草間彌生さん、過去の人種差別的な発言を謝罪。アメリカでの展覧会開催を前に

「私の本で攻撃的な言葉を使い、人々を傷つけたことを深く後悔しています」と新聞社への声明で述べた。
草間彌生さん 米ニューヨーク=2013年11月7日
草間彌生さん 米ニューヨーク=2013年11月7日
Andrew Toth via Getty Images

水玉模様などを使った特徴的な作風で知られる日本の芸術家、草間彌生さんが、2003年に発表した自伝での黒人に対する人種差別的な発言について謝罪した。

※この記事には、一部差別的な描写が含まれます。

現在94歳の草間さんは13日、サンフランシスコ近代美術館での展覧会開催を前に、サンフランシスコ・クロニクル紙への声明文で謝罪の意を表明した。

「私の本で攻撃的な言葉を使い、人々を傷つけたことを深く後悔しています」

「私のメッセージは常に愛、希望、思いやり、そしてすべての人々への尊重でした。私の生涯の目的は、芸術を通じて人間性を高めることです。私が引き起こした痛みについてお詫びします」

草間さんの自伝『無限の網ー草間彌生自伝』(新潮文庫)では、黒人は「特有の臭い」があり、「動物的な性的テクニック」を持っていると書かれている。

また、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジの一帯が「スラム」化したのは「黒人が撃ち合い」をしているからだと不満を述べている。この部分は英訳版では削除されている。

しかし、草間さんの人種差別的な発言はその自伝に限られたものではない。

1984年に草間さんが書いた小説には、黒人のキャラクターの臭いや性器をフェティシズム的に描写する部分があり、1971年に草間さんが手がけた劇では、唯一の黒人キャラクターを差別的な描写で表現している。

草間さんの謝罪は、サンフランシスコ・クロニクル紙に1日前に掲載されたコラムによって促されたと思われる。スタッフライターのソレイル・ホーさんはコラムの中で、草間さんの大きなポップアート作品の影に隠れていた、過去の人種差別という一面を読者に思い出させた。

草間さんと交流した経験のある黒人たちは、数年前から草間さんの人種差別的な発言を指摘していた。

ジャーナリストのデクスター・トーマスさんは2017年、東京で草間さんに短いインタビューを行った。だがその数時間後、トーマスさんは草間さんのスタッフからインタビューの質問が「低品質」で、草間さんの作品を理解しておらず、今後草間さんと話すことを禁ずる、という内容のメールを受け取ったとVICE Newsの記事で述べている。

その経験は、「草間さんが、私が草間さんの芸術を理解していないと仮定し、草間さんをインタビューする資格がないと思ったのは、私が黒人であることも理由の一部なのではないか、と疑問に思った」と記事で綴っている。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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