領土問題はきれいごとでは進まない。
理屈や論争でケリがつく話でもない。
これまでのロシアや北朝鮮との交渉でもわかるように、相手方が困っている時に、やっとこちら側に擦り寄ってくる。そのタイミングでしか領土や拉致問題等々「主権に係る問題」は解決できない。そして「困っている時」とは、往々にして「経済困窮」の場合が多い。
今回の日露交渉にも様々な評価はあろう。しかし、ロシアの側に立ってみるとよくわかる。やれ経済協力8項目だ、共同経済事業だと、その「経済困窮」を救う日本側のカードを切りまくって、今後、どうしたら、ロシア側に、その意味で、領土問題を動かそうというインセンティブ(動機づけ)が湧くのだろうか?
普通に考えて、「これで時間稼ぎができる」「経済でしこたま利益をとってやろう」「領土問題は当面四の五の言っていれば足りる」とロシア側は思うのではないか?
Advertisement
カードを切り尽くしても、安倍・プーチンの信頼関係さえあれば、いずれロシアは応えてくれる、そんなロシアの「好意」にすがる「お人よし」で事態が進展するのなら世話ないが、私のこれまでのロシア観、ロシア人観からしても、それはあまりに楽観的、いや楽天的ではないだろうか。
【時事通信】「がっかり」「もう無理だ」=返還言及なく、元島民落胆-日ロ首脳会談
【産経】自民・二階俊博幹事長「国民の大半がガッカリしている」
Advertisement
(2016年12月17日「江田けんじオフィシャルブログ」より転載)