです。カンピロバクターは、動物の消化器官などに存在している細菌で、発育温度域は31~46℃、おもに鶏肉の生食や加熱不足が原因で食中毒を引き起こします。菌を摂取してから1~7日と、潜伏期間(発症するまでの時間)が長いことが特徴です。

『O157(腸管出血性大腸菌)』も、夏に多く発生する食中毒の原因となっています。こちらも潜伏期間が3~8日と長く、カンピロバクターとともに下痢や発熱などの重症化が増えているとの報告もあります」(吉田先生)

食材の見た目や味で、細菌の存在や増殖に気がつくのでしょうか。

「食中毒の原因となる細菌は目に見えませんし、腐敗菌と違って増殖しても食べ物の見た目は変わらず、臭いもしません。味も変化がないので摂取した時点で気がつきにくいのです。

ですから、ものを食べる以前の段階、買い物から保存、準備や調理の段階で食中毒の予防対策が必要となってくるのです」(吉田先生)

6つのシーンから見る食中毒予防のポイント

食中毒予防のポイント
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食中毒予防のポイント

家庭でできる食中毒の予防対策について、食品と関わる6つのシーン別に教えてもらいました。

(1)食品の購入

買い物の際には、まず消費期限などの表示をチェックします。買いすぎないように注意して、期限内に使いきれるように。肉や魚、牛乳や卵などの生鮮食品や冷凍食品は、なるべく最後に買うようにしてください。

意外と忘れがちですが、購入した肉と魚はそれぞれ分けて包みます。生魚や肉には食中毒を起こす原因となる細菌が付いていることがあり、ほかの食品に移ってしまうのを予防するためです。

生鮮食品と冷凍食品は、店舗にある氷や保冷剤と一緒に買い物かごやレジ袋に入れてください。買い物が済んだら寄り道をせずに、まっすぐ家に帰るようにしましょう。

(2)家庭での保存

帰宅したら、購入した食材はすぐに冷蔵庫へ。肉と魚は汁が漏れないように包んだまま、庫内に保存してください。詰め込み過ぎず、スペースの7割程度に抑えましょう。

冷蔵庫内の温度は多くの細菌の増殖がゆっくりとなる10℃以下、冷凍庫は増殖が停止する-15℃以下を維持するように。ただし細菌が死滅するわけではありませんので、保存した食材は期限内に使い切るようにしましょう。

停電が起きた際には庫内の温度に影響を与えますので、扉の開閉は控えてください。冷蔵庫は定期的にきれいにしておきましょう。

(3)下準備

食中毒の予防には下準備の段階で、気をつけるべき点が多くあります。

まず手洗いはもちろんのことです。使用するふきんやタオルは、いつも清潔なものに交換しておきます。包丁などの調理器具は洗ってから使います。

冷凍食品の解凍は常温ではなく、冷蔵庫や電子レンジで行うこと。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増えることもあるので、使う分だけ解凍してください。

下準備では野菜を先に切ってください、肉や魚はその後です。野菜はラップしてあっても、よく洗いましょう。肉と魚は、包丁は使ったら洗って熱湯をかけておきます。そのうえで、細菌が移らないよう生で食べる野菜などから離して置いてください。使ったまな板はその都度必ず洗っておきます。

手が汚れたらその都度洗うことと、ごみをこまめに捨てることも心がけてください。

(4)調理

調理作業の前にも手を洗います。台所は常に清潔に保っておきましょう。

また、フライパンなどでの加熱は十分に。目安は中心部分の温度が75℃以上になるようにして、1分間以上となります。たとえばハンバーグの場合、肉汁が透明になって中心部分の赤身がなくなった状態です。

電子レンジを使うときは、加熱むらがないよう注意してください。調理を途中で止める場合は、食品はすべて冷蔵庫に入れましょう。

(5)食事

食事の前にも必ず手を洗ってください。盛り付けには清潔な器具と食器を使用するように。

また、食べ物は長時間室温で放置しないよう、温かいものは温かいうち、冷たいものは冷たいうちに食べきりましょう。

(6)残った食品

片づけの前にも手を洗い、どうしても残ってしまった食べ物は、清潔な器具と容器で保存してください。冷蔵庫に収めるものは早く冷えるよう、小分けにしましょう。

時間が経ちすぎたり、少しでも“あやしい”と感じたりしたら、思い切って捨てましょう。温め直すときは、十分に加熱してください。目安は75℃以上です。

「厚生労働省はこの6つのポイントに加え、『食中毒予防の3原則』として、食中毒菌を『付けない、増やさない、やっつける』を奨励していますので、一緒に実践してください」(吉田院長)

細菌が増殖しやすい高温多湿の日々は、まだまだ続きます。注意すべき点は少々面倒ですが、どれもちょっとした気遣いで実行可能なことばかりです。外食時の注意点として応用できることもあります。

新型コロナウイルス感染予防にもつながりますので、まずはこまめな手洗いから、食中毒予防のポイントを励行しましょう。
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