-----
ラシク・インタビューvol.124
並木 優さん
-----
今年の5月、ママたちが自分らしく働き続けることを考える「WORK-RE PARTY」のイベントが開催されました。その時のトークセッションで登壇されていた、自治体で建築の仕事をされている並木優さん。自己紹介の時に「プライベートでは新宿区内の子育て世代が集まれる場づくりをプロジェクト中で、先日ちょうど良い物件が見つかりました!」とのお話がありました。
あれから半年近く経った今、どうなったのかな......? と彼女のFBをのぞいてみると、実際にプロジェクト『みちくさくらす』が進行しておりました! しかも地域の人たちを早速巻き込んで、みんなでDIYして12月に完成予定だとか...... これは是非とも現場を見てみたい! ということで早速伺ってまいりました。
並木さんが登壇した「WORK-RE PARTY」のイベント記事はこちら!
建築を生業とする者として、母として。
地域に根付いた居場所の必要性を感じた
編集部:並木さんが居場所づくりに興味を持たれたきっかけは?
並木優さん(以下、敬称略。並木):いくつかあるのですが、まずは夫婦で建築関係の仕事をしていく中で、自分たちは何ができるのかを常に模索していて。これからの時代、空き家がどんどん増えてきて、新築を建てていく時代でもなくなる...... その中でやはり「空き家を利用し、人が集まる拠点を地域に持ちたい」という思いは、以前から漠然とありました。
やがて子どもが生まれ「地域のつながりが大事だ」ということを実感しました。子どもが生まれた当初は世田谷に住んでいたのですが、子ども連れでもいける公共施設以外のお店や場所が地域にたくさんあり、とても暮らしやすかった。しかし夫の職場の都合で新宿に引っ越してみると、子連れでいけるお店や場所を知らず、皆さんがどこで何をしているのかが全くわからない状態で...... 気軽に子連れで集まれる場があればいいな、という思いが日に日に増すようになりました。
また、娘はまだ3歳ですが、小学生になった時の放課後の居場所に不安を覚えました。小学生の共働きのご家庭のママさんたちからも同じような声を聞いたので、子どもたちが安心して過ごせる場所を作りたい、と思いが今からありまして。1年前に動き出しました。
編集部:たくさんの想いが重なったのですね! 今お住いのエリアは、元々子育て世代がいる地域ではなかったのでしょうか?
並木:最近ファミリー層もすごく増えているようですね。児童館とか公園とか、行政が行なっている場はあるのですが、民間主体の場所やお店はまだほとんどないので。
編集部:世田谷にはそんなにコミュニティの場が多いのですか?
並木:空き家バンクがありますし、事業をやりたい人とのマッチングやイベントも盛んで、実際にコミュニティスペースが地域に点在しています。たとえば私が素敵だと思う『ふかさわの台所』は、木造二階建ての住宅で一階が乳幼児とその保護者が「食」を通じて集える場になっています。
そんな世田谷から新宿に引っ越してきたことも大きかったかと思います。
子連れだけでなく、地域の人たちみんなが集える場所に
編集部:実際に動き出したのは?
並木:1年前から具体的に考え始め、動き出したのは今年の春先ですね。最初は住んでいるエリアの近くで探していたのですが、なかなか条件に合う物件がなく。範囲を広げて探し始めたところ、4月にこの物件に出会いました。最初は「こんなに駅近なのに古い空き家なんてあるの?」と思いながらでしたが...... 見た瞬間に「ここだ!」って。イメージがパッと湧いたのです!
編集部:それ大事ですよね! 何が良かったのでしょう?
並木:一軒家ですし、古さ的にも手の加え甲斐があるなぁと。ビルの一室だと外から何をやっている場かわかりにくく、地域に広がりもないので、とにかく一階がよかったのです。以前、リノベーションスクールに参加したことがありました。空き家を活用して色々事業を提案し、実際に事業化させるワークショップだったのですが、そこで成功した事例をいくつも見て来ていたので、自分たちでもイメージが湧きやすかったのでしょうね。
編集部:実際にはどんな施設なのですか?
並木:まず一階はカフェ&シェアキッチンにして、ママさんたちだけでなく、地域の誰もが入りやすい空間に。
二階は放課後の子どもたちの場所として塾(宿題をみるような教室)、夜は大人のビジネスパーソン向けのイベントや勉強会などができるスペースにしたいです。
でも実際に始まってみないとわかりませんね。やりながらコミュニティ化して、チューニングして...... あまり最初からガチガチに固めないでいようと。地域にハマらなければ意味がないので、いろいろ試しながら進めていきたいです。
完成図
編集部:「みちくさくらす」というネーミングも素敵ですね。
並木:学校帰りや仕事帰りにフラッと寄り道してほしい、という想いと。あとはこの界隈は夏目漱石のゆかりの地として有名で、漱石の著書である「道草」と、放課後の「クラス」と「暮らす」をかけて名付けました。
SNSや張り紙、とにかく声を上げることでみんなが関わってくれる
編集部:今日がDIY初日ということですが、人員はどうやって募っていますか?
並木:とにかくSNSや張り紙などで声をあげています。友人・知人だけでなく、ご近所の方々からも直接お問い合わせをくださり、おかげさまで毎日何組もお手伝いに来てくださいます。地域のママさんには知り合いがいなかったのですが、共感してくださる方々が口コミでも広めてくれて、本当に嬉しいです。子連れも参加可能ですし、途中参加・途中退出もあり。お昼は高校時代の友人にケータリングをお願いして皆さんに楽しんでいただいています。
編集部:掃除をしたり、ペンキを塗ったり...... なんだか実家の補修とか大掃除みたいですね! こういう現場初めてで面白いです。
並木:私もリノベーションスクールで知り合いになった知人の場づくりでDIYに参加したのですが、その時もすごく楽しかったです。自分も実際に手伝い、場作りに参加した、という経験があれば思い入れが違いますから。
編集部:それの楽しみを知っているからこそ、声をあげられるのですね! 実際に参加している方々はどんな方々ですか?
並木:地域の方はファミリーで来てくださいます。2〜3歳の子もいれば、もうすぐ小学生みたいな子いるし、DIYしたいという高学年の子も来てくれますよ。あとは知人や公務員仲間も手伝いにきてくれています。仕事だけじゃなくて外に出たがっているアクティブな仲間が多くて。
こうしたいろいろな人と繋がり、化学反応が生まれることがすごく楽しみです。
編集部:本当ですね! こちらも楽しみにしています!
-----
みちくさくらすの完成お披露目会が、
2018/12/15(土)13:00-18:00に開催されます! どなたでもご参加頂けます。
詳しくはフェイスブックのイベントページをご参照ください。【イベントページ】
-----
これまで建築を通しての見識と母としての想い、あとは支えてれくれる仲間と共感してくれる地域の人々...... さまざまな人の力で一つのコミュニティが誕生しようとしています。「まちの実験室」というみちくさくらすはこれからどんなスペースになるのでしょうか?
本業をこなしながら、地域のため、子どものために動き出した彼女の活動を、これからも応援していきたいと思います!
-----
-----
ワーママを、楽しく。LAXIC
文・インタビュー:飯田りえ
【関連記事】子連れOK! 都内近郊のママのための習い事