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2014年10月16日 18時49分 JST | 更新 2014年12月15日 19時12分 JST

海外版 "そうだ 京都、行こう。"

The interior of a guest house (kakuden) at the Shugaku-in Imperial Villa, Japan. 1629. Kyoto. (Photo by Werner Forman/Universal Images Group/Getty Images)
Werner Forman via Getty Images
The interior of a guest house (kakuden) at the Shugaku-in Imperial Villa, Japan. 1629. Kyoto. (Photo by Werner Forman/Universal Images Group/Getty Images)

人口減少時代の日本の観光戦略

先日、久しぶりに京都を訪ねた。修学院離宮を参観するためだ。何十年も前に写真集で見た雪景色の修学院離宮が忘れられず、いつか訪れたいとずっと思ってきた。

修学院離宮は、1659年に後水尾上皇による造営で完成した別荘である。東山や比叡山を借景に上、中、下の三つの離宮が美しい松並木で結ばれている。各離宮には数奇屋風の瀟洒な茶屋が配され、趣向を凝らした庭園が広がる。

高所に位置する上離宮は、谷川を堰き止めてつくられた浴龍池という池を中心とする回遊式庭園だ。全貌を見渡せるふたつの茶屋があり、そこからはグラデーションが美しい墨絵のような洛北の山々が望める。池には舟着場があり、上皇は舟遊びをしながら花鳥風月を愛でたのであろう。池の南西には京都の市街地が見渡せ、西浜と呼ばれる池の畔の水面に映る景色は、まるで別天地のようだ。

私は、今回、修学院離宮を訪れ非常に感動したが、京都には他にも世界的建築家ブルーノ・タウトが絶賛した桂離宮はじめ、京都御所、大宮御所、仙洞御所など宮内庁が管理する素晴らしい建築や庭園がある。参観は人数制限のために許可制で、あまり多くの参観者を受け入れることができないものの、これらを観ると日本人ならずとも日本文化の粋とその価値や魅力の大きさを再認識することだろう。

日本は人口減少時代を迎え、定住人口の減少は不可避だ。今後、日本が活力を維持するためには、交流人口の増加を促すことが重要だ。そのためには、外国人観光客の誘致は極めて重要な成長戦略と言えよう。

2013年の日本から海外へ行く出国日本人数は1,747万人、海外から日本に来る訪日外客数は1,036万人で、大きく出国超過だ(*1)。今後、政府は訪日外国人旅行者数2千万人を目標に観光立国を目指しているが、その実現には日本の魅力をいかに外国人に伝えるかが焦点となるだろう。

『そうだ 京都、行こう。』は、JR東海が1993年から展開している有名な京都観光キャンペーンだ。そこで紹介される京都の四季折々の風景は、私たちの心を捉えると同時に、外国人観光客にも大きな魅力だろう。

日本には数々の素晴らしい観光資源があるが、外国人観光客に最もアピールするのは、御所や離宮をはじめとする伝統的な日本建築や庭園、文化財が多数ある"京都"ではないだろうか。

外国人観光客を効果的に誘致するためには、観光資源の選択と集中が必要だ。日本で開催する国際会議を京都に集約的に誘致するなどし、京都にある多くの神社仏閣、城郭や関連する超一流の文化財などの魅力を海外に発信・浸透させることが必要だ。

『そうだ 京都、行こう。』を海外に向けて強力にアピールすることが、人口減少時代の日本の重要な観光戦略のひとつだと思うのである。

*1 日本政府観光局(JNTO)「平成25年 訪日外客数・出国日本人数」より

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株式会社ニッセイ基礎研究所

社会研究部 主任研究員

土堤内 昭雄

(2014年10月14日「研究員の眼」より転載)