ルンルー通りの三角形より

今月の終わりに、マメヒコの店内で演劇をやります。それについて、ちょっとご説明を。渋谷にあるマメヒコ宇田川町店には、ちょっとした、ほんとにちょっとしたステージとスクリーンがあって、映画と演劇を上映したり、上演したりできるような設備になっています。普段はなんの変哲もないカフェだけれど、年に2回、冬と夏に、新作の映画や新作の演劇をそこでやることになっています。過去の名作映画を定期的に流したりするためにあるのではなく、新作作品だけを上映する場として考えていて、いまのところ、ボクが作・演出するものに限られています。(ほかにやりたいという人がいれば歓迎しますが)

今月の終わりに、マメヒコの店内で演劇をやります。

それについて、ちょっとご説明を。

渋谷にあるマメヒコ宇田川町店には、ちょっとした、

ほんとにちょっとしたステージとスクリーンがあって、

映画と演劇を上映したり、上演したりできるような設備になっています。

普段はなんの変哲もないカフェだけれど、

年に2回、冬と夏に、

新作の映画や新作の演劇をそこでやることになっています。

過去の名作映画を定期的に流したりするためにあるのではなく、

新作作品だけを上映する場として考えていて、

いまのところ、ボクが作・演出するものに限られています。

(ほかにやりたいという人がいれば歓迎しますが)

どうして、そういうことが始まったのか?

無論、ボクやボクの周りがそういうモノが好きだったから。

に、ほかならないんですが、

色々な出会いや細かな偶然がマメヒコと重なってこうなっているので、

説明するのは・・・、また別の機会にします。

映画は去年、一昨年と、2本作っていて、いま3作目の準備中です。

演劇は過去に4作、マメヒコとして上演していて、

今年の冬に宇田川町店で、一人芝居をやり、

今月末に5作目の「ルンルー通りの三角形」を上演します。

3日間、4回の公演で、観劇料は無料。

面白かったらお金を払ってね、面白くなければ払わなくていいよ、

というルールでやっています。

今回の新作「ルンルー通りの三角形」は

1937年、中国にある日本人租界

「ルンルー通り」に住むクーヤンとミースンという姉弟、

ヤブオバサンという包子屋のおばさん、その3人を描いた人間ドラマです。

だだいま、目下稽古中です。

役者は、

テレビドラマ「風のガーデン」出演の平野勇樹くんと、

富良野塾の一期生みすともこさん、

そしてコピーライター?の金そよんさんの3人です。

ホームページで出演者を募集したとこ、集まったのがこの3人で、

フィーリングが合ったのでやりましょうかと始まったのです。

台本の初めての読み合わせで、

演技の経験がほとんどない金そよんさんは、

だいじょぶか?と耳を疑いたくなる読み合わせなのです。

平野くんはハートの熱い好青年なんですが、

その熱さゆえに、全体の調和が取れない。

みすさんは実に台本を読み込んでいて、読み合わせでは完璧。

明日にでも舞台に上がれる!!と絶賛したのも束の間。

立ち稽古になったら、ちっとも台詞を覚えておらず、

どっかから間違って連れてきたマネキンのようなのです。

なぜこの3人が集まってしまったのだろうと、恨めしい毎日が続いています。

ただ、当の本人たちは、表にこそ出しませんが、

ボク以上の葛藤を抱えているに決まっているのです。

脚本は2時間にも及ぶ長編で、

かつ、全シーン伏線だらけの心理サスペンスになっています。

ボクは上海でこれを書き終え、さらりと渡しましたけど、

受け取った3人からすれば、

えっ、これやるの!?という感じなはずです。

「舞台の上で白紙になったらと思うと怖い。

だからセリフを覚えることに必死で、

全体を通した心理描写まで読み解き表現するメモリが、

正直、わたしの頭に残ってないんです」

と言ったのは、そよんさんです。

コピーライターは上手いことを言うものですね。

セリフを覚えることに集中すると、

どうしても視野が狭くなってしまいます。

視野が狭くなって良いことなどなにもないということを、

ボクはカフェをやっているなかで、

散々痛い目に遭っているので知っています。

とにかく視野を広く持つことが何より大事なのです。

それはピンチの時ほどそうなのです。

なぜ今これを、このようにやらなくてはいけないのか。

それをきちんと理解することがどんな時でも大事で、

それがわかりさえすれば、細部などどうでもいいのです。

いやむしろ、理解があれば、

細部というのは自ずと決まってくるものです。

収まるべきところに収まる、必然に到達すると言ってもいい。

細部に固執し、その結果として、

どうにも身動きがとれなくなっているヒトや組織というのを、

ボクは知っています。

カフエ マメヒコでも同じことがいつも起きています。

人間というのは細部から全体を知ることができるし、

全体から細部を知ることができるのであって、

どちらかだけ独立して存在しているわけではありません。

演劇というモノは、同じ場所、同じ時間に、

観客も出演者も、同席しなくてはならない、

極めて稀有で面倒なモノです。

まさにカフエも同じで、そういう時に大事なことは、

緻密な細部よりも、俯瞰の視点であり、

そこに参加しているヒトたちの尊重であり、共感なんですね。

先の見えない3人に、ボクが改めて、そんなようなことを言うと、

3人は、雷に打たれたような顔に初めてなって、

「わかりました。うん、やってみます」と言いました。

ボクは一緒にやっているこの3人がとても好きになりました。

残り2週間。

こういう日々が、ずっと続くのです。

マメヒコの劇 vol.2 「ルンルー通りの三角形」

2014年8月

29(金)19:30~

30(土)14:30~ 19:30~

31(日)14:30~

《会場》

カフエマメヒコ宇田川町店

《作》

井川啓央(カフエ マメヒコ)

《キャスト》

平野勇樹

金そよん

みすともこ

お申込みの詳細はカフエマメヒコHPでご確認ください

注目記事