田中将大が迎える最大の問題、メジャーにおけるキャンプから開幕までの流れとは

ヤンキース入団が決まった田中将大投手(25)のキャンプインが今月15日に迫っている。4月1日の開幕戦までにどんな時間を過ごすかで、1年間の活躍も変わってくるはずだ。では、田中はこれからどのような流れを踏んで、シーズンに突入していくのだろうか。

■最大の問題となっている渡米時期

ヤンキース入団が決まった田中将大投手(25)のキャンプインが今月15日に迫っている。4月1日の開幕戦までにどんな時間を過ごすかで、1年間の活躍も変わってくるはずだ。では、田中はこれからどのような流れを踏んで、シーズンに突入していくのだろうか。

同じようにポスティングシステムで渡米した松坂大輔(2007年)、ダルビッシュ有(2012年)の1年目のキャンプを振り返りながら、キーポイントを考えてみたい。

田中には、2人の先輩にはなかった意外な"敵"が立ちはだかるかもしれない。それは時差だ。

最大の問題となっている渡米時期。右腕はまだ日本にいるが、当時の松坂は1月12日、ダルビッシュは2月10日にキャンプに備えて海を渡っている。田中の渡米が遅れている原因は"ポスティング余波"によるところが大きい。

■準備期間が短いときの問題点

今オフ、新たなポスティングが締結されるまでに日米の野球界が揺れに揺れたのは記憶に新しい。失効されていたシステムが紆余曲折を経て正式に締結されたのは12月17日と、当初の予定よりも2か月近くも遅れた。

さらに、譲渡金が上限2000万ドル(約21億円)に抑えられたことで、楽天が田中のポスティング申請を容認するまでにも時間がかかった。米球団との交渉が可能になったのは同26日。ヤンキースと合意したのは年を越した1月22日で、そこからビザの発給を待つことになった。

一方、松坂とダルビッシュの時にはポスティングシステムが失効していなかったため、オフに入ってからすぐに申請が可能だった。松坂が独占交渉権を獲得したレッドソックスと合意したのは12月14日で、申請が12月上旬までずれ込んだダルビッシュもレンジャーズ入団は1月18日に決定している。その後、2人ともロサンゼルスで自主トレを行ってからキャンプ地に入った。

引っ越し作業などの準備期間が必要なことを考えると、現状で田中の渡米は今週末以降が有力視されている。となると、ヤンキースのバッテリー組集合日となる14日までには、1週間を切っている可能性が高い。その間にはニューヨークでの入団会見も入る見込みだ。

松坂のキャンプインは2月18日と、渡米してから約1か月の余裕があった。一方、ダルビッシュとは大差がないようにも見えるが、2012年のレンジャーズのバッテリー組のキャンプインは2月23日と、渡米してから約2週間後だ。2人と比べ、田中の準備期間がいかに短いかが分かる。渡米から1週間以上の間隔がなければ、時差ボケが残っている可能性も高いだろう。ロサンゼルスで自主トレを行ってからフロリダのキャンプ地に入った松坂は、時差で約3時間早まっただけで「体が重い」と漏らしていた。14時間の時差と戦う田中は、当初はコンディション調整に苦しむかもしれない。

■すでに戦いは始まっている

もっとも、キャンプが始まってしまえば、待ったなしでタイムテーブルが設定されている。松坂、ダルビッシュは、ともにキャンプイン初日にブルペンに入り、アピールを開始している。ダルビッシュはその日のうちに初のフリー打撃にも登板。松坂はキャンプ7日目に初めてフリー打撃に臨んだ。

そして、オープン戦初登板は、松坂がキャンプインから約2週間後の3月2日。相手は大学生だった。ダルビッシュも約2週間後の3月7日に初めてパドレス相手にオープン戦で投げており、日本のキャンプと比べると、2週間程度タイトなスケジュールだと言える。つまり、キャンプに入るまでに万全の状態を作りあげる必要があるのだ。このことを考えても、渡米が遅れている田中は準備期間が制限されるだけに、不安が残る。

その後、メジャーではシーズンを想定した先発ローテーションを組み、中4、5日のペースで登板を重ねながら、徐々にイニング数を伸ばして開幕に備えていく。松坂は7試合、ダルビッシュは紅白戦を含めて6試合に投げた。

今年のヤンキースのオープン戦日程を見てみると、初戦は25日。CC・サバシア、黒田博樹に続く先発ローテーション3番手が有力と見られている田中の"デビュー戦"は、27日のパイレーツ戦が有力か。その後、中4、5日ペースで7試合の登板が可能だ。この間にメジャーの登板間隔、調整法、マウンド、ボールなどに慣れなくてはならない。そして、メジャー初登板が有力視される開幕3戦目のアストロズ戦(ヒューストン、ミニッツ・メイド・パーク)に照準を合わせていくことになる。

キャンプで躓けば、シーズンに大きな影響が出ることは言うまでもない。そうならないためにも、まずは田中も出来るだけ早く日本を発ちたいはずだ。体調を万全にすれば、野球だけに集中することが出来る。いいスタートを切るため、そしてファンの期待に応えるために、すでに戦いは始まっている。

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