かたや平和の祭典、かたや地上の地獄-シリア東グータ空爆 Twitterで惨状を訴える少女が話題に

今の自分にはNoorちゃん、Alaaちゃんの発信を広めることしかできない。
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Twitter画面をスクリーンショット、一部加工。Noor And Alaaより。

"地上の地獄" 子どもを含む多数の犠牲者

シリア首都ダマスカス近郊にある反体制派の支配地域、東グータで続く空爆によって、子どもや女性を含む多数の死者が出ている。本部をイギリスに置くNGO「シリア人権監視団」は今月20日、砲撃や空爆による死者が過去48時間で少なくとも250人に上ることを発表した。

また、21日には新たな空爆によって、少なくとも38人の民間人が亡くなったとみられている。

東グータの事態に対して、アントニオ・グテーレス国連事務総長は21日、"地上の地獄"だと声明を発表。戦闘を即座に中止するよう求めた。また、事務総長は同日の国連安全保障理事会にて、「私たちの目の前で起きているのは人類の悲劇。このような恐ろしい形で起きていることを放置できないと思う」と語っている。

東グータは反体制派にとって、ダマスカス近郊に唯一残っている主要拠点となっている。同地域に対してシリア政府軍は18日以降、ロシア空軍の支援を背景に、激しい空爆を実施している。

一方で、ロシアが空爆を実施したというアメリカの発表に対し、ロシア側は「根拠のない非難。何に基づいているのか明確ではない。」と否定している。シリア人権監視団も同様に、空爆はロシアの戦闘機によるものだと発表している。

Twitterで東グータの惨状を訴える少女

"地上の地獄"と形容されるほど、予断を許さない状況が東グータでは続いている。そんな中、Twitterで惨状を訴える少女が話題になっている。

これを聞いているすべての人たちに。私たちは危険な場所に居ます。手遅れになる前に、私たちを助けて下さい。

包囲下にある東グータで暮らしていると考えられるNoorちゃん、Alaaちゃん。プロフィールには

Our message to the children in the world. We just want to live like you. We want to live without fear(世界中の子どもたちに対する私たちのメッセージ。私たちはただ、あなたたちと同じように生きたい。恐怖に脅えず、生きたい)

と書かれている。

日本時間の2月21日19:07に投稿されたツイートには、

戦闘機とヘリコプターが樽爆弾で私たちの近くを攻撃している

というメッセージとともに、動画の撮影中、近くに爆弾が落とされた様子が映し出されている。

また、日本時間22日6:37の投稿では、空爆で家が破壊され、Alaaちゃんが怪我を負っている様子が映し出されている。

過去にはアレッポから発信する少女も

2016年には、シリア・アレッポにて政府軍側による空爆が実施されていた時、バナ・アルアベドちゃんという少女が、同じようにTwitterで現地の惨状を訴えていた。

"私の名前はバナ。7歳。東アレッポから今、世界に語り掛けています。生きるか死ぬか、これが最後の瞬間です。"

"私たちは今家を失いました。軽いけがをしました。昨日から寝ていません。お腹がすきました。生きたい、死にたくない。- バナ"

彼女は2016年12月19日頃、家族とともにシリアを脱出し、トルコに移り住んでいる。その後、自身の体験をまとめた著書『バナの戦争: ツイートで世界を変えた7歳少女の物語』も出版している。

私個人、バナちゃんがアレッポの惨状をTwitterで発信している時には、その安否を毎日のように気遣っていた。一時期はアカウントが閉鎖され、安否が心配されていたが、結果的に戦火を逃れることができたと知り、安心したのを記憶している。

東グータの現状を知っている日本人はどれくらいいるのか。かたや平和の祭典、かたや地上の地獄。かたやスマホでそれを眺める私、かたや恐怖から逃げ回る子どもたち。

これを世界の不条理と呼ばずして、一体何と呼べばいいのか。結局、今の私は傍観者にしかなれないのか。

テクノロジーの発展により、指先一つで世界とつながることができる現代。しかしながら、東グータの惨状に対して、今の自分にはNoorちゃん、Alaaちゃんの発信を広めることしかできない。

その無力さを噛み殺しながら、彼女たちの無事を祈り、日本から見守り続けたい。世界を無視しない大人になるために。

(2018年22日「原貫太オフィシャルブログ」より転載)

記事執筆者:原貫太(国際協力NGOコンフロントワールド代表/早稲田大学5年生)

オフィシャルブログ:http://www.kantahara.com/

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