洪水や土砂災害の恐れがある地域に立地する高齢者施設などに、避難計画の作成・避難訓練の実施を義務付けることを柱とした改正水防法などが、12日の参議院本会議で全会一致で可決、成立した。6月をめどに施行される見通し。
計画作成・避難訓練が義務になるのは市町村地域防災計画に定められた要配慮者利用施設。具体的には洪水や土砂災害が想定される区域内の社会福祉施設(高齢者、障害者、乳幼児が利用する施設)、学校、医療施設が対象になる。
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津波防災地域づくりに関する法律の施行令第19条に規定された施設の種類を参考に、市町村が判断する。
避難計画・訓練は、現在は努力義務とされていて、2016年3月現在、洪水を想定した避難計画・訓練は3万1208施設中716施設(約2%)が実施。土砂災害を想定した避難計画・訓練は7325施設中1292施設(約18%)で実施している。
国交省は洪水、土砂災害のいずれも実施率を21年度までに100%にする目標を掲げる。
市町村は義務となっていても実施しない施設には指示し、それでも従わない場合は施設名を公表することができる。政府は16年8月の台風10号による豪雨災害で、岩手県の高齢者施設で入所者9人が死亡したことを受け、対策を強化する必要があると判断した。
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(2017年5月22日「福祉新聞」より転載)