文部科学省は4月13日までに、痴漢の被害に遭った児童生徒が警察への届出や相談のために学校に休んだり遅れたりした場合、欠席や遅刻として記録しないように依頼する事務連絡を、全国の教育委員会などに発出した。
同省によると、児童生徒は痴漢の被害を受けても、学習状況などについて記す「指導要録」に欠席や遅刻の日数に算入されることによる不利益を懸念して警察への届出などを諦めるケースが多くあるという。
Advertisement
このため、痴漢の被害について警察に通報などをしたことで学校を休んだり遅れたりした場合は、指導要録に欠席や遅刻の日数として記録しないように求めた。授業を休んだことで学習に遅れが生じないよう、必要に応じて補習などを実施することも要請した。
大学や高校の入試が実施される時期には、SNS上などで、試験に遅刻できないために通報することが困難だという受験生の状況につけ込み、痴漢をあおる投稿が相次いでいる。
Advertisement
このことから、事務連絡では、試験会場に向かう途中で痴漢の被害に遭った受験生に対して試験時間を繰り下げたり、別日程で振替受験したりできるようにするなど、柔軟な対応をするように全国の教委や国公私立大学などに求めた。
今回の事務連絡は、内閣府、警察庁、法務省、文科省、国土交通省の5府省庁が「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」を取りまとめたことを受けて発出。「日々の生活の中で突如(痴漢の)被害に遭った当事者は深く傷つき、その恐怖や苦痛、心身に及ぼす影響は甚大」として、被害を受けた児童生徒への対応の必要性を強調した。
文科省は事務連絡で、各都道府県に設置されている性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターも紹介し、児童生徒らへの周知を求めた。
Advertisement
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉