日本経済新聞によると、日本経済団体連合会(経団連)の榊原定征会長は11月9日、大学生の就職活動について、企業による選考開始時期を今の8月から2カ月程度早めたいとの意向を表明したという。今の8月というルールは、2013年8月に経団連が「採用選考に関する指針」を発表し、今年だけ実施されたので、わずか1年での再変更ということになる。
朝日新聞に「就活選考、時期ころころ 4月→8月→6月 誰の責任?」という記事が出ていたように、ルール変更による混乱の責任は問われざるを得ない。榊原会長は、今年からのルールは「安倍晋三政権からの要請を受けたものだと強調し」「経団連はもともとそれまでのやり方を続けるよう主張していた」と発言している。一方、元経団連副会長(2013年当時はすでに退任)で国際大学理事長の槍田松瑩氏は、自分が後ろ倒しの声をあげたとして、「経団連として決めたことですから、後ろ倒しを通じて目指したものは、きちっと目指すべきだと思います。次は10月まで遅らせよう、とかね。そちらの方向に流れをもっていくべきであって、ひ弱になって元にもどすというようなことになっては困ります。」と、日本経済新聞のインタビューに応えている。
責任論はやぶの中であいまいになるだろうが、どうして8月ルールが失敗したかは理解しておく必要がある。多くの人々が指摘するように、原因は、経団連に属さない中堅・中小・外資企業などが早くから採用選考を開始したことや、大企業を含め多くの企業がインターンシップの名目で3年生の夏から事実上の採用活動を始めたことだ。これらの状況が6月ルールで変わるだろうか? 新しい「採用選考に関する指針」は経団連参加企業にしか適用されないから、混乱は収まらない可能性が高い。
僕は「一斉主義の就職活動が学生と企業の疲弊の元である」という記事を2014年7月にハフポストに投稿した。その考えは今も同じである。大企業も、中堅・中小・外資企業も、学生といつでも出会えるようにすべきだ。出会いの機会にインターンシップも利用してもよい。8月ルールを決めた理由の一つに学生の留学促進があったため、6月ルールに留学組が困惑していると書かれていたが、いつでも就職活動できるなら留学組は困惑しない。勉学の都合を勘案して学生が就職活動すれば、大学の講義や卒業研究への影響もなくなる。
就職活動の時期をコントロールする必要はないし、今や、コントロールはできないのだ。「採用選考に関する指針」ではなく、新卒一括採用という慣行自体を見直しすべきだ。
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