バイデン大統領「記憶力の限界」を理由に訴追されず。機密文書の捜査で指摘、本人は強く反論

捜査報告書には、バイデン大統領が自身が副大統領だった期間や、長男がいつ亡くなったかも思い出せなかったと書かれている
司法省の報告書を受けて記者会見したジョー・バイデン氏(2024年2月8日)
司法省の報告書を受けて記者会見したジョー・バイデン氏(2024年2月8日)
MANDEL NGAN via Getty Images

アメリカのバイデン大統領の自宅などから機密文書が見つかった問題を捜査してきた司法省のロバート・ハー特別検察官は、バイデン氏を訴追しないと発表した。

トランプ前政権で連邦検事を務めたハー氏が、訴追しない理由の一つとして挙げたのがバイデン氏の「記憶力」だ。

ハー氏は報告書で「バイデン氏の記憶力は、2017年のゴーストライターとの録音インタビューでも2023年の我々の事務所での取り調べでも、著しく限られていた」と述べている。

「デラウェア州の(自宅)ガレージにアフガニスタンの文書があったことを政府に報告するなど、我々の捜査に協力的であったことから、法を犯す意図を持って行動したのではなく、うっかりミスだと納得する陪審員もいるだろう」

ハー氏はバイデン氏の記憶力について「自身が副大統領だった期間や、長男のボー氏がいつ亡くなったかも思い出せなかった」とも記載。

バイデン氏は81歳と高齢であるため、陪審員の同情を買い、有罪評決になる可能性は低いだろうと述べている。

連邦検事時代のロバート・ハー氏(2019年11月21日)
連邦検事時代のロバート・ハー氏(2019年11月21日)
via Associated Press

バイデン氏の年齢と記憶力に関するハー氏の見解は、大統領選挙の共和党最有力候補であるトランプ氏にとって格好の攻撃材料になりそうだ。

77歳のトランプ氏は、バイデン氏の失言や言い間違いを理由に「大統領の任務にあたるには歳を取りすぎている」と主張している。

一方、報告書に添付された回答書で、バイデン氏の特別顧問を務めるリチャード・サウバー氏と顧問弁護士ボブ・バウアー氏は、訴追しないという結論を歓迎しつつ、記憶力に関するハー氏の見解に異議を申し立てた。

弁護士らは、「報告書の中のバイデン大統領の記憶力に関する扱いは、正確でも適切でもないと考えています。報告書は証人によく起きる出来事、つまり『何年も前の事象を思い出せない』ということを、非常に偏見に満ちた表現で説明しています」と回答書で指摘。

バイデン氏は古い出来事についての質問にも答えているほか、取り調べが行われたのはハマスのイスラエル襲撃が起きた10月7日の翌日で、大統領は対応に追われて多忙だったなどと説明している。

バイデン大統領も2月8日夜にホワイトハウスで開いた会見で「私の記憶力に問題はない」と反論した。

2015年に脳腫瘍で亡くなった長男のボー氏については「息子がいつ死んだか覚えていないという言及さえある。何をもってそんなことを言い出したのだ。息子がいつ亡くなったか、誰かに思い出してもらう必要はない」と述べた。

一方、バイデン氏は同じ記者会見でガザの人道問題について聞きかれ、エジプトのシシ大統領を「メキシコの大統領」と言い間違える場面もあった。

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。

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