女性体から男性体への性転換を行った友人の話です。
本当の体を取り返すため、高級車1台分の費用をかけて
性別適合手術(SRS)と、男性ホルモン投与を受け
数年経過したFTM(性同一性障害)の友人、M君。
彼には新たな悩みがあります。
胸を気にしなくてもよくなった!だけど...
男性の悩みといえば...。
M君は、お父さんが真ん中から禿げ上がっています。
お爺ちゃんも、みんなそう。
毛髪の薄さは遺伝だと言うけど
ホルモン投与・SRSを受ける前
M君は、頭髪のことまで考えていなかったのです。
女だと思われたくなかった。胸をジロジロ見られるが嫌だった。
胸をとったのは、心の性別との違和感があったし
何より胸があることで、人にジロジロ見られるのが
たまらなく嫌だった。
M君は、手術を受け...世間からの不躾な視線から
逃れられる筈だったのです。
今じゃ、髪が気になって帽子が手放せない。
髪に影響がなかったころは
オシャレが好きで、しょっちゅうヘアスタイルを変えていた。
でも、頭頂部がはげてしまった今はうまくごまかせない。
150センチと小柄で、ファッションもB-BOYスタイルと若々しい。
それなのに、てっぺんだけ薄毛になってしまい、
M君は、周囲が自分の頭部に注目している気がして
帽子を被らずには出歩けなくなってしまいました。
あの時、俺の選択は間違ってなかったよね...?
手に入れたのは、心の性別(男性)の体。
それと引き換えに失ったものは
多額の現金と、体力と、自信と...。
帽子に合わせなくてはいけなくなって
オシャレも自由にできなくなったし...。
後悔...
「後悔というのは違うかもしれないけど
治療の前に、もっと未来像を描いておくべきだったかもしれない。」
M君は所在なさげに苦笑いしました。
誰にでも悩みはある。だからこそ、うんと悩んで決めてください。
性同一性障害を疑った時
または診断された時。
道はひとつではないのです。