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2004年4月にイラクで起きた、「日本人人質事件」のことを覚えているだろうか。イラク支援のため現地に入った日本人3人が、ファルージャの街で地元の武装グループにより人質として拘束された。彼らの要求は「自衛隊の撤退」だった。アメリカが主導し2003年に開戦したイラク戦争。当時、日本政府はこの戦争を支持し「人道復興支援」のためとして、イラクに自衛隊を派遣していた。3人は数日後、無事解放されるが、帰ってきた日本では、3人の行為が国に迷惑をかけたとして「自己責任」を問う批判の声が高まっていた。
松葉杖や車椅子、遺体袋まで添えられているのは、これまでスポットライトが当たってこなかった戦争の英雄たちだ。
戦場や被災地など極限の土地を取材し、そこで生きる人たちの姿をレンズを通して見つめてきたフォトジャーナリスト、嘉納愛夏さんの連載「そこに、あなたがいた」が始まります。初回はイラクです。10年前、戦争が起こる前夜にイラクではどのような日常があったのか。そして、サダム・フセイン政権崩壊後の人々の表情は。あの戦争に立ち会った嘉納さんが撮影した写真、一枚一枚に“人生”が写っています。