コッパ・イタリアのベスト8でウディネーゼと対戦したミラン。ホームで幸先良く先制したが、逆転されそのまま敗退。本田圭佑は後半37分に投入されたが、あまりにも時間が短かった。現地記者も投入の遅さを嘆いている。
■「爪痕を残すような2つのプレーがあった」
ACミランのMF本田圭佑は22日のイタリア杯準々決勝ウディネーゼ戦後半37分に途中出場。一点差の劣勢を覆そうとしたが、ゴールは遠く、イエローカードも受けた。1-2による逆転負けでミランのイタリア杯敗退が決まった。
眼の肥えたイタリア人記者の中には本田投入の遅れを嘆く声が多かった。
「Milannews.it」のジュリア・ポッローリ記者は「本田はとてもいい選手。しかしチームに完全に溶け込んでいない。今夜はあまりにも交代で入るのが遅すぎた。でも爪痕を残すような2つのプレーがあった。
特に後半ロスタイムのシュート。高すぎたが、ともかくシュートした。バロテッリがFKを蹴ったぐらいで、試合終了間際に本田がシュートした以外、後半のミランは全くシュートがなかった」と証言した。
デビュー戦のサッスオーロ戦から8日間で3試合も出場していた本田はクラレンス・セードルフ新監督から負傷や疲労蓄積のリスクを考慮され、ベンチスタートとなった。
前半6分にバロテッリが先制点を奪った序盤以降、特にゴール前で精彩を欠いたミランには本田のような起爆剤の投入のタイミングがもう少し早ければ、戦果は変わっていたかもしれない。
「最初の15分はよかったが、チームはメンタル面でダウンしてしまった。先制しながら、失点をして追い越されるという、リーグ戦と同じ過ちだった。監督は試合開始の集中力を90分間キープできるように指導しなければならない」とポッローリ記者は指摘した。
■ 「本田が入ったのは遅すぎた」
一般紙「コリエレ・デラ・セーラ」のファビオ・モンティ記者もボッローリ記者に同調する。
「本田が入ったのは遅すぎた。30分間はいいミランだった。PKで失点し、ミランは苦しめられた。後半はウディネーゼの攻撃テンポが上がって、更に難しくなった。本田はいい選手だと思うが、今夜はあまりに入ったのが遅かった。チームはみんな足が止まり始めていたし、一人ではプレーできない」
ロスタイム含めて10分間の出番では物足りない。
その一方で、本田と現行の4-2-3-1システムとの相性の問題を指摘する記者もいた。イタリア三大紙の一つ「コリエレ・デロ・スポルト紙」のフリオ・フェデーレ記者だ。
「本田はチームに溶け込んでいない問題がある。このフォーメーションでは本田はプレーできない。4-3-2-1や4-3-1-2なら、より動けるスペースができる」と指摘する。現行のシステムは本田がザックジャパンで慣れ親しんだシステムでもある。
ミランのバージョンはバロテッリの1トップの下に3人の攻撃的MFがポジションを入れ替えることもできる現行のシステムだが、ミランの攻撃的MF3人は運動量が減り、ポジションチェンジがスムーズにいかなければ、お互いがお互いのスペースを消してしまうなどのデメリットもあるかもしれない。
■「過去最悪のミランに来てしまった」
フェデーレ記者は最後に名門のあまりの凋落を嘆いた。
「今夜の本田は、ミランがもうミランではなくなってから試合に入った。2014年本田にとっていいスタートとはいえない。ベルルスコーニ会長となってから、過去最悪のミランに来てしまった。来シーズン、ヨーロッパのカップ戦に参加できないリスクも出てしまった」
シルビオ・ベルルスコーニ会長がミランを買収したのは1986年。そこからスクデット8回、UEFAチャンピオンズリーグ優勝5回など数々の栄誉を手にしたが、現在はリーグ11位に低迷する。
現状では来季のチャンピオンズリーグ進出はおろか、ヨーロッパリーグ出場すら叶わない。そして、カップ戦敗退も決まった。近年最弱というフェデーレ氏の現在のミランに対する指摘は間違ってはいないだろう。
26日の敵地カリアリ戦からの本田とミランの巻き返しに期待するしかない。
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(2014年1月23日「フットボールチャンネル」より転載)