避難時に知ってほしい「障害のある人」に必要な配慮とは?東日本大震災では、障害者手帳を持つ人の死亡率は2倍にも

視覚障害や聴覚障害、精神障害のある人、車いすユーザー、発達障害や知的障害のある子どもが避難所に求める配慮などをまとめました。

1月1日に石川県能登地方で発生した最大震度7の地震。その後も余震が続き、3日にも震度5強の地震が能登半島を襲った。

NHKによると、3日午前11時時点で、同県内の死者は64人に上ることが確認された。石川・富山・新潟3県で約3万4000人以上が避難生活を余儀なくされている。

避難所では多くの人が不安の中、物資不足や寒さ、感染症対策などに直面している。NHK福祉ポータルサイト「ハートネット」が公式Xで、障害のある人たちへの配慮を呼びかけた。

NHK調べによると、東日本大震災では、障害者手帳を持つ人の死亡率は全住民の2倍に上ったという。ハートネットは「障害のある人たちにとって、避難所はより困難が多い場所です。体調を崩したり、命に関わるようなことも起きかねません」と説明。

障害がある人にどんな配慮ができるのか。厚生労働省が各都道府県・市(人口20万人以上)に通知した配慮や支援の方法を紹介する。

能登半島地震で倒壊したとみられる家屋=2日午前、石川県輪島市
能登半島地震で倒壊したとみられる家屋=2日午前、石川県輪島市
時事通信社

具体的にどんな配慮ができる?

視覚障害がある人については、以下の配慮を求めている。

・全盲、弱視など障害の程度、点字や音声、拡大文字など情報の取得方法を確認する。

・必要な情報は放送などを使用し、音声の情報だけでわかるような説明をする。

聴覚障害がある人については、以下の配慮を求めている。

・障害の程度や、手話、文字、補聴器など、どのように情報を取得するかを確認する。

・ホワイトボードなどを使用し、文字など視覚情報だけでわかるように伝える。

車いすユーザーについては、以下の配慮を求めている。

・長時間同じ姿勢でいると体へ負担がかかるため、車いすを降りてくつろげるスペースを確保する。

・着替えやトイレへの移動が難しいため、移動しなくてもいいよう間仕切りなどでプライバシーを確保する。

知的障害児者については、以下の配慮を求めている。

・読み書き、計算、言葉をうまく使うことなどに困難があったり、理解がゆっくりで、複雑で抽象的なことを理解するのが苦手だったりする。ゆっくりと、簡潔な言葉で話す、文字にルビを振るなどの配慮が必要。

精神障害者については、以下の配慮を求めている。

・環境の変化によるストレスや、服薬を中断することで症状悪化の危険性があるため、病状や服薬情報を丁寧に聞き取り、医療機関などにつなげる。

発達障害児者などについては、以下の配慮を求めている。

・コミュニケーションが不得意で、初めてのことへの戸惑いが大きい人が多いため、伝えたいことは紙に書き、簡潔な言葉を使うようにする。

・不安が強くなるとパニック状態になる可能性もあるため、本人をよく知る人と連携し、配慮の方法を確認する。

・音や光、食べ物のにおいなどに敏感なため、ヘッドフォンやサングラス、マスクを使用できるようにする。

他にも、高次脳機能障害者は、記憶障害など外から判別しにくい症状がある場合も。常に見守りが必要なケースもあるため、声がけや聞き取りなどの配慮が必要だ。

また、人工肛門・人工膀胱保有者の人に聞き取りなどをする場合は、プライバシーに十分に配慮する必要がある。パウチを洗浄する設備がトイレに用意されていない場合は、代替の設備などを設置する配慮が必要だ。

ハートネットは「『みんなが大変な時だから』と我慢してしまうことも多いので、添付画像のような『配慮』を、可能な範囲でお願いします」と呼びかけた。

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