震災から1000日、学生が立ち上げた国民運動「きっかけバス47」

2013年12月4日で、2011年3月11日の東日本大震災から1000日目となりました。東北ではいまだ28万人の方の家がなく、仮設生活が続いていると言います。そんな中、丸3年を迎える直前に新しい学生のソーシャルアクションが立ち上がっています。

■1000日目の誓い

2013年12月4日で、2011年3月11日の東日本大震災から1000日目となりました。

内閣府によれば、2011年6月時点で東日本大震災の被害額は17兆円と試算されています。現時点での人的な被害として、死者・行方不明者・震災関連死もろもろ含めて2万人以上となっています。

広域の復興支援活動を続ける、公益社団法人 助けあいジャパンの野田代表によれば、東北ではいまだ28万人の方の家がなく、仮設生活が続いていると言います。そんな中、丸3年を迎える直前に新しい学生のソーシャルアクションが立ち上がっています。

『きっかけバス47』は47都道府県の学生たちが東北三県にバスで行くプロジェクトです。東日本大震災から丸3年が経とうとする今、東北の人たちは「風化」と「風評」に苦しんでいます。その流れをなんとか止めたい。もう一度、日本中に復興の「旋風」を巻き起こしたい。そう考えた学生たちが中心に動いています。

きっかけバス公式サイト

時間が経つと忘れるのが人間なのですが、今もまだ被災地では復興にむけてがんばっている方々がたくさんいらっしゃいます。被災から3年目、まだまだ、東北のこと応援してますよ! それを伝えるプロジェクトがきっかけバス47です。

■「きっかけバス47」プロジェクト

きっかけバスは、主催が助けあいジャパンで、観光庁と連携を組み、後援として、内閣府防災、岩手県、宮城県、福島県などの支援が入っています。

47は都道府県の数で、各地域から学生を集めて、東北に行ってもらうというプロジェクト。

学生に、東北での実体験を通して東北の今を感じてもらい、震災の教訓を学び、自分のコトバで家族や友人、大切な人、それぞれの故郷・地域の人たちに伝え続けてゆく。

そして、日本中が助けあって東北の復興に関わり、311の教訓を地域の防災に活かす"きっかけ"を作る。そうここが大切です。震災が起こって復興をすれば終わりではありませんね。

これからも起こりうるであろう大災害への準備(防災)が必要です。でないと、同じ過ちを繰り返すことになります。それは避けたい。

ただ、学生には資金力がないので、その地域出身の社会人が、金銭的な支援(寄付)を行うのです。僕は長野県出身ですので、長野の大学生を応援しています。

個人も企業も震災復興支援を行う所は少なくなってきました。春には、一部をのぞき、ほとんどの支援プロジェクトが終了するでしょう。

震災の記憶を風化させず、防災への取り組みにいかにリンクできるか。これが今後の課題となるでしょう。

■失ったものと、生まれたもの

拙著『この数字で世界経済のことが10倍わかる--経済のモノサシと社会のモノサシ』でも書いたのですが、震災で多くの命やモノが失われた一方、新しく生まれたものもあります。

内閣府の復興支援(雇用創出事業)で、600人の起業家が生まれました。そして、被災地での起業は、東北でのNPO法人設立などの動きを加速させています。

この2年半で生まれた起業家やプロジェクトの中から今後10年のコミュニティ・ビジネスを担う人材が生まれるのでしょうね。

また、電通のコピーライターで、ソーシャルアクション支援で有名な、並河進さんは、そんな3.11に生まれた「ハッピーバーズデイ3.11」というストーリーにまとめています。

私のように、都内在住で、1年に1度程度の頻度で東北に行く人間には何ができるのか。

私はは復興支援を主力事業にしているわけではありませんが、1000日目という節目において出来る限り、東北を盛り上げるサポーターになりたいと思います。

きっかけバスのように、僕も来年東北に取材旅行に行く予定です。震災直後に様々な街に行ってから丸3年。3年でどこまで進んだのか、ハフィントンポストでも現地レポートでご紹介できればと思います。

「CSRのその先へ」2013年12月4日付記事を再編集して掲載しました)

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