昨日、英国国民投票の結果、英国はEUからの離脱を決定しました。これが今後世界にどういう影響をおよぼすかは不透明ですが、はっきりしていることがあります。この事態は「アベノミクスにとどめを刺した」ということです。
24日、東京市場で円は一時99円ちょうどまで円高となりました。
日経平均株価は24日終値で14,952.02円と、15,000円台を割り込みました。
これらの数字はは2013年前半の水準であり、いってみれば「アベノミクス開始時の水準まで戻った」といえます。
これはいうまでもなく「単に元に戻った」のではありません。
「インフレ率2%」という無謀な目標をめざし、日銀は「異次元の金融緩和」「黒田バズーカ」と呼ばれる莫大なマネー供給増加を行って円安を誘導、そして日銀およびGPIFは膨大な量の株式を買い込んで株高を演出していたわけですが。
「その上で」
円も株価も、元の水準に戻ってしまったのです。
各国は市場安定化のため、協調して対応する構えを見せています。
しかしその方向性は、ドルの供給量を増やす「ドル売り介入」であり、ドルが売られた結果高くなるのは、円なわけです。
「最強通貨」といえばかっこいいですし、デメリットばかりでなくメリットもあるのですが、アベノミクスは「それをめざしてない」ということを忘れてはなりません。
円安・株高を誘導し、それによる「期待感」で経済を牽引しようというのがアベノミクスの本質です。
ここが、英EU離脱に伴う円高によって、完全に吹き飛んでしまいました。
為替介入もやらないわけにはいかないでしょうが、各国が協調してドル売りをしようという流れの中では、明らかに「焼け石に水」です。
もう安倍首相や黒田総裁が何を言っても、それで「期待感」は生まれないでしょう。
アベノミクスは「完全に終わった」のです。
岡田克也代表「アベノミクスの宴は終わった」
民進党の岡田克也代表は24日に記者会見を行い、英EU離脱に対するコメントを発表しました。
私は選挙戦の中で、円安・株高を牽引車とするアベノミクスは、最近の円高・株安によって潮目が変わり、今や行き詰っていると繰り返し指摘してきた。今回の英国のEU離脱によって、円高・株安が更に進む可能性は極めて高い。
アベノミクスの宴は終わった、と言わなければならない。
枝野幸男幹事長は24日、遊説先の岐阜市内で記者団の取材に応じました。
「われわれは一貫して『株価や為替に依存した経済運営はリスクが高い』『即効性はあるかもしれないが本質的な経済の回復にはつながらない』と言ってきた。われわれは、暮らしの安心、安定による内需主導の経済に切り替えていく必要を訴えており、今回のことで何か変わるものではない」
短期的な危機対応は協調して行う必要があるでしょう。
為替介入が行われるとしたら、そこには野党も理解を示す必要はあろうかと思います。
ただ、岡田代表や枝野幹事長のいうとおり、問題は「その先」です。
民進党は「人から始まる経済再生」。安倍首相、対案を。
安倍首相は、この参院選の争点は「アベノミクスを前にすすめるかどうかだ」と言ってきました。
ところが、この争点は消えました。
アベノミクスは完全に終了しました。
もう争点にはなり得ません。
民進党はこの参院選に際し、アベノミクスは既に限界が来ているという認識のもと、「人から始まる経済再生」というコンセプトで「国民との約束」を提案しています。
「ふつうの人から豊かになる経済」
「チルドレン・ファースト 子ども第一」
「働く人を守る、働き方を変える」
...といった提案をしており、まず一人ひとりの国民の「普通の暮らし」を支えることから経済再生を図っていこう、という提案をしています。
安倍首相、この提案に対する「対案」をお聞かせください。
もう「アベノミクス」は消えました。
さあ、どうするのですか。
首相、対案を。