撹乱されていない森林にのみ生息する、大型の食糞性コガネムシ Coprophanaeus lancifer。
Credit: Hannah Griffiths
熱帯林の保護は、多くの生物多様性保全戦略に不可欠である。そうした戦略は森林被覆度の維持に重点を置いているが、伐採や山火事、景観の撹乱といった形の人為的撹乱が、残存する熱帯林の保全価値を低下させている可能性がある。
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今回J Barlowたちは、こうした形の人為的撹乱がアマゾン川流域の原始林の保全価値に対して及ぼす複合的影響を、ブラジル・パラー州で森林被覆度の勾配に沿って収集された植物1538種、鳥類460種、および食糞性コガネムシ156種の存在データを用いて評価した。その結果、森林被覆度69~80%の集水域における生物多様性の喪失は、人為的撹乱があることで、森林伐採のみから予想される喪失の2倍以上になっていることが分かった。
今回の知見は、熱帯林生態系の豊かな多様性を守ろうとするならば、森林被覆度の維持だけにとどまらない政策的介入が必要であることを示すものだと著者たちは述べている。
原著論文:
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doi:10.1038/nature18326
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