私たち若者は、未来のヨーロッパのために戦わねばならない

若者として、私たちはこの国民投票で声を上げなければならない。この投票は、私たちの将来を左右する大きな決断であるだけでなく、私たちの望むようなヨーロッパを求めて戦うチャンスでもある。

11月18日、イギリス議会で大きな勝利が達成された。

近く実施する欧州連合(EU)離脱を問う国民投票で、16歳と17歳の若者に投票権を認める法案が上院で可決されたのだ。

下院でも可決された場合―その可能性は今のところ、高そうなのだが―、これは、大きな意思決定に参加できることになる150万人の若者だけの勝利ではない。これは民主主義の勝利だ。選挙権を拡大することで、国民の意志をより包括的に取り込んだ決定がなされるだけでなく、それに至るまでの議論も豊かなものになる。

今重要なのは、若者たちが声を上げて、イギリスがEUにとどまれるように戦うことだ。EUの加盟国であることの利点がどれほど大きなものか、EUがどれほど力を持った連合であるかを、私たちはよく理解している。だが、今後数カ月のうちに、ビジネスや金融、移民問題に関するデマなどの議論に屈して、この主張が失われてしまう危険性がある。

しかし、EUの革新的な可能性について、そして、イギリスの若者たちが賛成することのできるような今後のヨーロッパの展望について、主張がなされるべきだ。

ヨーロッパの若者や学生たちには、団結と抗議という誇るべき伝統がある。私たちは過去半世紀にわたり、他国で生活し、働き、学ぶ自由を行使してきた。そして、それを通じて、ヨーロッパ大陸中の仲間たちと、文化や考え方、そして苦しみを分かち合い、共にしてきた。

1960年代末には、フランス、イタリア、ドイツやその他の国々の学生らが団結して、戦争と抑圧に反対することで、ヨーロッパ中に文化革命が広まった。今日の活動家たちも、この伝統を継続している。12月には、多くの緑の党青年部会のメンバーが、パリでのCOP21に向かい、気候変動について必要な行動を起こすように各国政府に圧力をかける。

こうした行動は、世界的企業の支配的立場や気候変動による危機、そして労働者の権利の衰退などによってもたらされる国境を越えた難題に取り組むために、大陸をまたいで団結することの必要性を示すものだ。

そして、私たちが自ら望むような未来を手にしたいと思うならば―つまり、大企業よりも市井の人々がより大きな力を持ち、グローバルな資本主義の支配から守られ、気候変動や難民問題といった問題に対して有意義な行動を起こすことのできるような世界を築きたければ、その答えはただ1つ、EUなのだ。

この夏、安全を求めて欧州諸国に向かう途上で命を落とす難民の数が急増する中で、私たちはおぞましい結果を目のあたりにした。それはこの事態に、各国政府が多国間で取り組むことに失敗した結果、もたらされたものだった。

イギリスのような政府もまた、必要な行動を起こすことをためらった。このことがむしろ、公正かつ人道的に前進する道はただ1つ、ヨーロッパ大陸全体で難民の再分配を行うような、拘束力があり、効果的な全ヨーロッパにまたがるシステムを実施することの重要性を示すこととなった。

同様に、COP21の気候変動をめぐる議論の方法によって、環境問題に対する各国の協働が私たちの未来を守るために今すぐに必要なこと、そして、EUがかつて果たしてきた不可欠な役割が浮き彫りにされた。

恥ずかしいことにイギリスはすでに、再生可能エネルギーの生産において他のヨーロッパ諸国に後れを取っている。しかし、イギリス政府は、EU加盟国であることで求められる義務を果たすことを通じて、少なくとも排出量削減に必要な基本的なステップを踏むことになっている。

ヨーロッパという独特の政治的連合においては、もっと多くを成し遂げうる可能性がある。より大胆な目標を掲げ、それを達成するために各国からより多くの支援を得ることができる。炭素除去の最適な方法を共有するよう促進することができる。そして、大陸全体で再生可能エネルギーのインフラ整備に投資することができるのだ。

EUによって解決が促進されるのは、気候変動の問題だけではない。多国籍企業がより支配的になるにつれて、グローバルな資本主義の力を監視するために国境を越えて働くことができることは絶対的に重要となる。

労働者の権利を定めた法律をヨーロッパ中で強力なものに保つことで、労働条件を悪化させる危険なレースが起こることも防げる。そして、金融部門のヨーロッパ全体での規制は、銀行業のリスクを減らすために非常に必要なものだ。

ここでもまた、脱税について、さらに厳しい規則を設けたり、ヨーロッパ内の金融取引税を設定したりすることを通じて、リスクの高い金融取引に制限を加えたりすることができるだろうし、実際にそうすべきだ。

現在のヨーロッパが、十分に革新的、進歩的、民主的ではないというのは事実だ。現在のところ、ヨーロッパは、イギリス政府のような政府--国際商取引に損害を与えたり、環境問題を棚に上げておいたり、労働者の権利に関する法律の質を損ねたりする政府に支配されている。これが明らかにEUの採る政治的方向性に影響を与えている。

ここ数カ月の間に、私たちはギリシャの受けた容赦ない扱いに唖然としたし、環大西洋貿易投資パートナーシップ (TTIP) のもたらしうる影響に不安を覚えてきた。しかし、ギリシャのような国々に背を向けて何もせず、EUからも脱退するという道をとったとしても、私たちがTTIPのような貿易協定から救われることはない。

そうではなく、私たちはヨーロッパ全体に広がる運動に私たちのエネルギーを追加して、変化を求めて戦うべきなのだ。大陸ヨーロッパで起こりつつある動きの中心には、若者の力がある。そしてそれに私たちが加わらないのは、愚かなことなのだ。

だから、若者として、私たちはこの国民投票で声を上げなければならない。この投票は、私たちの将来を左右する大きな決断であるだけでなく、私たちの望むようなヨーロッパを求めて戦うチャンスでもある。

自由市場資本主義の行き過ぎを制限するように、国境を越えた司法権を行使できるようなヨーロッパを。地域のコミュニティに権限を与えるようなヨーロッパを。そして、ますます国境が重要なものではなくなってきている世界にあって、究極的には、21世紀の問題の数々に対して、21世紀的な解決法を築き上げることのできるようなヨーロッパを。

ハンナ・クレアは、緑の党青年部会の共同議長を務めている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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