8年にわたり不妊治療を続けてきた夫婦。4カ月で4人の赤ちゃんの親になる(アメリカ)

アメリカ・ペンシルバニア州に住むウルフ夫妻は「とにかく成し遂げた。うまくやっていけると思う」と話している

8年にわたる不妊治療の末、4カ月の間に4人の赤ちゃんの親になったアメリカの夫婦がいる。

生物学的な子どもを授かる可能性はほぼないと考え、地元の女性が生んだ赤ちゃんを養子として迎えることが決まったところで、他人から提供を受けた受精卵によって自分自身が3つ子を妊娠していることが判明。同年10月19日に出産し、一気に4人の赤ちゃんの親になった。

ペンシルベニア州に住むブリトニーさんとザックさんのウルフ夫妻について、インサイダーやABCの朝の番組「グッド・モーニング・アメリカ」(GMA)などが取り上げている。

2人が結婚したのは2015年。大家族を持ちたいという思いを抱いて、結婚生活は始まった。

夫妻は地元紙「ザ・クーリエ・エクスプレス」の取材にこれまでの不妊治療の道のりについて語っている。結婚から1年は自然に妊娠することをめざしたが、かなわなかったため、専門家に診てもらうことにした。

ザックさんは2011年に車の事故で脊椎を損傷しており、それが何らか影響しているかもしれないと不安だったという。検査の結果は、どちらにも問題ないことがわかった。

しかし、その後もなかなか子どもに恵まれなかった。周りからは「頑張ろうとしないようにしてみれば」と言われたが、みんなが赤ちゃんを授かる姿を見ると、何もしないではいられなかった。「知り合いに子どもが生まれると、ものすごくうれしく感じるのですが、心にはぽっかりと穴が開いたようになりました」とザックさんは同紙の取材で答えている。

結婚から3年経ったころ、体外受精を試みることにした。多額のお金をかけ、何百キロも離れた病院まで何往復もして胚移植を7回試みたが、うまくいかなかった。

人工授精も試した。これも成功しなかった。

2人は養子を迎える可能性について探ることにした。GMAによると、養子を迎えるにあたって身につけておくべき知識を学び、備えたという。養子を希望していることをみんなに知ってもらうため、2021年に「ウルフ家の養子縁組の旅」というウェブサイトを立ち上げた。

赤ちゃんを養子に出してもいいという人から何件も連絡があったが、いずれも金銭目当ての詐欺だった。毎回期待し、そのたびに打ちのめされた。

そこで、他人から受精卵(胚)を提供してもらう方法も試してみることにした。ブリトニーさんは2022年秋に胚移植をしたが、着床しなかった。

近所の人から、赤ちゃんを養子に出したいと考えている妊娠中の女性がいると教えてもらったのは、そんな時のことだった

それまで何度も詐欺被害に遭いそうになってきたため、養子縁組の希望を伝えたものの、うまくいく確信が持てないでいた。

ブリトニーさんたちは4月、再び受精卵の提供を受けた。3つの受精卵を移植し、今度はうまく着床した。

うれしさを噛みしめる2人のもとに思いもよらず、さらなる喜びが訪れた。生まれてくる赤ちゃんを養子に出したいと考えていた女性が、面談などを経て養子縁組の相手としてウルフ夫妻を選んだのだ。

女性の出産予定日は7月末。ブリトニーさんは自身の検診の合間をぬって、女性の検診に付き添った。

2人は女性の出産にも立ち会った。「感情に訴えてくるものがあった」とザックさんはインサイダーの取材に答えている。

そして、ブリトニーさんのおなかには3人の赤ちゃんがいることがわかった。

ザックさんは初めて超音波検査を受けた時の驚きについて、「イスから転げ落ちそうになるほどだった」とGMAのインタビューで振り返っている。

「どうか育っていると言って」と検査技師にお願いしたところ、「2人見えます。いや待って、3人います」と伝えられたのだという。

ブリトニーさんは10月、妊娠8カ月で帝王切開によって3人の赤ちゃんを出産した。未熟児で生まれた3人はしばらくNICU(新生児集中治療室)で治療を受ける。
ウルフ夫妻は 4人の赤ちゃんの親になった。ブリトニーさんは「振り返ってみても、一体どうやってやり遂げたのって自問しますが、とにかく成し遂げた。うまくやっていけると思います」と話している

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