細胞の代謝の変化は、さまざまながんでよく見られる。こうした代謝の変化ががんの発生に直接影響を及ぼす仕組みは、研究がなされているところである。
服部鮎奈(米国ジョージア大学)たちは今回、慢性骨髄性白血病において代謝酵素BCAT1がMusashi2を介して発現上昇することを明らかにしている。
BCAT1は、分枝鎖ケト酸をアミノ化することで、分枝鎖アミノ酸(BCAA)にする機能を持つことが示された。BCAT1の阻害は、マウスの慢性骨髄性白血病において分化を誘導し、増殖を妨げた。
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ヒトでは、BCAT1発現の上昇は疾患の予後不良とも関連が見られたことから、他のバイオマーカーと共に用いることで、患者の疾患の予後予測に役立つ可能性がある。
Nature545, 7655
2017年5月25日
原著論文:
doi:10.1038/nature22314
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