Twitter(ツイッター)はTikTokとの合併の可能性について中国の有力テクノロジー企業、Bytedance(バイトダンス)と予備的話し合いをしているとWall Street Journalが報じた。TikTokはトランプ大統領の「売却かさもなければ禁止」という圧力に対抗する措置を探っている。
TikTokはBytedanceが世界に展開するショートビデオのプラットフォームだが、米国だけでも 1億人のユーザーがいるとされる。
Wall Street Journalによれば、Bytedanceと株式公開企業のTwitterはTikTokの米国事業の合併について予備的交渉を始めた。米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドにおけるTikTokの事業の買収について依然としてMicrosoft(マイクロソフト)が一番手だが、ここにきてTwitterがTikTokの北米事業合併に名乗りを上げたという。
BytedanceのTikTok事業に対するTwitterの申し出は、どんな内容であるにせよ、他の投資家の支援を必要とする。 TikTokの企業価値は150億ドル(約1.6兆円)から500億ドル(約6.3兆円)と見積もられており時価総額299億ドル(約3兆円)のTwitterが単独で取り組むには巨大すぎる相手だ。
先週、トランプ大統領はTiiktokを売却か禁止に直面させる大統領行政命令に署名した。つまりBytedanceが9月15日以前にTikTokの買い手を見つけることができなければ米国における事業は禁止されることになる。
これまでのところBytedanceのビジネスに対する買収ないし合併に名乗りを上げているのはTwitterとマイクロソフトだけだが、他の投資家が参加する可能性はある。一方、この大統領行政命令に対する訴訟が起こされて買収交渉が凍結される可能性もある。
8月8日にNPRは「TikTokは大統領行政命令は正規の手続きを踏んでおらず従って無効であるとして訴訟を起こすことを検討している」と報じた。 NPRによれば、BytedanceはTiktokが米国の安全保障の脅威となるという主張には根拠がないと考えている。
テクノロジー分野の著名人には、例えばマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏のように、Bytedanceが TikTokを売却するよう強制されたことについて批判的なものが多い。
ゲイツ氏はWiredのインタビューで.「ソーシャルメディア分野においてはさらなる競争が必要であるはずなのに(最大のプレイヤーを)排除しようというのは奇妙なことだ。TikTokを売却するよう強制する根拠が奇妙だし(買収価格から)分け前をよこせというにいたっては2倍も奇妙だ」と述べている。
何らかの奇跡的な幸運によってTwitter がTikTokの米国事業を買収できたら同社にとって新たな大ビジネスとなるだけではなく、ソーシャルメディアの地図を将来にわたって一変させることになるだろう。TikTokには膨大なユーザーがあり、これを得られればTwitterのユーザーベースは質、量ともに一変する。
以前からテクノロジービジネスを観察していた者ならTwitter自身がショートビデオのプラットフォームであるVineをスタートさせたことを思い出すだろう。Vineを早まって中止しなければどうなっていたか(未訳記事)と考えると非常に皮肉な話だ。
トランプ大統領の TikTok に対する批判は買収交渉の関係者の間に懸念を呼び起こしている。Wall Street Journalによれば、マイクロソフトとBytedanceは買収に関する話し合いを数週間前から続けていた。しかしトランプ大統領が7月31日に大統領専用機内で記者団に対しTikTokを禁止することを考えていると言明したことはBytedanceとマイクロソフトを驚かせ (Wall Street Journal記事)、両社は事情がもっとはっきりするまで交渉を一時中断(Wall Street Journal記事)したいう。
(2020年8月10日TechCrunchJapan「TikTokとの合併にTwitterが名乗り、ビル・ゲイツ氏は売却強制を強く批判」より転載)
【関連記事】
・広告詐欺師はパブリックドメインのコンテンツを利用して偽のTVアプリを作っている
・慶応FinTEKセンターとIGSがブロックチェーンによる学生の個人情報管理プラットフォームを共同開発
・TikTok事業売却を控えByteDanceの評価額に強い下げ圧力
・WordPress.comが社内コミュニケーションツールのP2をリリース
・使われなくなったショッピングモールはAmazonの次の物流センターになるかもしれない