内向的な人がビジネスの主流になる時代がやってくる?

内向的な人が活躍できる時代になった。これからもますますその傾向が強くなるだろう。そういう記事を目にするようになった。

内向的な人が活躍できる時代になった。これからもますますその傾向が強くなるだろう。そういう記事を目にするようになった。

いつも読ませていただいているGeofferyさんの最新記事も、「Introverts Will Soon Rule the Business World(もうすぐ、内向的な人がビジネスの世界も制するようになるだろう)」というタイトルで、そのことについて書かれている。

Geofferyさんも書かれているように、たしかに、少し前までは、内向的な人は机に向かってコツコツと何かを作る、それを外向的な人が光のあたる場所に持ちだしてみんなに伝えたり売ったりする。

内向的な人はカーテンの裏で頑張り、外向的な人はステージ上で頑張り、その2種類の人間がタッグを組むことで、最高のビジネスや運動をおこすものというイメージがあった。

そういえば、会社を辞める直前に、誘われて起業家や起業家志望の人たちが集まるイベントに行ったことがある。

そこにいる人たちはみんな、社交的で自信と野心に満ちているように見え、とても息苦しかったことを覚えている。

イベントの後、その輪に溶け込めなかった僕は、これではダメだと自分を叱咤して、誰だか知らないが気まぐれに声をかけてくださった人のあとについて、二次会に行った。

しかし、そこでも違和感は消えず、その声をかけてくださった方に、当時考えていた起業プランにダメ出しされたうえ、「あなたはあそこにいた人たちとは違う種類の人間ですね」と言われてしまい、激しく落ち込んだ。

まあしかし、あの場には馴染まない、僕のような内向的な人間でも、自分で商売をはじめて食べてくることができたのだから、Geofferyさんもおっしゃるように、内向的であっても商売に格段に不利であるという時代は、過去のものになりつつあるのかもしれない。

セールスを例にとろう。リサーチ会社Forresterによれば、百万人のB2Bのセールスパーソン(営業担当者)がこの5年で職を失うだろう。オンラインによる受注システムが急速に洗練され合理的になるからだ。同時に、企業は会社の外に送り出していた営業部隊(外向的な人に向いている)を縮小して、オフィスでひとりひとり座ってオンラインで顧客とコミニケーションをとる人を増やしつつある。

彼の記事によれば、そういった事態は、マーケティングの部門でも起きている。つまり、以前のマーケティング担当者の仕事は、たくさんの人に会って自分と製品を印象づけ、トレードショウに出展したり、大規模なプレゼンテーションをするのがメインの仕事で、それは外向的な人が得意な分野であった。

だが、現在では、マーケティングは、より顧客のデーター分析に基づくものとなっており、それは内向的な人が得意とする、技術的で、緻密で、根気のいる、静かな仕事であり、実際、現在のトップマーケッターは、内向的な人が多いそうである。

リーダーシップについても同じで、その例として、Geofferyさんは、スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、ザッカーバーグなどを挙げている。

インターネットのおかげで、内向的な傾向の強いものには、ありがたい時代になった。プログラミングが得意な人はプログラミングを、文章が得意な人は文章を、それぞれ磨くことで、以前より、自分らしい職業人生を送りやすくなったように思う。

それはそうと、内向的な傾向の強い人に、ひとつだけアドバイスをしたい。

内向的であると、ついつい外の世界との間に壁を作ってしまいがちだ。

そのほうが仕事がしやすければそれでいいのだけれど、同時に、自分の可能性を閉ざす壁をも作ってしまいがちだということを肝に命じておいたほうが良い。

僕もずっとそうだったし、今でもその傾向はあり、自分で自分の可能性を閉ざしている面がある。

「あなたはあそこにいた人たちとは違う種類の人間ですね」と言われた時のように、他人の否定的な言質をそのまま受け入れてしまいがちだ。そして、自分はそういう人間だ、と思い込んでしまうのである。

外向的な人であれば、そういう時、肯定的なアドバイスをくれる友もみつけやすく、バランスが取りやすい。しかし、内向的な性向が強ければ、いかに少数であれ、否定的な人の意見に頭の中が支配されてしまう。

ともかく、内向的な人にとって、生きやすい時代になった。

多くの知的な人たちが、これからはもっと、その傾向が強くなるという。

ならば、僕ら内向的な人間は、自分自身で可能性の壁をつくらず、一見、できないかもと心配になるようなことに挑戦していこうではないか。

(2015年4月30日「ICHIROYAのブログ」より転載)